
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:ヤマハ レース情報
ヤマハは、MotoGPファクトリーライダーのファビオ・クアルタラロ選手と2年間の契約延長を決定したと発表した。これによりクアルタラロ選手は、2025年と2026年も引き続きヤマハファクトリーレーシングチームからMotoGP世界選手権に参戦する。
これまで「間もなく決断をお伝えするだろう」としてきたクアルタラロ選手選手だが、2021年にタイトル獲得した翌年にシーズン前半をリードしながら後半に失速して2位に。その後も苦戦を強いられるなか、改めてタイトル奪還に向けてヤマハと共闘することになった。
ヤマハとしては、タイトル奪還に向けて開発体制やシステム、組織を大幅に変革するという大きなチャレンジを進めているといい、クアルタラロ選手もこれに賛同した形だ。
ヤマハとクアルタラロ選手のパートナーシップは今年で4年目となり、サテライトチーム「ペトロナス・ヤマハSRT」での2年間を含めればYZR-M1を駆るのは6年目。サテライトで3勝/表彰台10回を挙げ、ファクトリーチームのライダーとしては2021年から現在までに8勝/表彰台21回を獲得している。また、最高峰クラスでの全93レース中、ポールポジション16回、フロントロー41回を獲得してきた。
YZR-M1の戦闘力は、2024年シーズンの開幕から2戦を見る限りではまだ満足できる状況にないが、日本メーカーの苦戦が伝えられる中で明るい兆しを届けるニュースと言えそうだ。クアルタラロ選手の決断に応えるのがヤマハの仕事になる。
ファピオ・クアルタラロ(Fabio Quartararo)選手@ポルトガルGP
リン・ジャービス氏談・Yamaha Motor Racingマネージングダイレクター、Monster Energy Yamaha MotoGPチーム代表
「私たちはファビオがヤマハに残る決断をしてくれたことを本当にうれしく思います。ファビオがファクトリーチームの一員であることは、ヤマハのMotoGPプロジェクトにとって不可欠なことです。並外れた才能の持ち主であり、ハードワーカーであり、素晴らしいチームプレーヤーで、今後も何年間にもわたって活躍してくれるはずです。
ヤマハ発動機、ヤマハ・モーター・レーシング、Monster Energy Yamaha MotoGPは、マシン開発において“より一層アグレッシブな取り組み”を行い、ファビオとともに輝かしい未来を実現するため努力を惜しみません。私たちはすでに、新しい開発体制やシステムの導入、業界トップのプロフェッショナルの採用、外部との技術提携、開発予算の増加、テストプログラム強化など、さまざまな分野で大幅な変更を行っています。これらが“勝利”に向けて最速、最短の方法であると信じ取り組んでいます。ファビオはこうした取り組みを理解したことで、2年間の契約という決断に自信を持ったのです。
2019年にヤマハに加入し、ファクトリーチームでの出場は2021年からですが、わずか4年という期間で優勝8回、表彰台21回、MotoGPチャンピオン、ランキング2位など多くの成功を収めてきました。
2021年や2022年の前半のような高いレベルに戻るためには、まだ多くの課題があることをまず認めなければなりません。しかしファビオは皆さまもご存知のように、常に100%、最大限の努力を注ぎます。同時にチームスタッフ全員と調和を図り、よい雰囲気を作り出すこともまた、彼の能力です。ともにチャンピオンを目指す挑戦のなかで、チームとヤマハはあらゆる段階で彼を全面的にサポートしていきます」
ファビオ・クアルタラロ選手談
「ヤマハ・ブルーでこの挑戦を続けられることになったのはスーパーハッピーです! 昨年冬からヤマハは、まったく新しい開発体制やシステムを取り入れ、より積極的な開発方針に切り替えたことで、僕は自信をもってヤマハとチャンピオン奪還を目指す決断ができました。6年前、ヤマハは僕にMotoGPで戦うチャンスをくれました。それから一緒に多くの素晴らしい成果を達成してきました。まだ、勝利を目指せるようになるには時間がかかると思いますが、ヤマハのみんなと一緒に夢を叶えられると信じて、懸命に励みます!」
ライダープロフィール
生年月日:1999年4月20日
出生地:ニース(フランス)
国籍:フランス
身長:177cm
体重:69kg
GPデビュー:2015年/カタールGP(Moto3)
GP初優勝:2018年/カタルニアGP(Moto2)
最高峰クラス初優勝:2020年/スペインGP
GP優勝回数:12回(MotoGPx11回、Moto2x1回)
GP表彰台回数:35回(MotoGPx31回、Moto2x2回、Moto3x2回)
ポールポジション回数:19回(Moto2x16回、Moto2x1回、Moto3x2回)
GPチャンピオン獲得回数:1回(2021年MotoGP:Monster Energy Yamaha MotoGP)
主な成績
2023年 MotoGP世界選手権:ランキング10位(172ポイント)
2022年 MotoGP世界選手権:ランキング2位(248ポイント)
2021年 MotoGP世界選手権:チャンピオン(278ポイント)
2020年 MotoGP世界選手権:ランキング8位(127ポイント)
2019年 MotoGP世界選手権:ランキング5位(192ポイント)
2018年 Moto2世界選手権:ランキング10位(138ポイント)
2017年 Moto2世界選手権:ランキング13位(64ポイント)
2016年 Moto3世界選手権:ランキング13位(83ポイント)
2015年 Moto3世界選手権:ランキング10位(92ポイント)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
250cc2気筒の水冷Newエンジンだけではないテクノロジーによる軽量化! 1980年、世界中を震撼させたRZ250がリリースされた。 排気ガス規制で1970年代中盤を過ぎると軽くてシンプルな高性能と[…]
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
LCDメーターがTFTにグレードアップ、外観も一新! リーニングマルチホイール=LMW採用の原付二種/軽二輪スクーターとして独自の地位を築いているヤマハの「トリシティ125」「トリシティ155」がマイ[…]
“グローバルカラー”をうたうマットパールホワイト インディアヤマハモーター(IYM)は、水冷単気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ「R15 V4(V4=第4世代の意 ※日本名YZF-R15)」の新[…]
最新の関連記事(モトGP)
本物のMotoGPパーツに触れ、スペシャリストの話を聞く 「MOTUL日本GPテクニカルパドックトーク」と名付けられるこの企画は、青木宣篤さんがナビゲーターを務め、日本GP開催期間にパドック内で、Mo[…]
欲をかきすぎると自滅する 快進撃を続けている、ドゥカティ・レノボチームのマルク・マルケス。最強のライダーに最強のマシンを与えてしまったのですから、誰もが「こうなるだろうな……」と予想した通りのシーズン[…]
2ストGPマシン開発を決断、その僅か9ヶ月後にプロトは走り出した! ホンダは1967年に50cc、125cc、250cc、350cc、そして500ccクラスの5クラスでメーカータイトル全制覇の後、FI[…]
タイヤの内圧規定ってなんだ? 今シーズン、MotoGPクラスでたびたび話題になっているタイヤの「内圧規定」。MotoGPをTV観戦しているファンの方なら、この言葉を耳にしたことがあるでしょう。 ときに[…]
2009年に移籍したのに「GP8」にも乗っていた?! 2003年にホンダからモトGPにデビューしたニッキーでしたが、2009年にはドゥカティ・コルセへと移籍。2007年にケイシー・ストーナーがデスモセ[…]
人気記事ランキング(全体)
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
トレリスフレーム+ユニトラックサスペンションの本格派 カワサキは欧州で、15psを発揮する水冷125cc単気筒エンジンをスチール製トレリスフレームに搭載し、前後17インチホイールを履かせたフルサイズス[…]
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
高級感漂うゴールドカーキのデザイン 「IQOS ILUMA PRIME ゴールドカーキ」は、その名の通り落ち着いたゴールドトーンとカーキを組み合わせた洗練デザインが特徴です。手に取った瞬間に感じられる[…]
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
最新の投稿記事(全体)
滑りにくさと耐久性を両立したソール設計 アシックスの安全靴「WINJOB CP113」は、油で劣化しにくく耐久性に優れたCPグリップソールを採用。濡れた床や油で汚れた現場でも安定したグリップ性能を発揮[…]
生産累計1億台、60周年の原点モデル 初代スーパーカブはホンダ創業の本田宗一郎氏と藤澤武夫氏が直接開発の先頭に立ったオートバイ。それに続く東南アジアのドリーム、WAVEなどを含む歴代スーパーカブシリー[…]
W230/MEGURO S1 デビュー応援キャンペーン 株式会社カワサキモータースジャパンが、2025年9月1日(月)より、全国のカワサキプラザにおいて「W230」および「MEGURO S1」の新車([…]
デビュー時は2スト125で敵ナシ状態! 1982年のヤマハRZ125が生んだムーブメントは、高速道路へ入れないマイナーな125スポーツだったのを、2ストの水冷化で通勤通学だけでなくレースへ興じる層が加[…]
ツーリングスポットに事欠かない南伊豆 南伊豆を存分に走り抜けたいなら、「県道16号下田石廊崎松崎線」は欠かせない。伊豆半島最南端の石廊崎へ続くこの道は、海岸線沿いの豪快な絶景海道。漁村が点在する東部の[…]
- 1
- 2