
白バイを颯爽と駆って、公道の平和を守っている白バイ警官たち。彼らはバイクが好きだからこそ、その役割を目指したのだろうか? またプライベートでも、バイクにどっぷりな日常を送っているのだろうか? その実際を、元白バイ警官の宅島奈津子さんが語る。
●文:ヤングマシン編集部(宅島奈津子)
白バイ隊員はバイクバカ⁉
白バイに乗りたい、白バイ隊員になりたい、と白バイ隊員を目指す警察官のなかでバイクに関心のない人はいないと言い切っていいかと思います。少なくとも私が知るなかではひとりもいません。私自身も中学生のころから、バイクに興味を持ちはじめ、箱根駅伝を先導する白バイ隊員の颯爽と走る姿に憧れて、白バイ隊員を目指すようになりました。
免許を取得できる年齢になったら、すぐにでも教習所に通いたかったのですが、いちおうひとり娘で大事に育ててもらっていたため、両親の許可が得られず、そのときは断念しました。
さすがに、高校卒業後であれば許してもらえると思ったのですが、その考えも甘く、危険だからという理由で、反対され続けました。それでもどうしてもバイクに乗りたい、白バイ隊員になりたい、という思いを捨てきれず、高校卒業後、ひとり暮らしを始めたことをいいことに、親に内緒で大型自動二輪車の免許を取りに行きました。
バイク好きの延長で白バイ隊員を目指すのか
バイクに乗るのが好きだから、白バイ隊員を目指すのか、といったらおそらくそうだと思います。 私事になりますが、「警察官は危険な仕事だからやめておけ」と両親から反対され続け、賛同を得られないまま、警察官採用試験を受けにあちこちへ行っていました。
地元の長崎県警をはじめ、警視庁や千葉県警、大阪府警を受験しましたが、ことごとく落とされ、なぜか女性警察官の採用枠の少ない沖縄県警に拾ってもらえました。どこでもいいから、とにかく白バイに乗りたいの一心で受験し続けていたんです。
私のように、白バイに乗りたいがために、警察官になる隊員がいる一方で、まわりからの推薦や、なんらかの流れで白バイ隊員になったという、隊員ももちろんいます。ただ、比率としてはやはり、前者の方が圧倒的に多いです。
白バイ隊員のプライベート
現役時代、白バイ隊員はプライベートでもバイクにばっかり乗っているのか、といったことをよく聞かれました。正直なところ、そういうわけではありません。バイクに乗るのが好きで、白バイ隊員にはなったものの、業務上「もういいや」っていうぐらい乗っているので、プライベートでまでは乗りたくないっていうのが本音だったりもします。
日頃、バイクの苦労や大変さを味わっているので、プライベートでクルマに乗ると、その便利さや楽さ、快適さを改めて感じます。クルマの方が断然、メリットが多いはずなのに、それでもバイクに乗りたいという衝動に駆られるのは、ライダーならではあるのですが。
白バイ隊員あるある⁉
白バイ隊員が、プライベートでバイクに乗っている際、やってしまいがちなことがあります。それは、交通マナーの悪いライダーを追跡しようとすることです。実際に追跡してしまった、しそうになった、という隊員も少なくありません。私もそのうちのひとりです。信号待ちのときに、つい声をかけてしまったことがあります(笑)。
それから、事故現場を目にすると、かけよろうとしてしまいます。パトカーがいようがいまいが、怪我人がいないかどうかを確認しようとしてしまいます。
要は業務上、行っていることをプライベートでもやってしまいそうになる、という感じですね。「職業病だよね」なんて同僚と話したりもします。だから、プライベートでバイクに乗る際は、とくに速度超過に気を付けるようにしています。業務中は速度を気にすることはないので、私用で乗るときは本当に気を配っています。
白バイ隊員はプライベートでも「バリバリ、バイクに乗っている」というふうに想像されている方が多いみたいですが、私自身は「極力乗りたくない」と思っていました。現役時代に限った話ではありますが…。
私が警察官になりたての頃、上司からよく言われていたことがあります。それは「交通機動隊には行くな」「バイクはプライベートで乗っている方が楽しい」「白バイ乗ってたらバイクが嫌いになるぞ」といったことでした。そのときはピンと来なかったのですが、白バイ隊員になってから、その言葉の意味がよくわかりました。
白バイ隊員になってからの4週間は本当に四六時中、バイクに触れています。乗車の有無にかかわらず、バイクと触れ合う機会が、この期間を上回ることは絶対にないと断言できます。 白バイ隊員になることを切望していた私でも、「なるんじゃなかったかも」と感じることもありました。今となっては後悔なんてまったくなく、むしろ財産だと思っていますが、当時はそのぐらい辛く思うことがあったのです。
白バイ隊員がプライベートで乗るバイクの種類は、本当にさまざまです。オーソドックスなネイキッドが多いと思われそうですが、個々人の好みが分かれています。私はハーレーが好きで一時期、所有していましたが、運転しやすいCB400SFにもよく乗りました。
整備に関して、私は疎かったのですが、なかにはプロ顔負けの隊員もいました。「乗ることよりも、整備することが好きで、バイクを所有している」といった隊員もいました。
というわけで、白バイ隊員は現役時代よりも、除隊後の方が、バイクライフを楽しんでいるのではないかと思います。もしかしたら、なにげなくあなたの目の前を走っているライダーは、白バイ隊員かもしれませんよ。
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