最近のオススメタイヤは? バイク好きの友人知人と話をしていると、しょっちゅうこの質問に遭遇する。そしてここ1~2年を振り返ってみると、筆者はかなりの確率で、「S22」と答えている。もちろん、サーキット指向やライフ重視など、具体的な希望がある場合は他の製品を紹介するのだが、質問者とじっくり話をすると、最終的な結論はS22になることが少なくない。
そんなS22は、基本的には峠道でスポーツライディングを楽しみたいライダーに適している。このタイヤを履けば、コーナー進入時には制動力をフルに引き出したくなる安定感、旋回時には自由自在にラインを選べるヒラヒラ感、コーナー脱出時には濃厚なトラクションが満喫できるのだから。その一方でS22は、冷間時の不安が少なく、ウェット路面を臆せずに走れるし、それでいてサーキットランも十分に楽しめる。その守備範囲の広さこそ、筆者がS22をオススメする理由だ。
ちなみに、近年のブリヂストンのオンロード用ラジアルは、レースの技術を積極的に取り入れた「RS」、ハイパースポーツの「S」、ツーリングに最適な「T」という構成で、SはもともとRSとTの中間的な資質を備えていた。でもS22は、中間的と言うより、RSとTの領域に深く手を伸ばしたという印象。
もっとも、守備範囲の拡大はRSとTも同様で、最新のRS11は意外にフレンドリーだし、T31はスポーティな走りにも対応できるのだが、市街地からサーキットまで、あらゆる場面で感じる操る楽しさいう面では、やっぱりS22が一番。そう考えるとS22は、現在のブリヂストンの基準にして王道と言うべきタイヤなのかもしれない。
【フルバンク時の感触はスリックに匹敵!?】ウェット性能向上や軽快なハンドリングを目指して、ショルダー部の溝を多めとしているS22だが、エッジ部はほとんどスリックだから、フルバンク中は絶大なグリップ力が得られる。なお前後ともセンター付近の溝は少なめで、これはコーナー進入時の安定感と脱出時のトラクションを考慮した結果のようだ。
【さまざまな用途を想定したパターンとコンパウンド】S22のキモは、①専用設計パターン、②フロントの中央とリアのショルダーに導入したトラクションゴム、③リアの中央に採用した微粒径シリカの3点。コンパウンドは、F:3分割、R:5分割。
’19年2月のデビュー当初は、ミドルクラス以上が主な対象のZRレンジのみだったS22。ただし’20年からは、250/400ccクラスに適合するHレンジの3サイズが追加された。なお先代のS21をすべての面で凌駕するS22だが、ライフに関してはS21とほぼ同等のようだ。
●文:中村友彦 ●写真:山内潤也 ●取材協力:ブリヂストン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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