
ライダーの命を守るために重要な役割を果たすヘルメット。選ぶ際に着目したい要件は、安全性/快適性/防風性/着脱性/軽量性の5つで、これらの性能と各ヘルメット固有の特徴を比較することで、適した用途を導き出せます。現在、一般公道向けの主流であるフルフェイス型/ジェット型/システム型/アドベンチャー型は、それぞれ異なる特徴を持っていますが、それぞれどのようなメリット/デメリットがあるのでしょうか?
●文:ピーコックブルー(ヤングマシン編集部)
4タイプの特徴/メリット/デメリット
フルフェイス型
フルフェイスヘルメット
・安全性:★★★
・快適性:★☆☆
・防風性:★★★
・着脱性:★☆☆
・軽量性:★★☆
顔全体が覆われるフルフェイス型は、安全性が高く、車種/用途を問わず幅広く使用されるヘルメットです。しかし、高い防風性を備える代わりに通気性では劣り、寒い時期の快適性は高いものの、気温が高い時期は内部が蒸れやすい欠点があります。
着脱のしにくさに加え、視野の狭さを嫌う人もいますが、総合性能の高さではフルフェイス型が随一と言えるでしょう。また、エアベンチレーター付きの製品なら通気性の悪さを緩和できます。
ジェット型
ジェットヘルメット
・安全性:★☆☆
・快適性:★★★
・防風性:★☆☆
・着脱性:★★★
・軽量性:★★★
ジェット型は、アゴ部を保護するチンガードがない代わりに、シールドが顔全体を覆う構造のヘルメットです。
広い視野が確保でき、軽量なうえヘルメットをしたまま飲食ができる点は、ツーリング時の大きなメリット。また、着脱時に内装が顔に触れないためメイクが落ちにくく、なかにはメガネをつけたまま装着できるヘルメットもあります。
ただし、チンガードがないことで事故の際に顔にケガを負う危険性があり、下側から風が巻き込むため、通気性はよいものの防風性/防寒性は低い欠点があります。
システム型
システムヘルメット
・安全性:★★☆
・快適性:★★☆
・防風性:★★☆
・着脱性:★★☆
・軽量性:★☆☆
システム型は、シールドと一体化したチンガードが備わることで、フルフェイス型の安全性/防風性とジェット型の快適性/着脱性を兼ね備えたヘルメットです。
フリップアップ型/着脱型の2種類があり、フリップアップ型はシールドを開けるだけでジェット型に早変わりし、着脱型はチンガードの着脱に手間がかかるため、季節によってフルフェイス型とジェット型を使い分ける人に向いています。
なお唯一の欠点は、部品点数が多くなることでヘルメットが重くなる点。ただし、軽量なモデルはフルフェイス並みの重量に抑えられています。
アドベンチャー(ADV)型
アドベンチャーヘルメット
・安全性:★★★
・快適性:★☆☆
・防風性:★★★
・着脱性:★☆☆
・軽量性:★★☆
ADV型は、ゴーグル着用を前提としたオフロードヘルメットにシールドを装着したヘルメットです。ゴーグルをつけてオフロードヘルメットとしても使用でき、オン/オフロードの両方で使えることから「デュアルパーパスヘルメット」とも呼ばれます。
基本的な特性はフルフェイスと同様ですが、飛来する砂や石から目のまわりを保護するバイザーが備わる点と、呼吸のしやすさを確保するため前方に伸びた形状のチンガードが特徴です。ただし高速走行時の空気抵抗低減のために、本格的なオフロードヘルメットに比べてバイザーはやや短めになっています。
オンロードバイクとオフロードバイクの2台持ちをしている人にとっては、ひとつのヘルメットで済ませられる点もメリットと言えるでしょう。
用途にベストなヘルメットはコレ! サイズ選びとアゴ紐の締め具合もしっかりと
各ヘルメットが持つ利点を最大化しつつ欠点を最小化できる用途は、以下の組み合わせになります。
- フルフェイス型:オンロードサーキット/スポーツ走行
- ジェット型:街乗り
- システム型:ツーリング
- ADV型:林道/オフロード
もちろん、ヘルメットを使用するシーンに特別なルールが定められているわけではないため、見た目の好みで選んでも問題ありません。しかし、主体とする用途に適したヘルメットを選ぶことで、より快適な移動ができるようになります。
着用するヘルメットは用途によって使い分けるとよい
またヘルメット選びの際、タイプ選び以上に大切なのがサイズ選び。
どれだけ用途にベストマッチしたヘルメットでも、サイズが合わないと疲労の原因になったり、風圧/衝撃でズレたり外れるなどして危険を招いてしまうので、ヘルメットサイズはやや窮屈に感じるぐらいの大きさがベストです。
さらに、どれだけジャストフィットするヘルメットであっても、アゴ紐がしっかり締まっていなければ事故の際に抜けてしまい、ヘルメットの役目を果たせません。アゴと紐の間に指が接しながら1〜2本入る程度を目安にして、確実に締めるよう心がけましょう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヘルメット)
皮脂や汗に含まれる尿素が生地を痛めてしまう ──一般の方が汗でびちょびちょのヘルメットをリフレッシュさせたい場合、どのように行えばよいでしょうか? 「どこが外せるのか、どういうふうに洗えばいいのかは、[…]
ヘルメット専用設計で、手提げ&肩にかけてショルダーにしても快適 ツーリング先でのヘルメットの持ち運びのために、ポケットへ忍ばせておくのに最適な、小さく折りたためるヘルメットトートバッグ。出先での急な買[…]
ドゥカティを王者へと導くマシンを開発するピッロ選手のシグネチャーモデル 『F-17 Mips MICHELE PIRRO』は、MotoGPに参戦中の『ドゥカティ レノボ チーム』のテストライダーを務め[…]
ジョアン・ミル選手が今季着用中のシグネチャーモデルが登場! 『F-17 Mips JOAN MIR』は、’23年からレプソル・ホンダと契約してMotoGPを戦っているレーシングライダー、ジョアン・ミル[…]
最外層にカーボンファイバーを使ったX-Fifteenの最高峰モデルが登場! 積層させた炭素繊維を樹脂で固めたカーボンファイバー(CFRP)は、軽くて強い素材だ。そのため航空機やレーシングマシンに使われ[…]
人気記事ランキング(全体)
ホンダ「CB1000F SE コンセプト」が鈴鹿8耐で世界初公開! 8月1日より予選が始まった“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプト[…]
日本では400だが、グローバルでは500(451ccエンジン)のエリミネーター 欧州でエリミネーター500/SEに新色が登場した。日本仕様でプラザエディションとしてラインナップされる『メタリックインペ[…]
キャッチニッパー :作業後のゴミが減り掃除が楽になる、切れ端を飛ばさないキャッチ機能付き 配線や結束バンドを切断した際に切れ端が飛び散るのは仕方がないというのが一般的な常識に対して、一方の刃にプレート[…]
鮮やかなブルーでスポーティな外観に 欧州においてスズキ「ハヤブサ」が2026年モデルへと更新された。アルティメットスポーツを標ぼうするマシンは基本的に2025年モデルを踏襲しながら、レギュラーカラーが[…]
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
最新の投稿記事(全体)
旅として楽しむ、ほっこりラリーイベント 「MOTHER LAKE RALLY」は、2023年に初めて開催され、今年で3年目を迎えるイベントだ。単なる速さや距離を競うラリーとは一線を画し、そのコンセプト[…]
RH1250S スポーツスターS:ダウンドラフト吸気の水冷Vツインを黒で統一 121HPを発揮するレボリューションマックス1250Tエンジンをオールブラックにし、精悍さを強調するデザインとなった202[…]
世界の二輪市場にBSA復活を知らせる2台の新型車 BSAブランドが再び動き出したのは2016年。自動車や二輪車、物流や不動産など多角的に事業を展開するインド/マヒンドラ・グループが、新たに起ち上げたク[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
400cc4気筒ブームの立役者、第3世代の直4を実現したカワサキの戦略 Z1/Z2系からZ650のザッパー系に続くカワサキ直4の第3弾がZ400FX。1980年代初頭に日本で巻き起こった空前のバイクブ[…]
- 1
- 2