●文:モトメカニック編集部(たぐちかつみ) ●写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:カーベック
宇宙開発の現場から生まれた多機能性塗料「ガイナ」
日進産業が製造販売する多機能性塗料「ガイナ」。住宅用としてのニーズがもっとも知られているが、そもそもは宇宙開発の現場に対応したものだった。国立研究開発法人の宇宙航空研究開発機構・JAXAは、H2型ロケットの打ち上げに際し、大気圏外へ出る時の摩擦熱から機体や人工衛星を守るロケット先端部を開発しなければならなかったが、その技術開発において断熱性や遮熱性に優れた塗装技術も必要不可欠になった。そんなJAXAが開発した断熱技術を応用し、日進産業が開発製造しているのが、断熱セラミックを主成分にしたガイナ塗料である。
夏の暑さや冬の寒さへ対応は当然、騒音やニオイに対しても効果的な多機能性。冷房に対する効果だけでなく、暖房効果も格段に改善できる省エネ商品としても高い評価を得て、関連各賞を受賞している。
ハイエースの内装にガイナをハケ塗りでペイント!
この断熱性に優れた多機能性塗料・ガイナを、なんと自家用車のトランポハイエースに施工し、効果を得ているという実例を耳にした。
様々なペイントや表面処理技術で知られる「カーベック」に所属する山田氏(モトメカニック誌にしばしば登場)は、自家用車の200系ハイエースに対しガイナを施工している。山田氏によれば、以前の愛車(ハイエース200系初期のガンメタボディ車)にもガイナを使い様々な効果を得られたので、再び現在のハイエースにも施工したとのことだ。
ガイナは水性なので、水道水で塗りやすいように希釈しながら塗布できる。山田氏によれば、細かな箇所はハケ塗りになるが、広い範囲の面は塗装ローラーを利用して手早く塗布したそうだ。塗膜が1mm以下でも機能や効果を得られるらしい。
「好みの粘度に水道水で調整して、ハケとローラーで塗ってみました。乾く前なら水で溶かして拭き取れます。ハイエースなら丸一日で室内のペイントは完了。翌日に扇風機を使って乾燥促進させました。
感覚的には2度塗り以上が必要だと思います。塗料が透けて鈑金パネルが見えなければ大丈夫という印象です。ガイナは1缶(樹脂缶)が14キロ入りで、メーカーによればこの量で30平方メートルほど塗ることができると説明ですが、室内施工ならもっと多くの面積に施工できるように感じました」(山田氏)
気になる耐久性は、紫外線に対して極めて強いセラミックを多層化しているため、通常の塗料よりも高い耐久性を持っているとのこと。また、遮熱や断熱性能により構造物自体の膨張や収縮を最小限に抑えることもでき、構造物を長寿命化させる特徴もあるらしい。
カーベック社内の作業スペース等にも積極的にガイナ施工
ガイナの効果が多機能だと知ったカーベックでは、自社作業場や打ち合せ場所の天井裏表や壁の内側へも積極的に施工。エアコンの効き具合の良さは明らかなようだ。また、行きつけ飲食店の食材置き場(大型冷蔵庫格納場)の天井裏表や壁にガイナを施工したことで、料理長からは大変感謝されたそうだ。
こんな塗料が、もしも”自動車メーカー標準仕様”になったなら…? 昨今の日本の温暖化を鑑みると、決して不思議なことではないだろう。
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