
バイクエンジンのシリンダーをアルミメッキシリンダー化するICBM技術は、鋳鉄スリーブと比べて軽いうえに減らない理想のシリンダー。しかし、今までは愛車のシリンダーをICBM化できるのは技術と設備を持つiB(井上ボーリング)のみだった。それを他の内燃機業者でも加工可能にした商品が「エバースリーブ(EVER SLEEVE)」だ。
●文/写真:モトメカニック(たぐちかつみ) ●外部リンク:iB井上ボーリング
“特許”認定で新技術の普及を目指すiB井上ボーリングのエバースリーブ
長年使い込むことで摺動部分がどうしても摩耗変形してしまうのが鋳鉄スリーブの特徴である。そんな擦り減ったシリンダースリーブ内壁を、再度、真円に内燃機加工するのがボーリングである。長年に渡って減らないシリンダー作りを目指し、様々なテストを繰り返してきたのがiB井上ボーリング。その真摯な取り組みは、モトメカニック読者はもちろん、本誌の前身、旧モトメンテナンス誌時代から数多くの読者のみなさんに理解いただけていると思う。
アルミメッキシリンダー化するICBM技術は、鋳鉄スリーブと比べて放熱性が極めて高く、軽いうえにしかも減らない(減りにくい)理想のシリンダーとして、多くのファンに愛用されている。そのICBM技術のさらなる普及を目的に開発されたのが「エバースリーブ(EVER SLEEVE)」だ。
実は、定評あるICBM技術を日本中の内燃機加工業者に”解放”することを目的に開発されたのが同技術。従来であれば、愛車のシリンダーをICBM化したい際はiBに加工依頼するしか方法はなかった。しかし今後は、カワサキZ1のφ66.5mm(0.5mmオーバーサイズ)に限り、”エバースリーブを購入”し、気心の知れた地元の内燃機業者へ加工依頼できるようになる。iBとしては、ユーザーニーズの独占ではなく、全国の内燃機業者を通じて、エバースリーブを広く理解してもらうのと同時に普及を目指し、同業他社との連携も大きな目的としている。
エバースリーブの製造技術は、すでに”特許”の認証を取得済み。そのため、エバースリーブのビジネスモデルをたやすく模倣することはできない。そんなエバースリーブ技術の普及は、今後の内燃機シーン/旧車エンジン加工シーンを大きく変えそうだ。従来通りiBでは、機種を問わずICBM化は請け負っているので、次の機会にはぜひ最高の技術を愛車に組み込んでほしい。
※「ICBM」および「EVER SLEEVE」は井上ボーリングの登録商標です。
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