
ホンダは欧州で、アフリカツイン由来の2気筒エンジンを搭載するツーリングモデル「NT1100」をマイナーチェンジし、2025年モデルとして発表した。エンジンの低中速トルクは7%増強し、電子制御サスペンション仕様もラインナップする。6軸IMUの搭載や外装デザインのアップデートもトピックだ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
アフリカツインと同様のエンジンアップデート+電サスほか
ホンダは欧州で新型「NT1100」を発表した。2022年に初登場したNT1100は、CRF1100Lアフリカツインの心臓部とメインフレームを活用したツーリングモデルで、2023年には欧州のツーリングカテゴリーにおいてナンバーワンの座を獲得した人気車だ。
今回のマイナーチェンジでは、フェアリングのデザインがよりシャープな造形になり、ウインカーをビルトインしたデイタイムランニングライト=DRLを新採用。シート、パニアケース、ウインドスクリーン、ウインドディフレクターフロントマッドガードなども改良を受け、実用性と快適性が向上している。
エンジンはアフリカツインと同様の変更で低中速トルクを強化し、ユーロ5+に適合しつつピークパワーを維持しながら低中速域のトルクを7%も増強。DCTはよりスムーズなギヤチェンジフィーリングになるよう改善された。容量20Lの燃料タンクは400kmの航続距離を確保している。
ハイライトとなるのは、6軸慣性計測ユニット(IMU)の搭載によって3段階のホンダセレクタブルトルクコントロール(トラコンに相当)と3段階のウイリーコントロール、コーナリングABS、リヤリフトコントロールがより正確に制御されるようになったこと。
もうひとつは、SHOWA製の電子制御サスペンション『Showa Electronically Equipped Ride Adjustment(Showa-EERA)』がオプション設定されたことだろう。このEERAは、あらゆる走行条件で減衰力をリアルタイムで最適化するほか、走行中にリヤスプリングのプリロードを調整する機能も有している。
このほか、スマートフォン接続機能(アップルカープレイ/アンドロイドオート対応)付きのタッチスクリーン6.5インチTFTディスプレイ、クルーズコントロール、アップグレードされたグリップヒーター、USBソケット、ACC電源ソケット、センタースタンド、オートキャンセル付きウインカー、エマージェンシーストップシグナル(ESS)、リチウムイオンバッテリー(12V/6.0Ah)などを標準装備する。
日本における現行モデルはDCT仕様のみのラインナップだが、次期モデルの導入で変化はあるのか、気になるところだ。
HONDA NT1100[2025 EU model]
カラーリングは3つのグレード(マニュアルトランスミッション/DCT/DCT+電サス)全てに3種類をサインナップ。価格は未発表だ。
アクセサリーには2つのパック『アーバンパック』と『ボヤージパック』が用意される。
HONDA NT1100[2025 EU model]Mat Warm Ash Metallic
HONDA NT1100[2025 EU model]Gunmetal Black Metallic
HONDA NT1100[2025 EU model]Pearl Hawkseye Blue
車名 | NT1100 | NT1100 DCT | NT1100 DCT Electronic Suspension |
全長×全幅×全高 | 2240×860×1340mm | ||
軸距 | 1535mm | ||
最低地上高 | 175mm | ||
シート高 | 820mm | ||
キャスター/トレール | 26.5°/108mm | ||
装備重量 | 238kg(+パニア12kg) | 248kg(+パニア12kg) | 249kg(+パニア12kg) |
エンジン型式 | 水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量 | 1084cc | ||
内径×行程 | 10.5:1 | ||
圧縮比 | 92×81.5mm | ||
最高出力 | 102ps/7500rpm | ||
最大トルク | 11.42kg-m/5500rpm | ||
始動方式 | セルフスターター | ||
変速機 | 6段リターン (クイックシフターをオプション設定) | 6段DCT | |
燃料タンク容量 | 21.4L | ||
WMTCモード燃費 | 20km/L | ||
タイヤサイズ | 前120/70ZR17/後180/55ZR17 | ||
ブレーキ | 前φ310mmダブルディスク+4ポットキャリパー /後φ256mmディスク+1ポットキャリパー | ||
サスペンション前 | SHOWA製φ43mm SFF-BP (ストローク150mm) | ← | SHOWA製φ43mm EERA (ストローク150mm) |
サスペンション後 | SHOWA製モノショック (トラベル150mm) | ← | SHOWA製 EERA (トラベル150mm) |
車体色 | マットウォームアシュメタリック(新色) ガンメタルブラックメタリック(新色) パールホークスアイブルー | ||
乗車定員 | 2名 |
NT1100 のディテール
タッチパネル式の6.5インチTFTフルカラーディスプレイを採用。表示画面の構成は以下のようになっている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
ピカイチの快適性を誇り、タンデムユースも無理ナシ ようやく全日本JーGP3の開幕戦が近づいてきて(記事制作時)、最近はバイクに乗るトレーニングもスタート。 筋力が増えたことで、これまで苦手だった車種で[…]
メーカーメイドのカフェレーサー ’74年末から発売が始まったCB400フォア、通称ヨンフォアは、’60~’70年代に世界中でブームとなった、カフェレーサーを抜きにして語れないモデルである。カフェレーサ[…]
コスパも高い! 新型「CUV e:」が“シティコミューターの新常識”になる可能性 最初にぶっちゃけて言わせてもらうと、筆者(北岡)は“EV”全般に対して懐疑的なところがある者です。カーボンニュートラル[…]
ホンダCB1000Fコンセプト、カワサキZ900RSへの「負けん気」を胸に登場か? 鈴鹿8耐でデモ走行を披露したホンダの「CB1000Fコンセプト」は、生産終了したCB1300シリーズの後継として期待[…]
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
最新の関連記事(新型スポーツ&ツーリング)
最新ボクサーのパワフルな走り 2023年のR1300GSに続き、R1300RT/R1300R/R1300RSもついに最新ボクサーを搭載。今回ドイツで行われた試乗会ではRTとRに試乗した。 RTはGS同[…]
新作GSX-8T/8TTに足並みを揃えて2026年モデルに スズキ独自のクロスバランサーを採用した最新776cc並列2気筒エンジンを搭載するモデルのうち、フルカウルスポーツとスポーツネイキッドとしてシ[…]
新型トレーサーでACCとY-AMTが融合! 今回のビッグチェンジで色々機能が追加されたり改変を受けているトレーサー9 GT+ Y-AMTではあるが、何はともあれ書くべきは前走車追従型のクルーズコントロ[…]
以前、Honda E-Clutchを開発した方々にインタービューしたとき「最初はHonda E-Clutchなんていらないと思っていたけれど、一度乗ったら考えが変わった」という話をお聞きしました。 じ[…]
初代はスポーツモデル:GL1000【1975年モデル】 1970年代当時、巨大なアメリカ市場を独り占めしていた英国車をCB750フォアで一蹴したホンダだったが、Z1とそれに続く競合車の登場でシェアを奪[…]
人気記事ランキング(全体)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
最新の投稿記事(全体)
4気筒の「ニンジャZX-R」、2気筒「ニンジャ」計6モデルに10色を新設定 カワサキは欧州でフルカウルスポーツ「ニンジャ」ファミリーのうち、4気筒モデル「Ninja ZX-6R」「Ninja ZX-4[…]
1980~90年代を代表するイタリアンライダー、ルカ・カダローラのレプリカを復刻! ルカ・カダローラはイタリア出身のレーシングライダーで、1984年に世界GP125にデビュー。’86年にチャンピオンを[…]
ピカイチの快適性を誇り、タンデムユースも無理ナシ ようやく全日本JーGP3の開幕戦が近づいてきて(記事制作時)、最近はバイクに乗るトレーニングもスタート。 筋力が増えたことで、これまで苦手だった車種で[…]
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
メーカーメイドのカフェレーサー ’74年末から発売が始まったCB400フォア、通称ヨンフォアは、’60~’70年代に世界中でブームとなった、カフェレーサーを抜きにして語れないモデルである。カフェレーサ[…]
- 1
- 2