やっぱりスポークホイールがいい!

輝きが消えたドゥカティ750純正ボラーニH型アルミリムをピカピカに【カーベック研磨】


●文/写真:たぐちかつみ(モトメカニック編集長) ●取材協力:カーベック ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

今から15年以上前のこと。’72年型のワイドフレーム系ドゥカティ750の車体をベースに、当時物の4穴アルミキャストホイールでカフェレーサーの足周りをキメてやろう!! と考えたりしていました。

そのプロジェクトを思いついたのは、野太い低速トルクのチューンドベベルエンジンの凄まじい走りを体感した時。正直「サーキットで走らせるだけではもったいない!!」と思えたのです。

それ以前、チューンドパンタ、ハリスフレームのSMCR750を所有し、街乗り共用で走らせていた時期もありました。しかし、都内に一度だけ乗り入れたときに降参。あの乗りにくさたるや、ハンパじゃなかった。低速トルクが薄い上に(カムシャフトはNCR7でデロルトマロッシ42.5Φキャブ)、スロットルを開けばドッカンパワー。箱根のワインディングだけなら超楽しかったけど、レーシングチューンのエンジンで都内クルーズは最悪でした。

しかし、このチューンドベベルのエンジン特性は正反対でした。驚異的なトルクでスポーツランドSUGOの10%勾配を猛然とダッシュ!! ストレートでは気持ち良く吹けてくれた。そんな走りを体感した時に、これは街乗りに最適なエンジンだ!! と思ったのです。72年型のイモラ耐久スペックのレーシングエンジンと比べ、それはもう乗りやすかったし、低速域での扱いやすさも抜群に良かった。そんな素晴らしい体験をしてから、もう20年にもなるんですね~。お年寄りに近くなるのも当然です…。

搭載エンジンは、10数年前に街乗り用キックシャフトを追加してから手を付けていない。これまで様々なベベルLツインエンジンをいじってきたが、かなりのハイチューン仕様です。しかし、乗りやすい野太いトルクが魅力的!!

オールドレーシングのマリオ・サッシさんが開発した吐出量が多い強化オイルポンプを取り付けているチューンドラウンドエンジン。どうやら1000ミッレサイズのギヤ幅を持つラウンドケース用オイルポンプのようだ。

『モトメカニック』誌を発進した暁には、このベベルプロジェクトを再開したいとも思っていたし、カフェレーサー仕様に再チャレンジしてみたいとも考えていました。

しかし、あの当時と今の僕では体力的に大きく違うので、ここはツーリング仕様で楽しいハンドリングの「スポークホイール仕様」で仕上げたいと思うようになりました。使うのは純正ボラーニ製のH型アルミリム。フロント19インチ/リア18インチで、リム幅はライバル(CBやZ1)と同じサイズです。

さっそく、以前キャストホイールの磨きで素晴らしい仕上がりを見せてくれたカーベックに相談してみたところ、実は某有名リムメーカーのポリッシュ仕上げに関わったことがあるそうで、「H型のアルミリムでも、形状を考慮したセットアップでそれなりに磨けると思いますよ」との返事をいただくことができたのです。

H型アルミリムの磨き作業は初トライだったそうですが、機器の作動プログラムを変更することで、以下にご覧の通り素晴らしい仕上がりを得ることができました。

僕みたいに、ボラーニ製H型アルミリムを、ナチュラルな磨きで仕上げたい!! とおっしゃられる方には、ひとつの参考になるかもしれませんね。今後の展開が楽しみになってきました!!

輝きが消えたボラーニ製H型アルミリムが、カーベックの手により復活!

分解前のスポークホイール。そもそも放置期間が長く輝きが皆無だった。リムの輝きが取り戻せるのなら、スポークも新品に張りかえたいと考えました。ドゥカティのディスク車ハブはストレートスポーク仕様。

ガンコート塗料やパウダーコーティング塗料&機器を開発販売するカーベックでは、周辺技術の機器開発にも積極的。効率の良い重力落下ブラスターでアルミリムの汚れを楽々除去。いよいよ作業開始!!

カーベックでは、全国の四輪ホイール再生ショップに向けてバレル研磨マシンやパウダーコーティング機器、高温焼き付け乾燥機を販売している。専用治具を組み合わせることでハプ無しリムでも磨けるのだ。

鉄板を丸くカットして作った暫定的なリムセット治具を使い、バレル研磨機でH型アルミリムを磨く。スーパーカー用から10トントラック用ホイールまで、ワンオフ治具で何でも磨けるようにしてくれる、カーベックの山田氏。

H型断面のアルミリムなので研磨メディアが内壁側に入りにくい条件となる。そこで、回転研磨角度や首振りスライド機能のティーチング条件を変更しつつ、本格的な磨き作業に入った。最初は粗めのメディアで仕上げ、次にBB弾のような仕上げメディアを利用。

サンドブラスト処理の作業前と仕上げ研磨処理済の作業後。この途中に粗仕上げがあるが、粗の段階では表面がなだらかになるだけで輝きは一切無い。仕上げ前の段取りが粗研磨なのだ。

正直、これほどまで美しい仕上がりになるとは思ってもいなかった。カーベックでは、同社のバレル研磨機を導入しているプロショップ向けに、リム磨き用のセット治具を製作中だそう。タイヤ交換時にリム裏がキレイだと嬉しいですね。

ヨレや歪みはなかったものの、輝きがほぼ皆無だったボラーニ製アルミリム。カーベックのバレル研磨機でアルミリムのポリッシュが可能? だと知り、テストでH型断面リムを磨いて下さった。素晴らしい仕上がり!!

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