
バイク用プレミアムヘルメットブランドとして確固たる地位を築いてきたSHOEIは、新たにBMXレーシングに挑戦する。これまでMotoGPやモトクロス世界選手権で培ってきた経験と技術を投入し、つくり上げたのは「X-GRID(クロス-グリッド)」だ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:SHOEI
パッと見は新作モトクロス用ヘルメットだが……
SHOEIは、長年にわたって培ってきたヘルメット開発技術にモトクロス用ヘルメットのデザインを融合した新作ヘルメット「X-GRID(クロス-グリッド)」を発表した。
一見するとモトクロス用の新作ヘルメットだが、さにあらず。SHOEIが初めて投入するBMX競技用ヘルメットである。
SHOEIはこれを新たな領域への挑戦と位置付け、これまで培ってきた安全性と機能性でBMXライダーの限界を引き出すとしている。
SHOEI Gallery YOKOHAMA で発表会を開催。1990年代の経営危機から、一部の自衛隊向け製品を除いて選択と集中を行い、バイク用ヘルメット専業メーカーとして歩んできたが、未来へのチャレンジとしてBMX競技用ヘルメットに参入すると宣言された。
発表会に参加したライダーたち。
帽体は専用設計で、手に取るとバイク用よりも明らかに軽量。ノウハウは生かしつつも全ての部品を軽量設計(一部ネジやストラップなど除く)とし、バイザー込みの重量は基準サイズでわずか962gだというから驚きだ。シェルは顔を起こしやすいように首への当たり部分を削り込んだ形状で、可聴性を高めるイヤーホールや多くのベンチレーションホールを備えるのも特徴的だろう。
すでに複数のBMXレーサーと契約しており、発表会ではこれまでモトクロス用ヘルメットを使用していた選手から「軽い!!」「フィッティングがいい」「周囲を見やすい」「首が動かしやすい」「止まっていても風が抜けて過ごしやすい」「音が聞きやすいのは一番に感じた。他のライダーの気配を感じるのにとても重要」などとコメントしてくれた。
特にBMX競技では音を聞くことが周囲の状況を判断するのにとても大切とのことで、エンジン音がない乗り物ならではの、バイク用との違いとも言えそうだ。
サイズはXXSから用意され、5歳からエントリーできるというBMX競技では着用するキッズが増えそう。次のロサンゼルスオリンピックでは表彰台のてっぺんでX-GRID使用ライダーの姿が見られることを期待したい!
後頭部にはリブ(段付き)を採用し、ゴーグルの適正な装着位置をサポート。シェル形状と一体化したようなデザインのバイザーやノーズカバー、各所に設けたホールにより、シャープなフォルムとしている。
SHOEI独自の衝撃吸収構造「M.E.D.S.」は衝撃時に内装が可動
SHOEIがオフロード用ヘルメットで採用している、独自の衝撃吸収構造「M.E.D.S.」(Motion Energy Distribution System)をX-GRIDにも採用。転倒時にヘルメットに衝撃が加わった際、インサートライナー中央にある突起を中心にインサートライナーがスイングすることで回転加速度を低減する構造だ。これにより、軽量性や被り心地を損なうことなく、衝撃吸収性能と回転加速度低減の両立し、首への負担なども軽減する。
チンガードはバイク用ヘルメットと同じ衝撃テストをクリア、また緊急時に第三者がヘルメットを脱がせ安くするE.Q.R.S.(エマージェンシークイックリリースシステム)もバイク用ヘルメットでお馴染みだ。
このほか、内装のジャストフィットを可能にするP.F.S.(パーソナルフィッティングシステム)をX-GRIDにも導入。頭の形は十人十色だが、これならどんなユーザーでも安心してオーダーメイド的な被り心地を享受できる。
なお、これまでのモデルではP.F.S.を有料サービスとしていたが、X-GRIDに関しては本体価格に含まれるのが特徴だ。
SHOEI X-GRID / X-GRID DOMINATE
スタンダードモデルのほか、グラフィックモデルの「X-GRID DOMINATE(クロス-グリッド ドミネート)」も同時発表。いずれもSHOEI GalleryおよびSHOEI Gallery オンラインストアで販売される。店舗に来店購入した方には各店舗先着50名でノベルティも用意されるという。
※オンラインストアで購入の場合は、SHOEI Gallery及び野外イベント等でP.F.S.(Personal Fitting System)を受け、その場で発行される16桁の診断コードが必要
●価格:STD=6万8200円/DOMINATE=7万9200円(P.F.S.含む) ●サイズ:XXS(51cm)、XS(53cm)、S(55cm)、M(57cm)、L(59cm)、XL(61cm) ●色:STD=白、つや消し黒/DOMINATE=赤×黒、銀×灰 ●規格:SG、JCF公認 ●構造;AIM+(Advanced Integrated Matrix Plus Multi-Fiber) ●付属品:V-490バイザー、MXバイザースクリュー、バイザー反射防止ステッカー(マットブラックを除く)、ヘルメット袋、SHOEIロゴステッカー、サービスツール ●2024年9月下旬発売予定(スタンダードモデルのM/L/XLは2024年9月5日発売)
X-GRID
X-GRID DOMINATE
SHOEI X-GRID DOMINATE [TC-1(RED/BLACK)]
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(SHOEI)
※写真はSHOEI Gallery FUKUOKA SHOEIは2025年9月12日、同社のヘルメットをフルラインナップ展示する公式ショールーム「SHOEI Gallery SAPPORO」を北海道札[…]
愛車とコーディネートしやすい4色のニューグラフィック ベンチレーション機能も優れており、100km/h走行時のアッパーエアインテークの流入量は従来モデル比で約1.2倍、トップエアレットからの排出量は約[…]
疲れない、頭痛知らずのフィッティング技術! SHOEIの「Personal Fitting System(以下P.F.S.)」は、十人十色で異なるライダーの頭部形状に合わせたフィッティングを行う同社の[…]
アウトローなムードが人気を呼んだフルフェイスがついに復活! 6月3日付けでお伝えしたSHOEIの新製品『WYVERN(ワイバーン)』の詳細と発売日が正式に発表された。 1997年に登場したワイバーンは[…]
東洋の文化を西洋風にアレンジした“オリガミ”のグラフィック第2弾登場 このたびZ-8に加わるグラフィックモデル『ORIGAMI 2』は、2023年1月に発売された『ORIGAMI』の第2世代だ。前作同[…]
最新の関連記事(ヘルメット)
コンセプトが異なる3種のフルフェイスにニューグラフィック登場 KabutoのフラッグシップであるF-17は、耐貫通性と衝撃吸収性を備える高強度複合素材帽体『A.C.T.-2』に、徹底した空力特性を加え[…]
軽量コンパクトなフルフェイスがカーボンモデルとなってさらに軽く強く! Kabutoのフルフェイスヘルメット『AEROBLADE-6』は、軽量&コンパクトな帽体を空力特性に優れる形状に仕上げたモデルだ。[…]
HJCハイパフォーマンスの結晶、RPHA 12 まずは、ベースモデル「RPHA 12」について振り返っておこう。RPHA 12は、HJCが安全性、快適性、そして空力特性を極限まで追求したという、まさに[…]
インパクト大の「ミニオン」になりきれるグラフィック 「V10 ミニオンズ スチュアート」最大の特徴は、ヘルメット全体でミニオンになりきれる、遊び心あふれるデザインにある。とくにヘルメットの天頂部に大き[…]
人気のネオクラシックモデルに、グラフィックデザイナー・加藤ノブキ氏の第3弾 アライの「RAPIDE-NEO(ラパイドネオ)」は、かわす性能を追求した安全性と快適性をクラシカルなデザインでまとめたフルフ[…]
人気記事ランキング(全体)
ミルウォーキーエイト117に3タイプのエンジン登場! ハーレーダビッドソンの現行クルーザーモデルには、シリンダーヘッド/スロットルボディ/インテークマニホールドを刷新した3タイプのミルウォーキーエイト[…]
ブランド名は「南北戦争」に由来 1991年、成功を収めた弁護士、マシュー・チェンバースが興したバイクメーカー、コンフェデレート。 和訳すると「南軍」を意味する社名は、創業地がルイジアナ州バトンルージュ[…]
軽量で取り扱いやすく、初心者にもピッタリ 「UNIT スイングアームリフトスタンド」は、片手でも扱いやすい約767gという軽さが魅力です。使用後は折りたたんでコンパクトに収納できるため、ガレージのスペ[…]
みんながCBを待っている! CB1000Fに続く400ccはあるのかないのか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「[…]
「ワインディングの覇者を目指すならCB-1」のキャッチコピーだったら評価は変わった!? カウルを装着したレーサーレプリカが出現する以前、1970年代までのスーパースポーツはカウルのないフォルムが一般的[…]
最新の投稿記事(全体)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
コンセプトが異なる3種のフルフェイスにニューグラフィック登場 KabutoのフラッグシップであるF-17は、耐貫通性と衝撃吸収性を備える高強度複合素材帽体『A.C.T.-2』に、徹底した空力特性を加え[…]
風が抜けるのにCEレベル2! タイチ「ネックスエアー」が夏の安全を変える ライダーの命を守る重要な装備、胸部プロテクター。しかし夏場は熱がこもりやすく、つい安全性よりも涼しさや薄さを優先した装備に切り[…]
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
- 1
- 2