現代のハーレーダビッドソンは、すべてのモデルがインジェクション仕様だ。以前のキャブレターはアナログ方式だったが、インジェクションはデジタル方式。その制御はコンピューターが担っている。ここでは、インジェクションチューニングを得意とするショップ、シュアショット代表の相川氏にその基礎から聞いたインタビューをお届けする。
NEWモデル SOFTAIL STANDARD 試乗インプレッション!! いかにもハーレーらしいミニエイプハンドルバーとチョップドフェンダー、ソロシートやクロススポーク仕様のホイールを備え、シンプルな[…]
そもそもインジェクションチューニングとは?
WH インジェクションチューニングって、どんなことをするのですか?
相川 ざっくり言うと、吸/ 排気をエンジンに合わせてあげることです。メインになってくるのが「空燃比」と呼ばれるもので、燃料を吹く量、そしてどのくらいの空気を吸い込むかというところを主に調整します。あとは点火タイミングなどもですね。
WH インジェクション仕様のバイクは、車体各部にある各センサーから送られるデータからコンピュータユニット「ECM」が燃料噴射量や点火時期をコントロールするんですよね。センサーは、どんな所を検知するのですか?
相川 クランクシャフトの角度、スロットルの角度と速度、マニホールドで吸気する空気の圧力、排気ガス内の酸素濃度なども見ています。
WH 各情報をもとにECMが指示を出してくれるのですから、そのまますべてを任せておけばOKじゃないですか?
相川 ノーマルのECMに設定されているプログラムですと、排ガスをクリーンにするため、基本的にガソリンが非常に薄い燃焼状態になっていて、本来の出力を発揮しきれません。エアクリーナーやマフラーを交換したときはもちろんですが、フルノーマルのままでもチューニングしてあげるとトルクやパワーが格段に増大するのは、そのせいです。
WH バイクメーカーは厳格化する環境規制に対応するために、クリーンなエンジンをつくらなければならない。新車出荷時は燃料の薄い設定となっているのも仕方ないかもしれませんね。それを本来の状態に戻してあげるんですね。
相川 メーカーではない我々ショップのチューナーにできるのは、オーナーそれぞれに合った味付けに調整してあげることです。どんなふうに乗るのか、何を求めるのか、体格、装備内容、使い方などについてお客様と直接話して、その方のためだけの専用セッティングを施します。
WH なるほど。個々のユーザーと直接やりとりできますものね。
インジェクションチューニングの方法は3つ
相川 インジェクションチューニングには3つの方法があります。ECM自体を取り換える「フルコン」、ECMと車体の間に別のデパイスを割り込ませて制御する「サブコン」、そして「フラッシュ」と呼ばれる純正ECMマップの必要な部分だけを書き換えるやり方です。それぞれメリット・デメリットがありますが、ウチでオススメしているのはテクノリサーチ社製の「フラッシュチューナー」です。純正のECMを使うからリーズナブルですし、診断機もそのまま対応可能。何より大事なのが、純正コンピューターは膨大なテスト量と開発費から作り込みがしっかりされていて、その信頼度が高いということです。世界中どんな状況で、何が起きても平気なよう補正能力に優れます。その良いところを活かしつつ、調整しなければならないところだけを触るので、セッティングの安定性は抜群だと思います。
WH なるほど。吸排気系をカスタムした場合はもちろん、フルノーマルでもFIチューニングはマストですね。
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