
’22年の大阪および東京モーターサイクルショーでお披露目され、注目を集めた「E01」。これまでの近距離移動用ではなく、中長距離移動ができる本格的な電動バイクとしてはヤマハの初の車両だ。一般販売はなく実証実験のデータ収集が目的だが、欲しくなる1台だった!
●文:ヤングマシン編集部(近藤スパ太郎) ●写真:輪 ●外部リンク:ヤマハ
- 1 ヤマハ E01:静かでパワーのある乗り心地。クルマで言えば高級車!
- 2 ヤマハ E01:試乗インプレッション
- 3 ヤマハ E01:バッテリー性能
- 4 ヤマハ E01:車両紹介
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ヤマハ E01:静かでパワーのある乗り心地。クルマで言えば高級車!
通勤や通学などコミューターとして使われる既存スクーターのほとんどは、振動と音が大きい単気筒のガソリンエンジン。対してEVは低速時のパワーがあり、静かで振動が少なく疲れにくいメリットを持つ。EVのこの特性は、毎日使用するコミューターに最適では? という視点で、開発されたのがこのE01だ。一般販売の予定はないものの、ヤマハでは初となる中長距離を走れる電動バイクである。
車格はコンパクトさと利便性を兼ね備える125ccのNMAXと同等サイズ。航続距離は104km、海外での高速移動にも対応し最高速100km/hを実現した。0〜1950rpmで最大トルク30Nmを生み出すモーターと容量4.9kWhのバッテリーをヤマハで開発し、これら重量物のマスの集中化を図るために強度と剛性に優れたバックボーンフレームも新開発した。
【ヤマハ E01】■全長×全幅×全高(mm):1930×740×1230 ■シート高:755mm ■ホイールベース:1380mm ■車体重量:158kg( バッテリー装着時)■原動機:交流同期電動機 ■駆動方式:ベルトドライブ ■回生ブレーキ:あり(減速効果用。走行距離の延長はない)■定格出力:0.98kW ■最大出力:8.1kW(11PS)/5000rpm ■最大トルク:30Nm/1950rpm ■最高速度:約100km/h※1 ■航続距離:104km※2 ■駆動用バッテリー:リチウムイオン電池 ■バッテリー電圧/容量/充電時間/重量:87.6V/56.3Ah(4.9kWh)/約1h ※3 ■ブレーキ:油圧式シングルディスクブレーキ(ABS装備) ■タイヤサイズ:F=110/70-13M/C 48P R=130/70-13M/C 63P 車両区分:原付二種 運転免許:AT小型限定~ ■乗車定員:2名 ●車体色:ブルーイッシュホワイトパール1(ホワイト) ●価格:一般販売予定なし(実証実験モデル※4) ※1 メーター読み。走行条件により異なる ※2 日本仕様車60km/h定地走行テスト値。各国仕様により数値は異なる。また、実航続距離は走行条件により変動する ※3 急速充電装置の場合。普通充電装置の場合は約5時間、ポータブル充電装置の場合は約14時間 ※4リース料:2万円/月
【ライディングポジション】125ccのNMAXと同等のディメンションで設計されているため、ライポジはとても良い。シート高は755mmとNMAXよりも10mm高いのだが、前方がスリムデザインのため、股下73cmのボクでも足着きはベッタリだ。車重は158kgと重いが、専用設計のフレームに重量物のバッテリーやモーターを下に搭載した低重心設計のため、安定感がありハンドリングも軽い。後進機能があるので狭い場所のUターンや駐輪場の出し入れがとても楽ちん! [身長173cm/体重77kg]
ヤマハ E01:試乗インプレッション
試乗した日は生憎の雨で、しかもミューの低い駐車場。だがこの悪条件のおかげでE01の優れた性能をかえって体感できた。
まずは標準モードでスロットルを開けると、リニアに反応してウイーーンと静かに走り出す。力強い加速がとてもイイ。原付二種としては重い158kgの車重だが、重量バランスがとても良く、パイロンスラロームでも安定した走りを見せる。
パワーモードではさらに加速力が増したので、あえてスロットルの開閉を激しく操作してみたり、強いブレーキを掛けたり、無理に倒して走ってみるが、滑りやすい路面でも全く怖くなく安定した走りだ。でもこれは、路面状況ごとのグリップ力の変化を自動で補正するトラクションコントロールが働いているからで、決してボクのテクではない。また、バッテリー消費を抑えたエコモードの最高速は60km/hだが、これでも十分な加速力と走りをみせる。
面白いのがヤマハとして初採用となる回生ブレーキだ。走行距離の延長効果は持たず、後輪の回転力をモーターの抵抗に利用して、エンジンブレーキのフィーリングを再現している。でも電力も回収すれば一石二鳥ではないか。技術的には可能なハズなので、モッタイナイ気もするのだが…。
ちなみに比較のためNMAXに乗ってみると、ガソリンエンジンはスロットルを開けても回転数が高くなるまでにタイムラグが発生し、モーター駆動と比べるとややもたつきを感じてしまう。コミューターとしては低速域でキビキビ走れるE01の方が確かに乗りやすそうだ。
現在の一般向け1次リース貸出実証実験は9月で終了してしまったが、今後2次リースも検討をしているという。次回はボクも申し込みたいなぁ〜!
ヤマハ E01:バッテリー性能
充電はプラグインのみ。フロントカウルの前側に充電口があり、台湾で普及が始まったバイク専用急速充電規格のCNSと、ヤマハ独自開発の100Vと200Vの普通充電の機能を持つ。そんな事情から日本ではこの規格の充電インフラは街中にはなく、ヤマハは充電器機も含めた実証実験を実施する。
車両に付属し、メイン使いとなる100V電源のポータブル充電器。空からフル充電まで約14時間で、シート下に収納して持ち運びが可能。
車両に付属し、メイン使いとなる100V電源のポータブル充電器。空からフル充電まで約14時間で、シート下に収納して持ち運びが可能。
200V電源で満充電まで約5時間。但しリース料1000円/月と、約13万円の設置撤去費用は自前で負担する必要あり。普及するのかなぁ?
200V電源で満充電まで約5時間。但しリース料1000円/月と、約13万円の設置撤去費用は自前で負担する必要あり。普及するのかなぁ?
満充電まで1時間のCNS規格の台湾製急速充電器。他にも子機3台を設置可能なタイプもある。販売店設置やシェアリングサービス用だ。
満充電まで1時間のCNS規格の台湾製急速充電器。他にも子機3台を設置可能なタイプもある。販売店設置やシェアリングサービス用だ。
充電口は台湾で普及するCNS規格だ。
充電口は台湾で普及するCNS規格だ。
ヤマハ E01:車両紹介
モーター
【走行は3モードから選択。リバース機能も備える!】ヤマハが二輪車専用に開発した高回転型の空冷モーターを搭載。最大出力8.1kW/最大トルク30Nm/最高速100km/hのパワーモード。最大トルクが25Nmのスタンダード。最大出力5.4kW/最大トルク21Nm/最高速60km/hのエコモードを選択できる。
【走行は3モードから選択。リバース機能も備える!】ヤマハが二輪車専用に開発した高回転型の空冷モーターを搭載。最大出力8.1kW/最大トルク30Nm/最高速100km/hのパワーモード。最大トルクが25Nmのスタンダード。最大出力5.4kW/最大トルク21Nm/最高速60km/hのエコモードを選択できる。
最大出力8.1kW、最大トルク30Nmのモーターパワーは、静粛性が高くエネルギーロスの少ないベルト駆動で後輪に伝えられる。
最大出力8.1kW、最大トルク30Nmのモーターパワーは、静粛性が高くエネルギーロスの少ないベルト駆動で後輪に伝えられる。
足まわり/シャーシ
スイングアームはアルミダイキャスト製を採用して軽量化。前後にシングルピストンキャリパーとABSを搭載している。
スイングアームはアルミダイキャスト製を採用して軽量化。前後にシングルピストンキャリパーとABSを搭載している。
サスペンションやキャリパーはNMAXと同等。
サスペンションやキャリパーはNMAXと同等。
黒いフィンのパーツは、モーターを守るガード。
黒いフィンのパーツは、モーターを守るガード。
バッテリーを包み込み、マスの集中化を図ったバックボーンフレーム。
バッテリーを包み込み、マスの集中化を図ったバックボーンフレーム。
主要装備
充電口があるフロント部は「顔」ではなく記号化したというデザイン。
充電口があるフロント部は「顔」ではなく記号化したというデザイン。
液晶メーターは瞬間認知性の良い縦型を採用。
液晶メーターは瞬間認知性の良い縦型を採用。
ホールド感があるシームレス表皮のシート。
ホールド感があるシームレス表皮のシート。
電動バイクとしては大容量の約23Lのシート下トランクを持ち、ポーダブル充電器がスッポリ入る。ジェットヘルメットも収納できた。
電動バイクとしては大容量の約23Lのシート下トランクを持ち、ポーダブル充電器がスッポリ入る。ジェットヘルメットも収納できた。
テールまわりは車体と一体化した灯火類でスッキリ。
テールまわりは車体と一体化した灯火類でスッキリ。
メインスイッチはNMAXと同じデザイン。
メインスイッチはNMAXと同じデザイン。
メインスイッチオンですぐに車体が起動するキーレスエントリー採用。
メインスイッチオンですぐに車体が起動するキーレスエントリー採用。
フロントトランクを左右に設。12VのDCソケットも備える。
フロントトランクを左右に設。12VのDCソケットも備える。
[連載] 近藤スパ太郎の電動バイクに乗っタロウ!に関連する記事
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