
東京モーターサイクルショーで最も注目を浴びたマシンのひとつ……。それが映画『シン・仮面ライダー』に登場する「サイクロン号」だろう! 特別に許可を得て、細部まで撮影したカットを元に徹底解説したい。
●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明) ●写真:編集部、ホンダ ●外部リンク:『シン・仮面ライダー』公式サイト
仮面ライダーは変身にバイクが不可欠だったんです!
ごぞんじ『仮面ライダー』シリーズは、令和の現代でも高い人気を誇る特撮作品。しかしオジサンにとって、昭和の仮面ライダーに対する思い入れは格別ではなかろうか。特に1971年(昭和46年)に放送開始された、初代『仮面ライダー』は特別だろう(昭和40年代生まれの筆者はまさにそうだ!)。
そもそも、なぜ仮面“ライダー”なのか、ご存じだろうか? いまはベルトで変身するイメージだが、仮面ライダー1号はバイクに乗ってベルトに風を集めることで変身していた。後に諸事情で風を受けずに変身できるようになったが、そもそもは仮面ライダーとバイクは切っても切れない関係なのだ。
前置きが長くなったが(笑)、その初代を庵野秀明がリメイクした映画こそ3月18日から公開された『シン・仮面ライダー』。庵野秀明は、『エヴァンゲリオン』で有名になったが、近年『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』に携わっているように、元々は超特撮オタク。もちろん仮面ライダーへの愛は深い。
その劇中に登場するサイクロン号が東京モーターサイクルショーで展示。3月24~26日の会期中、まさに黒山の人だかりができていた。
youtubeで冒頭映像を公開中。激しいバイクとクルマのチェイスから始まる!
白いフルカウルに6本出し、旧サイクロン号のオマージュだ
初代をご存じの方ならすぐわかるように、今回のサイクロン号は第1作の仮面ライダーに出てきたサイクロン号のオマージュだ。旧作では白いフルカウルに2眼ヘッドライトだったが、今回は4眼! しかも昆虫のような異形だ。
ベース車両はホンダのCB650R。カウル付きなのでCBR650Rかと思いきや、ネイキッドの方だ。CBRのカウルをモディファイするより根本から造り直した方が製作しやすいのだろう。
そしてマフラーは驚きの6本出し。直列4気筒なのに6本なのは、これも旧サイクロン号のオマージュだからだ。ちなみに旧サイクロン号のベースはスズキT20、ホンダRC166など諸説ある。
ハンドルは、CB650Rのバーハンドルに対し、セパレートタイプに変更。トップブリッジは異なるが、CBR650Rのハンドルか。撮影車両のためメーターは備えず、変形用と思われるレバーがある。 [写真タップで拡大]
変形前は弟分のCB250Rがベース、排気量もアップする!?
旧サイクロン号は変形していたが、新作でも変形は健在。変形前は同じCB-RシリーズのCB250Rが使用されている。
『シン・仮面ライダー』【公式】ツイッター(@Shin_KR)より。変形前のサイクロン号はCB250Rがベースだ。 [写真タップで拡大]
CB650Rの弟分であるCB250Rがベース。DOHC4バルブの水冷シングルを搭載し、144kgの軽さが自慢だ。’23年型で新排ガス規制に適合。ショーワ製SFF-BP倒立フロントフォークも獲得した。 [写真タップで拡大]
よく見るとヘッドライトがレブル250のLED4眼タイプだったり、サイレンサーの手前に3本ずつマフラーのような造形がされたりと、変形後の状態がデザインされている。さらに変形後は250→650へと排気量までアップする設定だ(?)。
ちなみに仮面ライダー第2号が乗るサイクロン号も劇中に登場。車両は1号と同様だが、マフラーがシルバーとなっている。
ライダーのハートを刺激する原点回帰、早く見に行こう!
今回の『シン・仮面ライダー』は、バイクを軸にした変身を行うのはもちろん、バイクアクションが満載らしい。ライダーにとって親近感が涌く映画だと思う。
……この書き方からわかるとおり筆者は執筆時点で残念ながら未見! オジサンライダーには懐かしく、若者のバイク乗りには新鮮な映画に仕上がっていれば嬉しい。そして映画が大ヒットし、バイクブームがさらに加速することも期待したい!
サイクロン号・その他のディテール写真
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