
青汁王子が乗用車にあおられてガードレールに衝突……というショッキングなニュースが4月14日にWebメディアで報じられた。相手は乗用車だったとのことで、ドライブレコーダーがついていなかったため相手を特定できず泣き寝入りに。バイクを狙った煽り運転もあるなか、ライダーはどう対処すればいい?
●文:ヤングマシン編集部
まず煽り運転か見極める
後ろからクルマ(稀にバイクも)が異常接近してきてドキッとしたことがあるライダーも多いことだろう。これが煽り運転なのか、車線変更などで減速が足りず一時的に接近しただけなのか、それとも車間距離の感覚がバグったタイプのドライバーなのか、判断に困ることもあるかもしれない。
そんな時はまず危険が迫っていないか、つまり不測の事態で衝突する勢いなのかどうかを見て、緊急性が高そうな場合は道路の左側に寄せるなどして避けるようにしたい。この場合は後続車が意図せずそうした状態になっていることもあるので、とにかく危険を避けることに集中したほうがいいだろう。
そこまでの緊急性がない場合は、まず自身が急激な動きをしないように。車線の中で左右に大きく移動したり急加速をしたりすると後続車のドライバー(稀にライダー)が挑発と受け取る可能性もあるし、自身や相手の誤操作を招きかねないからだ。
次に、ごく緩やかに加速してみる。スーッと離れていくのか、それでも車間距離をガン詰めしてくるのか。前者ならば一時的なもので故意ではない可能性が高く、そのままスルーして出方を伺えばいいだろう。問題なのは後者だった場合だ。
4月14日、Webメディアで流れたニュースによれば、青汁王子こと実業家の三崎優太氏は4月13日、乗用車に煽られたことでガードレールに衝突して怪我を負ったという。左腕を8~9針縫い、顔にも無数の擦り傷……。YouTube活動をしばらく休止するというから、仕事にも支障をきたすレベルの怪我だったと思われる。
三崎氏の場合、乗用車が2、3メートル後方からヘッドライトをチカチカと点灯させていたというから、かなり明確に煽り運転だったはずだ。三崎氏はそのままアクセルを開け、車から離れようとスピードを上げたところで、誤ってガードレールに衝突してしまったという。
この場合はかなり悪質なドライバーだったと思われるが、こうした事例は全国的に少なくない。
余程のことがなければ急加速はしないほうがいい
明らかに煽り運転だなと判断できた場合、そこでもう一段階確かめたいのは、クルマのスピードを見せつけたいための煽り運転なのか、危害を加えるための煽り運転かということ。前者の場合は道を譲ることでやり過ごすことができるが、いずれの場合にしても急加速で逃げようとするのは得策ではない。前述のように挑発と受け取るドライバーもいて、速度を上げてもさらに追走してくる可能性があるからだ。そうなると、際限なく速度を上げる羽目になりかねず危険だし、いずれ赤信号などで停止せざるを得なくなったところで悪質ドライバーに絡まれかねない。もし逃げるなら、隘路などクルマでは入れないような場所を探して退避しよう。くれぐれも慎重に。
こちらに何かしようとしているなと思った場合でも、まずは大きく急激な動きをしないよう慎重に、制限速度付近の一定速度で走りながら、安全そうなところで左に車線変更するなどして譲ってしまおう。余程悪質なドライバーでなければ、そこからさらに何かしてこようとはしないはずだ。
ところが世の中には残念ながら悪質なドライバー(稀にライダー)はいるもので、幅寄せで嫌がらせをしたり、前方を塞いでバイクを停止させ、暴力的な手段に訴えようとしてくる輩も……。
幅寄せを受けた場合は対抗しようとせず、速やかにブレーキをかけて距離を保つようにしたい。相手が明らかにまともではない場合でも、万が一クルマとぶつかったら痛い思いをするのはバイクのほうだ。下手をするとクルマに接触せずに路肩に追いやられ、そこで事故が起こっても接触なしのため証拠が残りにくく、そのまま逃げられれば損するだけになってしまう。最悪はライダーが死ぬことだってある。
とにかく走行状態で張り合おうとすると、直接ぶつかるにせよ道路の構造物に衝突するにせよ、危ない目に遭うのは間違いなくバイクのほう。事故で死んで家族を悲しませるよりは、ちょっとぐらい殴られたほうがまだマシという判断もある。なんらかの接触があれば証拠が残り、後日煽り運転した側を追及できる機会も得られる可能性がある。
相手に前に出られた場合、停止させられる前に右左折できるチャンスがあればそこで逃げるか、人目のある場所まで一定の速度で走り続ける、警察の前まで走るといった選択肢もあるが、とにかく転倒や衝突を避けるようにしたい。
煽り運転を招かないために
煽り運転する側になってみれば、何かしらのスイッチが入って煽り運転に及ぶものと思われる。スイッチが入る基準は他人からは想像できないようなものだったりもするが、馬鹿に付ける薬はない。
スイッチの基準はともかく、なるべく他人を刺激しないような運転をしないほうが得策。不要な空吹かしや急激な車線変更、周囲の交通の流れから逸脱した速度での走行などは目立ちやすいので注意が必要だ。
また、マトモでない運転者は遠目に見ても怪しい気配が漂っていたりする。やけに頻繁な車線変更や無駄な加減速、車体のロールを無視したハンドル操作などが特徴で、触るものみな傷つける雰囲気があるのでとにかくそんなのには近寄らないように。
普通に走っているつもりでも無意識に他人を刺激してしまうような運転をしていないか、これを機会に今一度セルフチェックしてみるのもいいだろう。
防衛手段としておすすめしたいのは、証拠を残すためや抑止力とするために、ドライブレコーダーを装備すること。ドラレコがあるとわかるだけで周囲からの車間距離が変化するものだし、万が一の際に役立てられることもある。誰かが煽り運転の被害に遭った際にも第三者から証拠として提出することで、「煽られる側が悪かったのでは」といった不当な判断を防ぐこともできるはずだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(交通/社会問題)
重点的な交通取締り場所は決まっている 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なく[…]
1. 山梨県の三ない運動と坂本先生の革新的な安全教育 山梨県は公共交通が不便だったこともあり全県的な三ない運動は実施されず、多くの高校でバイク通学が行われ、各校ごとに“乗せて教える”教育が施[…]
2021年に底を打ったバイク盗難の件数は近年、再び上昇傾向にある。2021年の7569件に対し、2024年は1万1641件まで増加しており、原付一種/原付二種が89%を占めているという。[…]
原付一種の新区分「新基準原付」とは? ガソリン原付一種は、排ガス浄化装置である触媒性能の問題により国内第4次排出ガス規制(ユーロ5相当)をクリアできないため、2025年10月末日に生産終了となり、以降[…]
白バイ隊員になるには 白バイに乗るためには、あたり前のことですが大型自動二輪免許の取得が必要です。とはいえ、警察官になる時点で取得していないとダメかといえば、そうではありません。後から取得する手間が減[…]
最新の関連記事(ドライブレコーダー)
ライダーの「不安」を解消する全方位監視性能 「Driveman DD-1000」の開発責任者は、「秋のライダーが直面する『後方の不安』と『夜間の不安』、この両方を解消したいという想いで開発した」と語っ[…]
取り付けから録画までスマートすぎるドライブレコーダー ドライブレコーダーを取り付ける際、ネックになるのが電源確保のための配線作業だ。バイクへの取り付けともなると、専門知識や工具、あるいは高めの工賃が必[…]
注目ポイント:高画質と長時間駆動のバランス 「AKEEYO AKY-710S」は、SONYのStarvis IMX335センサーを採用し、2K 55fpsや4K 28fpsでの録画に対応。142度の広[…]
ヘルメット装着で手軽に使えるバイク専用ドラレコ 「MiVue MP30Gps」は、バイクヘルメットに直接取り付けられるドライブレコーダー。これまでの車体取り付け型と違い、視界や操作性を損なわずに取り付[…]
取り付け簡単!バイク用4K超高画質ドラレコ このたび、タナックスよりオートバイ用のポータブルドライブレコーダー「AKY-710S」が発売された。取り付けが簡単で、小型/軽量/4K高画質の3拍子が揃って[…]
人気記事ランキング(全体)
デザイン刷新&Eクラッチ採用の2024年モデルからカラーバリエーションを変更 ホンダは欧州で、2024年モデルのマイナーチェンジでデザイン変更とEクラッチ(Honda E-Clutch)搭載仕様の追加[…]
新型CBは直4サウンドを響かせ復活へ! ティーザー画像から判明したTFTメーターとEクラッチ搭載の可能性 ホンダは中国がSNS『微博』にて、新たなネオクラシックネイキッドのティーザー画像を公開したのは[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
低く長いデザインが個性マシマシ! レトロモダンなボバークルーザー 中国から新たな刺客がやってきた! ベンダは2016年設立の新興メーカーで、独自設計のエンジンを搭載したクルーザーを中心に、ネイキッドな[…]
最新の投稿記事(全体)
重点的な交通取締り場所は決まっている 安全運転を心がけていても、パトカーや白バイの姿を目にすると、必要以上にドキッとしたり、速度メーターを確認したりするといった経験がある、ドライバーやライダーは少なく[…]
ENGINE:世界最速を目指してたどり着いた型式 ヤマハやスズキのような“専業メーカー”ではなかったけれど、’54年から2輪事業への参入を開始したカワサキは、基本的に2ストロークを得意とするメーカーだ[…]
ハンドルまわりだけでも用語はたくさん 「いつかは旧車に乗り、自分専用のカスタムをしたい」と、憧れを抱いている筆者。その夢を叶えるためには、ひとつの大きなハードルがあったりする。そもそも、各部の名称や役[…]
まめなオイル管理が、良コンディションを維持できる秘訣 新型スーパーカブが発表されて以降、新型のシリーズモデルは、週末に限らず、毎日のように街中で見かけるようになった。軽く気ままに走ることができるモデル[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]