先に紹介したジクサーSF250に続き、今回はネイキッドのジクサー250に試乗した。新型コロナ禍によりインドでの生産が遅れたものの、現在は順調に入荷中とのこと。フルカウル車との走りの違いやいかに?
[◯] フレキシブルな単気筒。ハンドリングも優秀 250ccのフルカウルスポーツと言えば、’20年はニンジャZX-25Rの話題で持ち切りだが、これに対してスズキはまったく別のアプローチで新機種を投入。[…]
[◯] コートを脱いだような良質ライトウェイト感
YZF-R25からMT-25が、あるいはニンジャ250からZ250が生まれたように、共通シャーシで派生モデルを増やす例は珍しくない。先に試乗したスズキ ジクサーSF250にも「ジクサー250」というネイキッドモデルが存在する。主な違いはカウリングの有無とハンドル形状ぐらいだが、最小限の変更でここまで印象を変える手腕には驚いた。
乗り比べてみて大きな違いを感じるのは、やはりハンドリングだ。ハンドル幅が65mm広く、しかも高い位置にあるので、フルカウルのSFよりも軽い入力で倒し込みや切り返しが行える。これにはカウルがないことによる左右方向への空気抵抗の少なさや、4kg軽い車重も要因として挙げられよう。結果、SFから乗り換えると、まるでコートを1枚脱いだかのような軽快感が際立ち、「ネイキッドかくあるべし」といった雰囲気が構築されている。しなやかなダイヤモンドフレームや接地感の高いラジアルタイヤ、1345mmという短めの軸距による基本的なハンドリングはSFと共通で、扱いやすい上に旋回力も高い。サスペンションの動きは抜群にいいというわけではないが、必要にして十分であり、それをラジアルタイヤが絶妙にフォローしている。
エンジンはSFと同じ新開発の油冷SOHC4バルブ単気筒で、最高出力26psをはじめ変速比や減速比などスペックも共通だ。6000rpm以下での扱いやすさと、そこから上での高揚感がうまく両立された良質なエンジンであり、また最大トルクが同クラスの2気筒車とほぼ同等ということもあって、力不足を感じる場面はほとんどなし。スロットルを開けられる分だけ高回転域まで味わえるという点では、むしろツイン勢を上回っているとさえ言える。
キャリパーにバイブレ製を採用したブレーキは、ABSが作動する直前まで自信を持ってコントロールできる。価格が安くともこういう部分に手を抜かない姿勢はさすがだ。 ルックスだけでなく、走りでもそれぞれの世界観を構築してきたこのシリーズ。個人的にはネイキッドのライトウェイト感が気に入った。
ワークスカラーをまとったフルカウルモデルも用意
前回試乗したフルカウルのジクサーSF250は、ネイキッドのジクサー250のバリエーションモデル。低く構えたスポーティなカウルデザインとセパレートハンドルの採用が主な違いで、写真のエクスターカラー以外に艶消し単色の黒と銀を用意する。●価格:48万1800円
[△] カラーリングが保守的だが、それ以外に不満はなし
試乗したのはマットブラックメタリックで、もう1色のシルバー×ブラックと合わせて、スタイリングに対して車体色はややおとなしめという印象が拭えないが、これは好みだろう。それ以外は特に不満はなく、これがCT125・ハンターカブとほぼ同価格というのは驚きだ。
[こんな人におすすめ] 2気筒勢とは異なる走りで楽しさを追求
直接のライバルは水冷シングルのホンダCB250Rだが、CBの方が10kg軽く、11万5500円も高いので、比べる人は少ないかも。薄型のヘッドライトも軽快な操縦性に貢献している思われ、そうして各部を見ていくと感心することしきりだ。
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