アフリカツインをベースとする兄弟車、大阪・東京モーターサイクルショーで発表されたホーク11(イレブン)。クルーザーのレブル1100、ツアラーのNT1100に続く第4弾は「GB系のネオクラシックか?」とも予想されたが、なんと完全オリジナルのロケットカウルを纏ったカフェスタイルで登場が決定した。モーターサイクルショーに先駆け、’22年2月末からティーザーでロケットカウルの画像が公開されたが、このカウルこそがコンセプトの要であり最大のこだわりだ。
●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ホンダ
カウルありきで開発を進めたロードスポーツ
’22年3月19日からの大阪モーターサイクルショーにて世界初公開となったホーク11。本誌でも数回に渡りスクープをお伝えしてきたが、どうやら、モーターサイクルショーで市販予定車として発表されたモデルが最終形態となりそうだ。
水冷2気筒エンジン/セミダブルクレードルのフレーム/前後の足まわりから解るように、直接的なベースはNT1100。とはいえNT1100もアフリカツインも、いわゆる「腰高」なアドベンチャーやツアラーである。それを「低いロードスポーツ」のカフェスタイルに落とし込み、形だけでなく軽快な走りを成立させるためには、デザイン的に容量を稼ぎにくいエアボックスの設計や、キャスターを立てたアライメントなど様々苦労があったという。
こだわりの繊維強化プラスチック製ロケットカウル
そしてホーク11のアイデンティティであるロケットカウルは、量産市販車としては珍しいFRP(繊維強化プラスチック)製。一般的なABS樹脂だと、この形状で作るにはインジェクション成形型を分割せざるを得なく、モールドの“継ぎ目”ができる。それだと仕上げの形状はもちろん、塗装面への「風景の映り込みが美しくない」という理由でFRPを採用したというから驚かされる。じつは変わった取り付け方法のバックミラーも、ロケットカウルにミラーステーの取り付け穴を開けたくなかったためだという。バーエンドミラーは車幅が広くなるので却下され、後方視界の良さも含めて、この形態に決まったという。
繊維強化プラスチック(FRP)とは!?
金型で大量生産できる一般的な樹脂部品に対し、繊維強化プラスチック(FRP)は、ガラス繊維などを樹脂で固めて強度を高めたもので、薄く、軽量化できるのが最大の特徴。ただし製造工程には繊維の貼り込み作業が必要になるため大量生産には向かず、主に小ロット生産のモデルに採用される。このホーク11は、青と黒の2色展開の模様だが、このFRP製カウルに起因する生産台数も気になるところ。
FRPカウル採用車両
セパレートハンドルだがツーリングも楽しめる快適なライディングポジション
とはいえロケットカウル&低いセパレートハンドルは、スタイリッシュではあるがキツい前傾姿勢を強いられるのが一般的。そしてホーク11が想定するメインユーザーは経験豊かなベテランライダー。様々なバイクに乗り継いでおり「伝統的なシルエットのバイクに乗りたい。しかし疲れるライディングポジションは避けたい」と、要求のハードルも高い。そこでホーク11は、「低いセパレートハンドルと、ラクなライディングポジション」という本来は相反する条件を見事にクリア。これはMCショーで跨った方なら体感できたと思う。快適性を追求するならレブルやNT1100のようなDCT仕様が優位と思われるが、ホーク11は(現時点では)MT6速。これは走りの満足感、充足感を得るための選択という。
そしてプライスは139万7000円。国内外問わず、スタイルを重視したネオレトロ系は総じて“高め”なのに対し、排気量などのクラスを考えると手が届きやすい、といえる。これもホーク11の歓迎すべき特徴だろう。
’22 HONDA HAWK 11
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