4気筒には数字に表せない”ロマン”がある

ニンジャZX-25R実測対決・ライバル3番勝負#4〈250ccスポーツ界の勢力図を総括〉

●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史 ●取材協力: ナイトロンジャパン デジスパイス ブルーライトニングレーシング

最新鋭250cc直4スポーツ・カワサキ ニンジャZX-25Rの実力を検証するため、ライバル車を集めてサーキットタイム計測/0-1000m加速/ダイノマシンでのパワー測定/公道走行と、ヤングマシンメインテスター・丸山浩を調査隊長に様々な方向からの直接対決を実施してきた今回の企画。ここでは今回実施したサーキットテストと0-1000mテストの結果を総括する。ZX-25Rの圧勝劇とはならなかったが、それでも250ccスポーツ界の最新勢力図はしっかり見えた。

走っていて楽しいのはやっぱり4気筒だった

最新鋭250cc直4スポーツ・カワサキ ニンジャZX-25Rの実力を検証するため、ライバル車と様々な対決を実施した今回の企画。ここでは、サーキットテストと0-1000mテストの結果を総括しよう。スポーツ性能テストの結果を振り返ると次の通りだった。

1. サーキットテスト:2気筒車がチャンスを最大活用

パワーのニンジャ400がトップかと思ったら、なんとCBR250RRが1番に。さらにサーキット志向のセッティングとなり、別格さに磨きをかけていた。ZX-25Rは3番手。ショートコース&ウェット路面で高回転パワーをフルに活かせず、条件的には2気筒勢より不利だったのは否めない。

2. 0-1000mテスト:限界域ではさすが4気筒

目いっぱい回せる全開加速では、ZX-25Rが4気筒パワーで2気筒250ccのライバルたちを置き去りに。さすがに格上の400ccまでは喰えなかったが、大多数の人が予想するような順当な結果に落ち着いた。これを見るとやっぱり大型サーキットではZX-25RがCBR250RRに勝ちそうだ。

3. 後輪出力テスト:パワーでは4気筒、トルクでは2気筒

250cc勢の3台は、後軸出力でほぼ3psずつの差が付いた。もちろんトップはZX-25R。ただ、4気筒と2気筒の特性によりトルクの面では2気筒勢が勝る。パワーバンドも2気筒より狭い。4気筒で勝つには何よりも高回転キープだ。400ccはパワーもトルクも圧巻の余裕ぶり。

[右]【4気筒はとにかく回すべし】CBR250RRとニンジャ250については、高回転の力強さや伸びでCBRの戦闘力に特化した性格が表れるが、基本的には2気筒らしい同じようなカーブ。これに対し、4気筒はとにかく回して勝負の特性だ。

上の通り、サーキットタイムはCBR250RR→ニンジャ400→ZX-25R→ニンジャ250の順。0-1000m速はニンジャ400→ZX-25R→CBR250RR→ニンジャ250の順となった。

神永「ニンジャ400は強かったですね」

丸山「ワタシとしては自然な結果に落ち着いたという感じかな。ZX-25Rが4気筒だからって250ccが400ccのパワーを超えることなんて、そう簡単にはいかないよ。排気量の違いがハッキリ出て、250ccからステップアップしていく夢を決して裏切ることはなかった。ニンジャ400は採点的にはちょっと低めだが、これは低い回転で走れるため回す楽しみが250勢より薄かったのが理由だ」

神永「新CBR250RRは、なんとサーキットで1位。旧型よりも確実に速くなったことも伝わってきました」

丸山「足まわりをはじめ、もっともサーキット寄りなセッティングに感じた。クイックシフターの作動も優秀。オートブリッピングもバウンバウンと小気味いいサウンドでレーシーさを感じさせてくれた。CBR250RRの2気筒最強に磨きがかかったのは間違いない。ただ、相手がZX-25Rでは、装備の面でコストパフォーマンス的に分が悪くなったのは否めないかな。コンセプト的にサーキット一番じゃないニンジャ250は、これだけの結果が出ただけでもう十分だろう」

神永「そして、サーキットではCBR250RRがZX-25Rに一矢報いました」

丸山「ドライだったらZX-25RがCBR250RRを超えた可能性もあったとは思うけど、ショートコースでは2気筒250ccでもまだ十分に勝機があるということを示せたという点では、逆にウェットで良かったのかもしれない。もちろん、ドライの高速サーキットに持ち込んでZX-25Rの本領を発揮させれば、圧倒的な高回転パワーを生かしてツイン勢を圧倒するだろうけどね。というわけで、結果を追っているとそんなZX-25Rだったんだが、走っている間の楽しさは、やっぱり直4が一番なんだよな」

神永「どんなところでも2気筒より高い回転で走らせることになりましたね」

丸山「とにかく胸のすくサウンドで吹け上がっていく爽快感。こればかりは2気筒では敵わないものがあった。600ccやリッタークラスのスーパースポーツで1万数千回転なんて回そうとすると、そのスピード領域はサーキットでもそうそう簡単に操れはしない。そんな回転域をショートコースでも楽しめるのだから、乗ってみればきっと誰もが虜になるはず。4気筒には数字だけでは表せないロマンがあるんだよ」

スポーツ力採点:ライバル&兄弟車の性能を10段階で評価

今回対決した車両について、6カテゴリ(エンジン/ブレーキ/サスペンション/ハンドリング/シフト/官能性)に分けて10段階で評価した。それぞれの点数は次の通りだ。

ニンジャZX-25R:4気筒のスポーツ性能を官能とともに与えてくれる

4気筒ならではのパワー感と爽快感。そしてクイックシフターやブレーキの完成度などスポーツ性能の高さは、もはや完璧の域。ハンドリングも、CBR250RRには負けたが今回の中ではそれに次いだ。大型コースでは250cc最強で間違いないだろう。

CBR250RR:別格さがさらに尖って、ZX-25Rには手ごわい存在

2気筒でよくぞ頑張ったパワーアップは、ピークだけでなく全体に底上げされていた。2気筒ならではのパワーバンドの広さと車重の軽さ、それに最もサーキット寄りな足まわりのセッティングで抜群の走りを見せてくれた。

ニンジャ250:バランスの良さでサーキット入門にも◯

旧CBR250RRに匹敵する結果を見せてくれたニンジャ250。サーキットよりもストリートユースに主眼を置いたキャラとしては、非常に頑張っていたと再評価。ZX-25Rと新CBR250RRのスポーツ性能には及ばないが、バランスの良さで十分に楽しませてくれた。

ニンジャ400:排気量で250より速いが、官能的かは別の話

排気量から来る余裕で0-1000mでは250cc勢をブッチギリ。サーキットでもZX-25Rを封じた。ただ250ccより回して走るわけではないので、官能性という面では劣ってしまう。ラクに速さは出せるけどスポーツの楽しみは数字だけではないのだ。


※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

ニンジャZX-25R vsライバル実測3番勝負、次回は公道に舞台を移してのインプレッションをお届けする。4気筒250CCは一般道ではどう楽しめるのだろうか?

最新の記事