![[’89-]カワサキ ZXR750:現代のカワサキSSの源流【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/06/123-02.jpg?v=1687505674)
’80年代――あの頃のバイク文化は、レースの文脈と切っても切り離せないものだった。本記事では、当時のライダーを熱狂させたレーサーレプリカモデルから、カワサキのレース復帰モデルZXR-7のレプリカ、ZXR750を取り上げる。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
NinjaZX-Rのルーツ〈カワサキ ZXR750〉
’70年代から’80年代前半まで、世界中の耐久レースで2ストのKR750や、Z1ベースのKR1000といったカワサキのレーサーが活躍。これらはライムグリーンで彩られ、「グリーンモンスター」として恐れられた。グリーンは当時「不吉」を象徴する色だったが、カワサキは敢えて選び、自らが挑戦者であることを世に示した。
’82年を最後にカワサキはWGPへの参戦を休止していたが、’86年、市販車のGPX750RをベースとするZXR-7で全日本TT-F1に復帰。そして’89年、ついに同社初の750レプリカ、ZXR750が発売される。
エンジンはGPXをベースに、シリンダーヘッドやクランクシャフトを変更し、ストレート形状のダウンドラフトキャブを採用。さらに、アッパーカウルから蛇腹状のホースで新気を直接ヘッドに送り込むK-CASや、アルミE-BOXフレームなど、ワークスマシン譲りの装備を踏襲した野心作だった。
レース参戦が前提で高額なRC30やOW-01と違い、ZXRは一般的な価格の公道モデルとして発売。巡航時の快適性をも考慮した大柄なボディが特徴だった。それでも戦闘力は高く、’93年にはZXR750ベースとなったZXR-7が世界TT-F1王座、そして念願の8耐初タイトルを奪取。現在のNinja ZX-10Rほか、カワサキ製SSの源流はここから始まったのである。
【’89 KAWASAKI ZXR750】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 748cc 77ps/9000rpm 6.7kg-m/7500rpm ■205kg ■タイヤサイズF=120/70R17 R=170/60R17●当時価格:85万9000円
GPXの心臓部を徹底改良し、新開発フレーム+スタビ付きリヤアームに搭載。フルパワー仕様は107ps。
カワサキ ZXR750の系譜
’90 カワサキ ZXR750:スイングアーム改良5kg軽量化
【’90 KAWASAKI ZXR750】外観はほぼ同じだが、出力特性を変更。新型スイングアームで5kg減量した。
’91 カワサキ ZXR750:早くもフルチェン! 倒立フォークに
【’91 KAWASAKI ZXR750】右サイドカムチェーン直4と骨格を完全新設計。倒立フォークも備え、4kg軽量に。
’94 カワサキ ZXR750R:SBKホモロゲ版 FCRキャブ!
【’94 KAWASAKI ZXR750R】’91海外や’94等にR仕様を追加。FCRキャブやクロスミッション、アルミタンクを採用した。
’96 カワサキ Ninja ZX-7RR:レプリカニンジャ250台限定
【’96 KAWASAKI Ninja ZX-7RR】サーキット向けのパッケージに刷新。250台限定、スーパーバイクのベース車だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
スズキGSX-R250:過激さ控えめ“アールニーゴー” 1983年のGS250FWでクラス初の水冷DOHC4気筒を開発したスズキ。 しかし、4バルブエンジンの投入は遅れを取り、1987年のGSX-R2[…]
スズキGSX-R400R:ダブルクレードルにフルモデルチェンジ GSX-Rは、1990年に3度目のフルチェンジを敢行。新設計エンジンに加え、φ33mmダウンドラフトキャブや倒立フォークまで備えた。 フ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
ライバルとは一線を画す独自の手法で効率を追求 妥協の気配が見当たらない。GS400のメカニズムを知れば、誰もがそう感じるだろう。 フレームはGS750と同様の本格的なダブルクレードルだし、気筒数が少な[…]
250cc2気筒の水冷Newエンジンだけではないテクノロジーによる軽量化! 1980年、世界中を震撼させたRZ250がリリースされた。 排気ガス規制で1970年代中盤を過ぎると軽くてシンプルな高性能と[…]
随所に専用部品を投入したZシリーズ初のR仕様 Z1000の派生/上級機種として’78年に登場したZ1‐Rは、評価がなかなか難しいモデルである。まず当時の流行だったカフェレーサーの手法を取り入れながら、[…]
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
日本の免許制度を考慮してナナハン4気筒と同時開発 GS750の弟分。世間にはそういう見方をする人がいるけれど、’76年から発売が始まったGS400を弟分と呼ぶのは、少々語弊があるのかもしれない。なんと[…]
人気記事ランキング(全体)
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
コンパクトで使いやすいワイヤーロック ヘンリービギンズの「デイトナ ワイヤーロック DLK120」は、質量約90gの軽量設計で、ツーリング時の携行に適したポータブルロックです。ダイヤルロック式のため鍵[…]
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
最新の投稿記事(全体)
ツーリングスポットに事欠かない南伊豆 南伊豆を存分に走り抜けたいなら、「県道16号下田石廊崎松崎線」は欠かせない。伊豆半島最南端の石廊崎へ続くこの道は、海岸線沿いの豪快な絶景海道。漁村が点在する東部の[…]
世界に羽ばたくカスタムビルダー「CUSTOM WORKS ZON」 ZONは、吉澤雄一氏と植田良和氏によって2003年に設立されたカスタムファクトリーだ。彼らの真骨頂は、他に類を見ない高いデザイン力と[…]
軽さと安全性を両立した定番モデル プーマセーフティー「ライダー2.0 ロー」は、JSAA A種認定を取得した先芯合成樹脂を装備し、衝撃吸収機能を備えたメンズ用安全靴です。Amazonレビューは4.0([…]
コンパクトで携帯性に優れた携帯灰皿 「プルプラ クリップオンケース」は、ヒートスティック(加熱式タバコ)専用の携帯灰皿です。商品重量は約10gと非常に軽く、ポケットやバッグの隙間でも邪魔になりません。[…]
トレリスフレーム+ユニトラックサスペンションの本格派 カワサキは欧州で、15psを発揮する水冷125cc単気筒エンジンをスチール製トレリスフレームに搭載し、前後17インチホイールを履かせたフルサイズス[…]
- 1
- 2