
3月22日に特許庁が発行した意匠公報で、カワサキモータースの電動&ハイブリッド(EV&HEV)車のメーターデザインが明らかになった。今までにヤングマシンが報じてきたとおり、駆動力を増す「e-boost」という機能が搭載されるほか、微速での前進&後進を可能とする「WALK MODE」の機能も明らかとなった。
●文:ヤングマシン編集部(マツ)
ひと押しでドヒュンと加速、ゆっくり前後進で取り回しラクラク!
特許庁が発行した意匠公報によると、このイラストは「乗物用メーターの画像」として2022年8月に出願され、2023年3月に登録されたもの。画像は全11枚が登録されており、これらがEV用とHEV用であることも記載されている。見ての通り、液晶パネルの両脇にはバッテリー(またはHEVのガソリン)メーターを置き、速度を中央に、そしてタコメーターのようなバーグラフを「e-boostゲージ」として使用するとされる。
注目したいのはこれらの画像の説明だ。まずはe-boostが「駆動力を増す」と明記されている点。以前から非公式には「加速をブーストするボタン」との情報は得ていたが、これで公式にカワサキのEV&HEVが、ボタン操作で後輪の駆動力をアップできる、いわば“加速装置”を備えることが明らかになった。
さらに、e-boostと同様に展示車両などで存在は明らかになっていたものの、機能の説明はなかった「WALK MODE」も今回メーター画像が登録され、その説明において「Fは前進、Rは後退を示す」と明記されたことで具体的な機能が明らかになった。
以前の記事でも推測したが、微速での前進と後退が可能となることは、走行する前後の、従来は腕力に頼っていたバイクの取り回しが劇的に容易化することを意味する。特に初心者がバイクに乗るハードルは、このWALK MODEが大きく引き下げてくれるはずだ。e-boostでカワサキらしい走りの楽しさを演出しつつ、さらにWALKMODEでライダーの裾野も広げるカワサキEV&HEV、こいつは期待大だぞ!
バーグラフの黒いセグメントの数は、e-boostを使用できる残り時間を示す。バッテリーメーターが左右にあるのは、バッテリーが2つある場合にそれぞれのバッテリー残量を示すため(バッテリーが1つの場合、左右のメーターは同一残量を示すという)。これらの画像では左右のバッテリー残量に差が生じている。ということは片方が通常走行で、もう片方がe-boost用?
e-boostのバーグラフは上下2段表示(右画像のS31とS32)となっており、2段ともに表示されている場合はブースト出力がフルパワーを発生できる状態で、左画像のように上段だけだと、e-boostは使用できるものの出力が半分の状態を示すという。
こちらはWALK MODEを選択した際のメーター画像。画像内のFが前進、Rが後退を示すという。速度の表記が1km/hや2km/hとされている点から、歩くよりも遅い速度での前後退をイメージしている模様。右の画像はHEVのもので、右の残量ゲージがガソリンとなっている点に注目。
カワサキが2023年の発売を予定しているEV(左)と、翌2024年の発売を目指しているHEV(右)。EVは125ccクラスを想定しており、HEVは400〜500cc級と思われるエンジンをモーターアシストし、クラスを上回る加速を披露するという。
カワサキEV&HEVのメーターに配されていた「e-boost」と「WALK」の操作ボタン。電動化をCO2の低減だけでなく、走りの楽しさや扱いやすさにも繋げているのはさすがカワサキ!
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
惚れるぜカワサキ! ガソリンエンジンは作り続ける! エンジン好きには何とも嬉しいニュースだ。カワサキは電動車やハイブリッド、水素エンジンの投入展望など、カーボンニュートラルへのビジョンを明確に述べたう[…]
水素燃料を使うと、超ハイレスポンスエンジンが出来上がる!? カーボンニュートラルに挑みつつも、我々ライダーが大好きな内燃機関も新規開発を進めるとEICMAで発表したカワサキ。4輪のトヨタを筆頭として、[…]
歩くように前進&後進できる。だからWALK! 東京都庁で開催された「ZEV-Tokyo Festival」は、電動車や水素エンジン車など、いわゆるゼロエミッションビークル(ZEV)のイベント。2/4輪[…]
カワサキの描くバイクの未来!Vol.1【EVでも「ニンジャ」か「Z」。それがカワサキ流!】はこちら 加速を楽しめればファンの部分、趣味性の高さが出てくる 今は世界中でカーボンニュートラル&SDGsが叫[…]
都庁前にゼロ・エミッション・ヴィークルが勢ぞろい! カワサキも水素エンジンバギーとZ EVを出品 国が2050年のカーボンニュートラル(以下CN)を目指すなか、それより一足早い2030年に四輪、そして[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
ホンダ初の本格的電動モーターサイクルが間もなく……? 2024年秋のEICMAで世界初公開された電動二輪車のコンセプトモデル「EV Fun Concept(イーヴィー ファン コンセプト)」は、202[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
「走る」を変える次世代の相棒 一般的なガソリンバイクが燃料を燃焼させてエンジンを駆動するのに対し、電動バイクはバッテリーに充電した電気でモーターを回して走行する。そのため、排気ガスを一切排出しない、環[…]
コスパも高い! 新型「CUV e:」が“シティコミューターの新常識”になる可能性 最初にぶっちゃけて言わせてもらうと、筆者(北岡)は“EV”全般に対して懐疑的なところがある者です。カーボンニュートラル[…]
125ccスクーターよりも力強い発進加速、街中で光る静けさ ホンダがパーソナルユース向けに国内リリースした電動スクーターの第2弾「CUV e:」は、第1段の「EM1 e:」が50cc相当の原付一種だっ[…]
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
一線から退くことすらファンが許さなかった「革新モデル」 世界最速を目指したZ1発売から10年余り、ついにカワサキは水冷4気筒エンジンを搭載するGPz900Rを1984年に発売。北米モデルはNinja([…]
20年ものロングランは、ライバルに気をとられない孤高を貫く開発があったからこそ! カワサキは1972年、DOHCで900ccと先行する初の量産4気筒のCB750フォアを上回るハイクオリティなZ1を投入[…]
400cc4気筒ブームの立役者、第3世代の直4を実現したカワサキの戦略 Z1/Z2系からZ650のザッパー系に続くカワサキ直4の第3弾がZ400FX。1980年代初頭に日本で巻き起こった空前のバイクブ[…]
ミドル直4“ザッパー”見参! 次世代を見据えた新技術を余さず投入 1970年代中頃はZ1がすでにビッグバイク界を席巻していたが、カワサキはその名を不動とするため「Z1ジュニア」のコンセプトのもと、40[…]
オフロード界に刺客! ツーリング仕様「KLX230 DF」見参 人気のKLX230シリーズに、ブランニューモデル「KLX230 DF」が追加された。KLX230シェルパをベースとしながら、リヤキャリア[…]
人気記事ランキング(全体)
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
皮脂や汗に含まれる尿素が生地を痛めてしまう ──一般の方が汗でびちょびちょのヘルメットをリフレッシュさせたい場合、どのように行えばよいでしょうか? 「どこが外せるのか、どういうふうに洗えばいいのかは、[…]
RH1250S スポーツスターS:ダウンドラフト吸気の水冷Vツインを黒で統一 121HPを発揮するレボリューションマックス1250Tエンジンをオールブラックにし、精悍さを強調するデザインとなった202[…]
シグナスシリーズ、20年の歴史を背負うニューフェイス 以前は空冷エンジン搭載のコンパクトな原付二種スポーツスクーターとして人気を博した「シグナスX」だが、水冷の新世代「シグナス グリファス」に交代した[…]
作って、触って、攻略する。新感覚のサーキット模型 スマホケースなどの地図柄グッズを手がけるクロスフィールドデザインが、モビリティライフスタイルブランド「レシプロ」の新商品として「レイヤード ランドスケ[…]
最新の投稿記事(全体)
一線から退くことすらファンが許さなかった「革新モデル」 世界最速を目指したZ1発売から10年余り、ついにカワサキは水冷4気筒エンジンを搭載するGPz900Rを1984年に発売。北米モデルはNinja([…]
イタリア魂が込められたフルサイズ125ccネイキッド イタリアンブランドとしての誇りを胸に、資本も製造もすべてイタリアで行うファンティックは、コストダウンのために安易なアジア生産に走らず、職人の手で丁[…]
厳格な基準をクリアした車両のみが“認定中古車”を名乗れる 国内外のほとんどの2輪/4輪メーカーが設けているのが“認定中古車制度”だ。これは自社のブランド価値を保ち、中古車市場においても顧客に安心して車[…]
なぜハイエンドの性能が「半額水準」なのか ASMAX F1 Proは、次世代バイク用インカムブランド「ASMAX」のフラッグシップモデルで、2025年9月上旬から販売開始される。F1 Proがライダー[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]
- 1
- 2