バランスが絶妙、遊べる1台

’19 ホンダ CB650R 試乗インプレッション【従順にしてエキサイティング。そのバランスが絶妙なバイク】〈動画あり〉

  • 2019/12/21
HONDA CBR650R

ホンダのミドルクラス直4フルカウルスポーツ・CBR650Rに引き続き、今回は兄弟ネイキッドモデル・’19 CB650Rに試乗した。動きが軽くライダーに従順で、CBRよりも元気良い走りを楽しめるこの1台、単なるネイキッド版にとどまらない、独自の走りがそこにあった。

[◯]CBRよりも元気良し。より旋回力の高いハンドリング

以前試乗したCBR650Rの記憶がまだ新鮮な状態で、ネイキッドモデルのCB650Rを試してみた。この2つのモデル、燃料タンクから後方のスタイリングは基本的に共通で、カウリングの有無と、それに伴うハンドル形状の違いしかないが、とてもベースを共有しているとは思えないほど雰囲気が異なる。この作り分けの妙は見事というほかないだろう。

HONDA CBR650R
【ホンダ CB650R[2019]】主要諸元 ■全長2130 全幅780 全高1075 軸距1450 シート高810(各mm) 車重202kg ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 648cc95ps/12000rpm 6.5kg-m/8500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量15L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:97万9000円 ●色:赤、黒、銀
HONDA CBR650R
フロントフォークはCB650Fのφ41mm正立式から倒立式へ。さらにアンダーブラケットをスチールからアルミ鍛造品とし高品位な外観に。標準装着タイヤはCBRのダンロップ・D214に対し、CBはメッツラー・ロードテック01を採用。
HONDA CBR650R
【FからRへの変身】写真のCB650FはフルカウルのCBR650F とともに’14年に登場し、’17年にスタイリングを熟成するなどマイチェン。新型はネオスポーツカフェコンセプトを採用し、外観を大胆に刷新。

ライポジは、伝統的なネイキッドとストリートファイターの中間的な印象であり、上半身が程よく前傾する。ヘッドライトを可能な限り手前に寄せたことで、視界にはほぼメーターパネルしか入らず、文字どおりネイキッド=裸になったかのような解放感だ。なお、下半身のフィット感はCBRと同様、非常にいい。

HONDA CBR650R
セパハンのCBR650Rほど前傾姿勢は深くないが、それでもネイキッドとしてはスポーティだ。足着き性はご覧のとおり良好(身長175cm 体重62kg)。
HONDA CBR650R
【ハンドル位置を下げてよりスポーティに進化】従来型よりも低いバーハンドルを採用。メーターはCBR650Rと共通で、従来よりも約21mm薄いだけでなく93gも軽い。エンジン回転数のピークホールド表示や、シフトアップインジケーターも搭載。

エンジンを始動し、いざスタートする。最高出力95psを公称する648ccの水冷並列4気筒はCBRと共通だが、カウルがない分だけ車重が5kg軽いこと、また風圧をダイレクトに受けることもあってか、さらに元気がいい印象だ。実はエアクリーナーボックス内の吸気ダクトがそれぞれで異なり、走りのキャラクターを分けているという。それを知ったのは試乗後のことなので、プラシーボではないはず。伸び上がりのタイミングがCBRの7000rpmよりもやや低いように感じており、このルックスに似合うエキサイティングな特性をうまく演出している。

さらにハンドリングもCBRとの違いは小さくない。どちらもニュートラルで扱いやすいが、操縦の仕方でより高い旋回力を引き出しやすいのはCBの方だ。マスの集中感とでも言おうか、無駄な慣性や重さがほとんど感じられず、まるで400ccクラスかと思うほどに動きが軽いのだ。バイク任せにオンザレールで曲がれてしまうCBRに対して、CBはどこまでもライダーに従順だ。

ブレーキの印象はCBRとほぼ変わらず、非常に扱いやすい。新開発のオイルを使用したという倒立フォークは作動性が良く、加減速時に発生するピッチングもスムーズ。これらもCBの好印象を支えている。

HONDA CBR650R
アシストスリッパークラッチやトラコンなどを採用した648cc水冷DOHC4バルブ水冷並列4気筒。基本的にはCBR650Rとスペックは共通だが、吸気ダクトをそれぞれ専用設計として走りのキャラを差別化。
HONDA CBR650R
【フレームはCBRと共通】従来型をベースに、ピボット部を鍛造プレートからプレス成型品によるボックス構造としたスチール製ツインスパーフレーム。スイングアームとの締結部にはピロボールを採用している。
HONDA CBR650R
燃料タンクはCBR650Rと共通。写真の赤はキャンディークロモスフィアレッドという特殊なキャンディー塗装だ。
HONDA CBR650R
シートを含むテールカウルまわりの造型もCBR650Rと共通。タンデムシートはキーロックにて取り外し可能だ。
HONDA CBR650R
【灯火類は全てLED採用。省電力と軽量化に貢献】CB1000Rと共通のLED ヘッドライトを採用。従来よりも約97mm後方に寄せることでマスを集中化。テールランプやウインカー、ナンバー灯もLEDで、これらはCBR650Rと共通。
HONDA CBR650R
(左)燃料タンクの左右にあるシュラウド一体型チャンバー。この中にある2ピース吸気ダクトは特許出願中。(右)左スイッチボックスにあるトラコンのオンオフボタン。燃料噴射量によってリヤタイヤの駆動力を制御する。

[△]オールマイティさではCBRに軍配が上がる

フルカウルが生む優れた防風効果や、CBと比べるとやや安定指向のハンドリングなどから、より万能的に使えるのはCBRだろう。とはいえ、街乗りや日帰りツーリングがメインであればCBの快活な走りも捨てがたく、大いに迷うところだ。

[こんな人におすすめ]兄貴分・CB1000Rよりも遊べるシーンは確実に多い

ネオスポーツカフェシリーズの頂点にあるCB1000Rは、上質ではあるもののパワーを持て余し気味だったが、このCB650Rはバランスが絶妙で、伝統の”CB”にRを付けたネーミングの意味を実感できる。スタイリングも非常にいい。

●まとめ: 大屋雄一 ●写真: 真弓悟史
※取材協力:本田技研工業

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大屋雄一

大屋雄一

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『ヤングマシン』にて厳正なる新製品テストを担当するベテランモーターサイクルジャーナリスト。

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