’17年に国内のラインナップから消失したカワサキのエストレヤだが、インドネシアでは車名をW250に変更して販売を継続している。その末弟とも言える「W175」がバイク館SOXを通じて日本に上陸。今どきの日本車ではまず見られないキャブ車ながら、優秀な基本性能の使える古典車に仕上がっている。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:山内潤也 ●取材協力:バイク館SOX ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[○]スムーズなエンジン&ハンドリングも良好
’17年に国内のラインナップから消失したカワサキのエストレヤ。インドネシアでは販売を継続して車名をW250に変更。そのタイミングで追加されたのが、シリーズの末弟となる「W175」だ。フィリピンで販売されているバラコIIという実用車をベースに、外装を一新。兄貴分のW800やエストレヤに通じるネオクラシカルなスタイリングは、なかなかにかわいらしくて好感が持てる。
まずはエンジンから。177㏄の空冷SOHC2バルブ単気筒は最高出力13psを公称し、1㏄あたりのパワーはエストレヤとほぼ同等だ。注目すべきは、燃料供給にFIではなくキャブレターを採用していること。始動時にチョークレバーを引き、エンジンが暖まってきたらそれを戻すという手間はあるものの、キャブ全盛時代を知るベテランにとっては、これをむしろ懐かしく感じるだろう。
単気筒で原付二種よりも排気量が大きく、しかもエンジンはリジッドマウント。それなりの振動を覚悟していたのだが、むしろ驚くほどスムーズで拍子抜けした。後にパーツリストを取り寄せて確認したら、クランクの前方に1軸バランサーが存在することを発見し、思わず納得した次第。タコメーターがないので詳しい回転数は不明だが、低回転域からの加速は水冷エンジンの原付二種勢と同等かそれ以上。しかも、強制開閉キャブによるレスポンスもダルさを感じないレベルで良好だ。潜在能力は非常に高いと言えるだろう。
ハンドリングもいい。エストレヤより35kgも軽いので、倒し込みや切り返しは原付二種並みに軽快。しかも舵角の付き方が自然で、二次旋回中にそのバンク角を軽く保持する安定性もあり、とにかくニュートラルで扱いやすい。まだ新車だったからか、前後サスの作動性が若干渋かったこと、また軽いがゆえに高速道路で横風に煽られやすいなどの事象を確認しているが、ネガティブというほどではない。加えて、ブレーキはフロントのディスク、リヤのドラムともこの大きさにして必要十分な制動力を発生。これも公称126kgという軽い車体がなせる業だろう。
[△]キャブに不慣れだと始動に手こずるかも
気温やエンジンの温度によって始動性が左右されるキャブ車。チョークを引く→戻すのタイミングは慣れるまで手こずるだろうが、ヤマハ SR400のキック始動と同様に、それも個性のひとつとして捉えるとバイクとの絆が深まるかもしれない。
[こんな人におすすめ]完成度は想像以上。使えて遊べて、これで30万円以下!
生い立ちからしてビジネスバイク的な走りを想像していたが、スムーズなエンジンと操縦技術に左右されないハンドリング、それでいながらクラシカルな外観というギャップに驚かされた。セカンドバイクとしても人気が出そうだ。
【取材協力:バイク館SOX川口店 】試乗車はバイク館SOXから借用。海外生産の輸入新車を豊富に扱う同社は全国に50店舗超を展開中で、今回のW175も全店で購入可能。
埼玉県川口市南鳩ケ谷3-22-23 TEL:048-281-1666
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