
CB750フォアを尖兵に、ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキの日本4大メーカーが世界の頂点に君臨する時代が幕を開ける。大排気量空冷マルチエンジンを搭載した公道の王者たち、その有志をご覧いただこう。本記事では、ヤマハが4気筒エンジンの開発に乗り出し、世界最速を目指した最初のモデルである「XS1100」を取り上げる。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
- 1 国産車として当時最大の1101ccをマーク【’78 ヤマハ XS1100】
- 2 ヤマハ XS1100の系譜
- 3 ヤマハは当時から独自路線の拘り屋だった
- 4 [連載]青春名車オールスターズに関連する記事
- 5 「みんな、2ストに恋をした」1980ヤマハRZ250/350:バイク史を塗り替えたナナハンキラー【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 6 「純正でヨシムラ管?! 」スズキ式チューニング仕様車:1982スズキGSX400FSインパルス【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 7 「スタイルも性能も100点」ヨンヒャク4気筒バトル堂々の最後発!:1981ホンダCBX400F【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 8 「王者の風格」400cc4気筒ウォーズの火付け役:1979カワサキZ400FX【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 9 「初の4気筒! 」ヤマハの歴史を変えたミドルマルチ:1980ヤマハXJ400【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 10 「市販車初の集合マフラー」カフェレーサーの金字塔:1974ホンダCB400フォア【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 11 「そしてZX-10へ」カワサキ流最速&快適マシンの原点:1986カワサキGPZ1000RX【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 12 「油冷による軽量革命」1980年代レプリカブームの決定打:1986スズキGSX-R1100【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 13 人気記事ランキング(全体)
- 14 最新の記事
国産車として当時最大の1101ccをマーク【’78 ヤマハ XS1100】
ヤマハもカワサキやスズキと同様に、’60年代までは2ストを主体に開発を続けてきたメーカーだ。しかし、自動車エンジン部門ではトヨタのクラウンや2000GT、セリカなどを手がけた実績があった。
2輪車として初のヤマハ製4スト車は、’70年発売の650cc2気筒のXS1。次いでTX750やTX500を生みだし、’76年には3気筒DOHCのGX750をリリースする。これらのモデルに見られるように軽量/スリム/コンパクトがヤマハ車の基本コンセプトではあったが、いよいよ世界最速をめざして4気筒の開発に着手する。
当初はGXに1気筒プラスする構想で1000ccの4気筒が開発されていたが、スズキGSを超えるパフォーマンスを獲得するため、さらに排気量を拡大して1101ccが与えられた。これは国産車としては当時最大の数値であり、「イレブン」のインパクトは強大だった。
’77年プロトタイプ発表の時点で、すでにGX同様のシャフトドライブが与えられており、これは無論レース向きとは言えない設計。しかし、重厚路線で最大最強最速モデルを作ろうという意気込みが見て取れた。かくして北米、欧州を中心にXSイレブンは好評を博すに至ったのだ。
一方、ロードスポーツの車体とエンジンを流用したいわゆるアメリカン仕様=クルーザー(ヤマハ呼称は“スペシャル”)を派生させる車体作りも定着しはじめていた。XS1100にも“スペシャル”が投入され、特に黒×金カラーの“ミッドナイトスペシャル”は、そのネーミングと相まって大いに人気を集めた。
【’78 YAMAHA XS1100】■空冷4スト並列4気筒 DOHC2バルブ 1101cc 95ps/8000rpm 9.2kg-m/6500rpm ■255kg(乾) ■タイヤF=3.50-19 R=4.50-17 ※輸出モデル
XS1100のエンジンは71.5×68.6mmのボア×ストロークを持ち、圧縮比は9.2。最高出力は95psを誇り、後にCBXやZ1300が登場するまで、最大最強を誇った。
XS1100のエンジンは71.5×68.6mmのボア×ストロークを持ち、圧縮比は9.2。最高出力は95psを誇り、後にCBXやZ1300が登場するまで、最大最強を誇った。
スピードを極めるライバル勢
【’79 HONDA CB900F】’70年代末は各社とも最速モデルが続々誕生した時代。スズキのGS1000が鈴鹿8耐で結果を出し、ホンダは動力性能と運動性能を兼ね備えたCB900Fで対抗。カワサキは熟成を重ねたマークIIで最速に磨きをかけた。
【’79 HONDA CB900F】’70年代末は各社とも最速モデルが続々誕生した時代。スズキのGS1000が鈴鹿8耐で結果を出し、ホンダは動力性能と運動性能を兼ね備えたCB900Fで対抗。カワサキは熟成を重ねたマークIIで最速に磨きをかけた。
ヤマハ XS1100の系譜
ビキ二×火炎ホイールのカフェレーサー【’81 ヤマハ XS1100S】
【’81 YAMAHA XS1100S】丸目一灯のヘッドライトにビキニカウルと火炎ホイールを備え、黒と金に彩られたスポーティなカフェレーサー仕様も登場した。
【’81 YAMAHA XS1100S】丸目一灯のヘッドライトにビキニカウルと火炎ホイールを備え、黒と金に彩られたスポーティなカフェレーサー仕様も登場した。
ヤマハは当時から独自路線の拘り屋だった
4気筒ブームにパラツイン:[’70-]XS-1
対米輸出もにらんで、2スト専門のヤマハが初挑戦した4スト車。デビュー時はホンダがCB750フォアを発売していたが、独自のビッグツイン路線を歩む。英車のボンネビルが参考にされ、空冷バーチカルツインをダブルクレードルに搭載した。後のSRに通じる美しいスタイルを手がけたのはGKダイナミックスの石山篤氏。
【’70 YAMAHA XS-1】主要諸元■空冷4スト並列2気筒SOHC2バルブ 653cc 53ps/7000rpm 5.5kg-m/6000rpm ■車重185kg(乾) ■タイヤF=3.50-19 R=4.00-18 ●価格:33万8000円
待望のナナハンもパラツイン:[’72-]TX750
数種類の派生を生んだXS1だったが、それを超えた750ccの2気筒もリリース。これもパワー重視ではなく、あえてSOHCとしてトルク感やエンジンの鼓動、スリムな車体がもたらす軽快さなどでヤマハらしさを体現。ドライサンプの潤滑方式やアルミリム、丸形を基調とした外装やフラッシャーのデザインも個性的だった。
【’72 YAMAHA TX750】主要諸元■空冷4スト並列2気筒 SOHC2バルブ 743cc 63ps/6500rpm 7.0kg-m/6000rpm ■車重210kg(乾) ■タイヤF=3.50-19 R=4.00-18 ●価格:38万5000円
マルチになっても3気筒:[’76-]GX750
TX750の後継機となるGX750は、120度クランクのDOHC3気筒を搭載。そこには“他社にはないもの、オリジナリティを出す”というメーカーの心意気が表れている。高価だが信頼性の高いシャフトドライブの採用は、チェーンほど整備が煩雑ではないため、欧米では一躍人気車となった。スリムで取り回しのよい車体も好評を博した。
【’76 YAMAHA GX750】■空冷4スト並列3気筒 DOHC2バルブ 747cc 60ps/7500rpm 6.6kg-m/6500rpm ■229kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=4.00-18 ●価格:48万9000円
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[連載]青春名車オールスターズに関連する記事
人気記事ランキング(全体)
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
エクステリアはより力強く、そして個性的に 今回のモデリスタのコンセプトは、その名も「Dandy mode(ダンディモード)」だ。彫刻的な立体表現を随所に用い、街中はもちろんのこと、オフロードにおいても[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
動きが渋い鍵穴に潤滑剤はNG! ・・・の前に ちょっと前に「キーの回りが渋くなってきた鍵穴に、潤滑剤を吹きつける(注入する)のはNG!」という情報がネット上で広く流れました。その理由は一時的に動きが滑[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
最新の記事
- 【ワークマン】「梅雨入りしてからじゃ遅いっ!!」「この価格でライダー用としてほぼ完璧?!」プレミアムなレインジャケットが新登場!
- 敗戦から2年後に生まれたホンダ初の自社製品・Model A(A型)[’47年製造]〈走行映像あり〉
- 世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.141「MotoGPでヤマハ復活! というにはまだ早い……?/全日本でも猛威を振るう欧州メーカー」
- スーパーカブに新アイデア! ブレーキペダルひとつで後輪ブレーキとパーキングブレーキを兼ねる構造の特許
- 「バイク型ライドコースターで新感覚を堪能だ! 」富士急ハイランド&鈴鹿サーキットパークでGWをフルスロットルで楽しんじゃおう
- 1
- 2