CB750フォアを尖兵に、ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキの日本4大メーカーが世界の頂点に君臨する時代が幕を開ける。大排気量空冷マルチエンジンを搭載した公道の王者たち、その有志をご覧いただこう。本記事では、カワサキが世界最速を目指し世に送り出したマッハIIIに焦点を当て、その系譜を紹介する。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの引用です。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:ZEPPAN UEMATSU
- 1 3速でウイリーした “ジャジャ馬”
- 2 カワサキ MACH IIIの系譜
- 3 進化型のKHとともに大シリーズへ
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3速でウイリーした “ジャジャ馬”
戦前からBMWやベンツの航空機エンジンをライセンス生産していた川崎重工業は、その間に蓄積してきた高い技術力を活かし、戦後になるとこれを民間事業に振り向けて2輪事業に着手した。今でこそカワサキモーターサイクル&エンジンカンパニーと呼ばれているが、マッハが誕生したころは他の多岐にわたる事業に対して「単車事業部」という名称を与えられていた。
初期はエンジンのみであったが、’60年からは車体も明石工場で手がけるようになり、ここに”カワサキ”ブランドが出現する。最後発ながら、生産設備や精度の高さにより、’66年には250A1サムライでクラス最速となり、’69年にいよいよマッハ3を送り出す。
開発目標は”世界最高速”を高い技術力で立証すること。パワーウエイトレシオなどを計算し、60psでゼロヨン12秒台、200km/hを500ccで達成すべく、世界初の空冷2スト3気筒、非対称3本マフラーなどを開発。これが世界的な名車となった。
空冷2スト3気筒500cc。そう聞いただけで、パンチを求めるバイク乗りならヨダレが出てくるはずだ。4スト2気筒450ccDOHCのCB450でリッターあたり約97psを達成していたホンダだったが、カワサキはこれを上回るべく2スト500ccをチョイスし、リッター120psを実現してみせた。実績ある並列2気筒をやめ、並列3気筒というインパクトあるレイアウトを選んだのもこのためだ。化け物のようなエンジンを乾燥重量174kgの軽量ボディに搭載したマッハは、瞬く間にマニアを虜にした。
ピーキーなエンジンに不足気味のフロント荷重で暴れ馬と称されたスパルタンな乗り味もまた、伝説を豊かに彩るエピソードと言えよう。
カワサキ MACH IIIの系譜
進化型のKHとともに大シリーズへ
500SSの人気を背景に250SSや350SS(のちに400cc版も)のほか750SSをリリース。特に750SSはCB750Four[K0]に対抗できる唯一のモデルで、Z1が登場するまでのつなぎ役としても期待されていた。’76年以降はパワーダウンを伴ったKHシリーズ(250/400/500)にそのキャラクターを受け継いだ。
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