’19年に本誌がその存在をスクープして以来、近年まれに見るほどのスクープ合戦が各バイク雑誌を賑わせてきた大注目のダックスが、その全貌を明かすときがやってきた! ’22年最大の注目車といえるこの1台を大特集でお届け。本記事では、開発に携わった3名に、新型ダックス開発時のこだわりや苦労を聞いた。
●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ホンダ
- 1 開発/発売のキッカケ、コンセプトや購買層は?
- 2 開発上で苦労したポイントは?
- 3 デザインのこだわり&カラーはどう決めたのか?
- 4 モンキーはMT5速だが、ダックスはなぜAT4速?
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開発/発売のキッカケ、コンセプトや購買層は?
常松「’18年にスーパーカブC125/モンキー125を発売し、想定以上にご好評を頂き、’20年に発売したCT125ハンターカブもキャンプブームなどと相まって高い評価を得ました。この他にも原付二種全体が、いままでは通勤や日常の移動が主だったのに対し、ツーリングやキャンプにも使われるようになってきました。そこで趣味的な用途であったり、ホンダらしさを体現したモデルということで、ダックス125の投入を進めてきました」
八木「家族で楽しみたいとか、昔バイクに乗っていた方とか、気軽に乗れるというところで『ファミリー&レジャースニーカー』という言葉を掲げて開発してきました。2人乗りや背の低さなどで求めやすいモノとしました。また、プレスフレームを復活させるというところもこだわった部分なので、ぜひそこも見て頂きたいと思います」
開発上で苦労したポイントは?
横山「ダックスフンドの胴長を表現するためのT型のフレーム/丸型のヘッドライト/アップマフラー。この3つは開発の初期段階からダックスを表現するために必要なアイコンでしたが、このモデルでは、やはりフレームにすべてが集約されています、デザインだけでなく設計やテストも含めて」
八木「フレームそのものが外観になり、目につくところなのでキレイに仕上げなければいけないので、設計上でも生産上でもかなり打ち合わせしました。表面の処理、プレス工程で作る難しさと…あとはフレームの中にすべての部品を入れ込むのですが、それをデザインともバランスさせなければいけないところが非常に難しかった。他にもシートをこの大きさで乗り心地や乗りやすさを表現するのに苦労しました」
常松「タイホンダで生産しているので、工場の皆さんとミーティングを重ねながら、とくに跨ったときに見える(フレーム上面の)溶接の部分ですね。皆、美しいもの良いモノを作ろうとチーム一丸でやってきました」
横山「久々に作るプレスフレームなので、衝突の解析とか苦労しましたね。何十回も解析/データを取って、デザインと性能を両立させました」
デザインのこだわり&カラーはどう決めたのか?
横山「まずカラーに関しては、赤はすぐに決まりました。初代も赤、(’95年の)再販モデルも赤で、皆さんの脳裏に残っているのが赤ですから。しかし、もう1色はかなり検討しました。グレー/オレンジ/メタリックのブルー/ベージュ…。そこで今回は、昔ではできなかった“今どきのグレー”を採用しました。若い方にも乗って頂けるカラーだと考えています。
また、(フレームの)DAXの文字の帯は、ダックスフンドの首輪をイメージしたモノになっています。もうひとつ、この(フレーム右側面)犬のマークは以前のダックスにもついていましたが、今回は125ccならではの元気良さを表現する遊び心を入れています。これは1年目の新人デザイナーが楽しんでデザインしています」
モンキーはMT5速だが、ダックスはなぜAT4速?
八木「よりイージーに乗れるAT4速を採用しています。ガチで走りたい方はMT5速になると思いますが、ダックスは気楽に跨って、街乗りも快適なギヤレシオになっています」
常松「自動遠心クラッチは、クラッチ操作でギクシャクする心配がないですし、ギヤチェンジの回数も少ない方がタンデムした時に快適ですね。なのでダックスは、敢えて自動遠心クラッチの4速に設定してもらいました」
八木「タンデムのしやすさも踏まえて、モンキーよりもホイールベースを長くしています。シートもモンキーより低くしてシェイプアップしているので、跨ぎやすくて足もベッタリ着きます」
常松「ホイールベースもシートもフレームも長い。パット見た時の安心感や『コレなら2人で乗れるな』と感じてもらえるんじゃないでしょうか」
横山「長く愛着の持てるモデルに仕上げていますから、ぜひ現物をご覧になって、楽しんで頂ければと思います」
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