オフ性能重視のアドベンチャーモデル
ヤマハ テネレ700試乗インプレッション【他とは一線を画す”ザ・冒険マシン”】
- 2021/1/8
欧州で先行販売されていたヤマハ テネレ700が、日本でも’20年7月31日にリリースされた。オフ重視のフロント21/リヤ18インチホイールを履くこのニューモデル。アドベンチャーモデルの中でもかなりオフロード重視であり、待っていた人は多いハズ。
[◯] 出力特性はオフ向き。操安性は本物志向だ
ライダーが直感的に面白いと思えるMT-07の走りに感動し、そのエンジンを搭載するトレーサー700の国内正式販売をすでに4年も待っている私にとって、「テネレ700」は試乗を楽しみにしていた1台だ。

【YAMAHA TENERE700】主要諸元■全長2370 全幅905 全高1455 軸距1595 シート高875(各mm) 車重205kg ■水冷4スト2気筒DOHC4バルブ 688cc 72ps[53kW]/9000rpm 6.8kg-m[67Nm]/6500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量16L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク■ タイヤF=90/90-21 R=150/70R18 ●色:青 白 黒 ●価格:126万5000円 [写真タップで拡大]
専用設計の高張力鋼管ダブルクレードルフレームに搭載されるMT-07ベースの688cc水冷パラツインエンジンは、吸排気系およびFIセッティングが変更されている。発進してまず感じるのは、低中回転域でのトルク感が意外と薄いということ。車重がMT-07よりも22kg重いこともあるだろうが、270度位相クランクによる快活な鼓動感はあえて抑えられており、レブリミットまでフラットに回転が上昇する。新型車には今どき珍しくトラクションコントロールが採用されておらず、それに頼らずともスロットルでコントロールできる特性を追求したのだろう。ちなみにトップ6速・100km/hでの回転数は、MT-07が4000rpm付近なのに対し、テネレ700は4500rpmとやや高めだった。データからも、この2台のコンセプトが異なることが分かろうというものだ。
ハンドリングは、ホイールトラベル量がフロント210mm、リヤが200mmと本格的なオフロード車のそれだが、標準のサスペンションセッティングでは車体のピッチングは控えめで、街乗りから峠道まで舗装路での扱いやすさが光る。高速道路では、大きな外乱を受けた際にフレームのしなりが発生するが、その振れ幅は決して大きくはなく、すぐに収束するので不安はない。ヘッドライトを覆うようにレイアウトされた透明なスクリーンは、胸元からヘルメット上部までしっかりと防風してくれ、長距離移動での疲労を効果的に減じてくれる。この点は他のアドベンチャーモデルと遜色ないレベルと言える。
試しに少しだけ未舗装路に足を踏み入れてみる。すると、重量級のライバルよりも明らかに軽量でマスが集中していること、穏やかなエンジン特性、そして扱いやすいブレーキ性能など、オフロードでのポテンシャルの高さが垣間見られた。腕に覚えのある人ならさらに楽しめるだろう。

他のアドベンチャーモデルとは一線を画す、機能を前面に押し出した個性的なデザイン。キャリパーは前後ともブレンボで、オンオフ切り替え可能なABSを標準装備。その一方でトラクションコントロールやクルーズコントロールなどは省略。 [写真タップで拡大]
[△] MT-07の快活さが薄れ、裏方に徹したエンジン
回転数ごとに表情を変え、巡航中ですら鼓動感が楽しい…、そんなMT-07の個性をあえて削ぎ、実用性重視に舵を切ったのがテネレ700のエンジンだ。他のアドベンチャーモデルと同様にオンロード主体の使い方をすると、無味乾燥に思う可能性も。
[こんな人におすすめ] コンセプトは明確。待っていた人は少なくないはず
初代XT600テネレと全く同じタイミングで、アフリカツインの前身であるXLV750Rが発表された。それぞれの末裔が令和になってもライバル関係にあるが、テネレ700はかなりオフロード重視であり、これを待っていた人は迷わず買いだろう。
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