低回転域からスムーズ&パワフル

’19トライアンフ ストリートトリプルRS試乗インプレ【意のままに操れる快感】

  • 2020/1/17

’17年に排気量を拡大したトライアンフ ストリートトリプルの最上位モデル・RSが早くもモデルチェンジした。基本骨格はそのままに、従来のイメージを残しつつ外装を刷新。エンジンは加工精度を上げることで回転マスを7%低減している。Moto2エンジンの実力が公道で味わえるぞ!

●まとめ:大屋雄一 ●写真:トライアンフモーターサイクルズジャパン
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[◯]職人技が伝わる3気筒。サーキットでも大満足

ボンネビルに代表されるモダンクラシックシリーズが好調のトライアンフにおいて、ストリートトリプルのような機種は異色作のように思われがちだ。しかし、そもそも”ストリートファイター”というジャンルの元祖と言われるのが同社のスピードトリプルであり、常に時代が求めるスポーツバイクを作ってきたという意味では、創業時からフィロソフィーは不変なのだ。

765ccの水冷並列3気筒を搭載するストリートトリプル。その最上位モデルのRSが進化した。基本骨格はそのままに、従来のイメージを残しつつ外装を刷新。エンジンはユーロ5に適合させつつ、加工精度を上げることで回転マスを7%低減している。結果、最高出力と最大トルクのピーク値こそ変わらないが、発生回転数に変更があった。マイナーチェンジの域を出ないが、その改良にMoto2エンジンの開発スタッフ陣が関与したと聞けば話は別だ。

トライアンフ ストリートトリプルRS

【’19 TRIUMPH STREET TRIPLE RS】主要諸元 ■全長ー 全幅775 全高1085 軸距1405 シート高825(各mm) 車重188kg(乾燥) ■水冷4スト並列3気筒DOHC4バルブ 765cc 123ps/11750rpm 8.06kg-m/9350rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量17.4L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:143万7000円 ●色:灰、黒

トライアンフ ストリートトリプルRS

【素性の良さは踏襲しつつ改良】アルミツインビームフレームやダイキャスト製のシートレール、鋳造製のスイングアームなど基本骨格は継続。標準装着タイヤはピレリのディアブロスーパーコルサSP V3で、クイックシフターやスリッパークラッチも採用。

トライアンフ ストリートトリプルRS

【Moto2エンジン開発スタッフ陣が改良を担当】’17年に排気量を675cc(φ74×52.3mm)から765cc(φ78×53.4mm)に拡大した水冷並列3気筒エンジン。クランク、クラッチ、バランサーの機械加工精度を上げて回転マスを7%低減し、中回転域でのトルクは9%向上。合わせて1速と2速のギヤをショート化した。

今回は富士スピードウェイの国際レーシングコースとショートサーキット、そして場内の移動ルートでテストした。ストリートトリプルは3グレードのうち、RSだけは先代からエンジンの微振動が少なく回転上昇がスムーズだったが、新型はさらに磨きが掛かっている。加えて低回転域から非常にパワフルだ。5種類のパワーモードのうち、上から2番目のスポーツモードですら2速でスロットルを大きく開けるとフロントが浮いてくるほどで、そこから息の長い加速が続く。トラコンなど各種デバイスによる安心感もあって、無心でエンジンを楽しめる。

ハンドリングは、標準装着タイヤの特性によるものなのか、倒し込みや切り返し、舵角の付き方がシャープで、最初は戸惑ったほど。ところが、その軽快さに慣れると新型RSの狙いが見えてくる。微速域から200km/hオーバーまで狙ったラインをビシッとトレースでき、気持ち良く旋回できる。車体が軽い上にマスが集中しているのと、ステアリングモーメントに影響しないヘッドライトのフレームマウント、荷重移動がスムーズな足回りなどが貢献しているのは確かで、まさにスポーツネイキッドのお手本のような走りだ。

トライアンフ ストリートトリプルRS

ショーワのBPFにオーリンズのSTX40、ブレンボのM50モノブロックキャリパー&レシオ可変マスターなど、贅を尽くした足まわり。

トライアンフ ストリートトリプルRS

シート高は従来と同じ825mm。車体がスリムなので足着き性は良好だ。ご覧のとおり上半身はわずかに前傾(身長175cm、62kg

トライアンフ ストリートトリプルRS

【最新スマホ並みに美麗。拡張性の高さも魅力だ】TFTメーターはグラフィックが第2世代に。純正ブルートゥースモジュールを接続すれば、ゴープロやスマートフォンとの連携も可能。出力モードはレインからサーキットまで5段階。

トライアンフ ストリートトリプルRS

【顔とテールが識別点】LEDヘッドライトやその上にあるフライスクリーン、サイドパネル、シートカウル、バーエンドミラーなど、タンク以外の外装を一新。フレームはチタニウムシルバーに。

トライアンフ ストリートトリプルRS

容量17Lを公称する燃料タンクは特に変更なし。スポーツライディングに適した面構成だ。また、サイレンサーのエンド部分はトライアンフのエンブレムが付いた上質なカーボンカバーに。

トライアンフ ストリートトリプルRS

車載工具はタンデムシート裏に集約。コイン状の工具はフォークの減衰力調整用のマイナスドライバー。

[△]ハイグリップタイヤが標準。維持費はかかるかも

キレのいい走りを支えているピレリのディアブロスーパーコルサSPは、ツーリングタイヤよりも耐摩耗性は劣るので覚悟を。それと、新型のスタイルは既存ファンを大切にしたのだろうが、もう少しインパクトのある刷新でも良かっただろう。

[こんな人におすすめ]Moto2由来のパワフル直3をアップハンで

サーキットを走ってみて、エンジンと同等レベルで感心したのがブレンボ。熱ダレしない上にバンク中も繊細にコントロールできるのだ。スペック的にはMT-09が近いのだが、マシンを操ることの濃密さではストリートトリプルRSの方が大きく上回る。

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大屋雄一

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『ヤングマシン』にて厳正なる新製品テストを担当するベテランモーターサイクルジャーナリスト。