’80年代――あの頃のバイク文化は、レースの文脈と切っても切り離せないものだった。本記事では、当時のライダーを熱狂させたレーサーレプリカモデルから、カワサキのレース復帰モデルZXR-7のレプリカ、ZXR750を取り上げる。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
NinjaZX-Rのルーツ〈カワサキ ZXR750〉
’70年代から’80年代前半まで、世界中の耐久レースで2ストのKR750や、Z1ベースのKR1000といったカワサキのレーサーが活躍。これらはライムグリーンで彩られ、「グリーンモンスター」として恐れられた。グリーンは当時「不吉」を象徴する色だったが、カワサキは敢えて選び、自らが挑戦者であることを世に示した。
’82年を最後にカワサキはWGPへの参戦を休止していたが、’86年、市販車のGPX750RをベースとするZXR-7で全日本TT-F1に復帰。そして’89年、ついに同社初の750レプリカ、ZXR750が発売される。
エンジンはGPXをベースに、シリンダーヘッドやクランクシャフトを変更し、ストレート形状のダウンドラフトキャブを採用。さらに、アッパーカウルから蛇腹状のホースで新気を直接ヘッドに送り込むK-CASや、アルミE-BOXフレームなど、ワークスマシン譲りの装備を踏襲した野心作だった。
レース参戦が前提で高額なRC30やOW-01と違い、ZXRは一般的な価格の公道モデルとして発売。巡航時の快適性をも考慮した大柄なボディが特徴だった。それでも戦闘力は高く、’93年にはZXR750ベースとなったZXR-7が世界TT-F1王座、そして念願の8耐初タイトルを奪取。現在のNinja ZX-10Rほか、カワサキ製SSの源流はここから始まったのである。
カワサキ ZXR750の系譜
’90 カワサキ ZXR750:スイングアーム改良5kg軽量化
’91 カワサキ ZXR750:早くもフルチェン! 倒立フォークに
’94 カワサキ ZXR750R:SBKホモロゲ版 FCRキャブ!
’96 カワサキ Ninja ZX-7RR:レプリカニンジャ250台限定
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