基本性能優秀で使える古典車

カワサキ W175 SE 試乗インプレッション【30万円弱で想像以上の完成度】

  • 2020/2/24
カワサキ W175 SE

’17年に国内のラインナップから消失したカワサキのエストレヤだが、インドネシアでは車名をW250に変更して販売を継続している。その末弟とも言える「W175」がバイク館SOXを通じて日本に上陸。今どきの日本車ではまず見られないキャブ車ながら、優秀な基本性能の使える古典車に仕上がっている。

●まとめ:大屋雄一 ●写真:山内潤也 ●取材協力:バイク館SOX

[○]スムーズなエンジン&ハンドリングも良好

’17年に国内のラインナップから消失したカワサキのエストレヤ。インドネシアでは販売を継続して車名をW250に変更。そのタイミングで追加されたのが、シリーズの末弟となる「W175」だ。フィリピンで販売されているバラコIIという実用車をベースに、外装を一新。兄貴分のW800やエストレヤに通じるネオクラシカルなスタイリングは、なかなかにかわいらしくて好感が持てる。

カワサキ W175 SE

【KAWASAKI W175SE[インドネシア仕様]】 主要諸元 ■全長1930 全幅765 全高1030 軸距1275 シート高775(各mm) 車重126kg ■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 177cc 13ps[9.6kW]/7500rpm 1.3kg-m[13.2Nm]/6000rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量13.5L ■ブレーキF=ディスク R=ドラム ■タイヤF=80/100-17 R=100/90-17 ●色:銀、黒、青(SE)/白(STD) ●価格:29万9000円(SE)/28万9000円(STD)

カワサキ W175 SE

【”W”を名乗るにふさわしいクラシカルな外観】主にサイドカーのベース車両としてフィリピンで販売されている「バラコII」というモデルを基に、ティアドロップタンクや丸みを帯びたサイドカバーなどで外観をクラシカルにしたのがW175だ。試乗したSE(スペシャルエディション)は車体と同色のライトハウジングやブラックリム、専用シート、ニーグリップパッドを採用。

カワサキ W175 SE

シート高775mmはエストレヤ最終型の735mmよりも高いが、それでも足着き性は非常にいい。ライポジは実にコンパクト(身長175cm、体重62kg)

まずはエンジンから。177㏄の空冷SOHC2バルブ単気筒は最高出力13psを公称し、1㏄あたりのパワーはエストレヤとほぼ同等だ。注目すべきは、燃料供給にFIではなくキャブレターを採用していること。始動時にチョークレバーを引き、エンジンが暖まってきたらそれを戻すという手間はあるものの、キャブ全盛時代を知るベテランにとっては、これをむしろ懐かしく感じるだろう。

単気筒で原付二種よりも排気量が大きく、しかもエンジンはリジッドマウント。それなりの振動を覚悟していたのだが、むしろ驚くほどスムーズで拍子抜けした。後にパーツリストを取り寄せて確認したら、クランクの前方に1軸バランサーが存在することを発見し、思わず納得した次第。タコメーターがないので詳しい回転数は不明だが、低回転域からの加速は水冷エンジンの原付二種勢と同等かそれ以上。しかも、強制開閉キャブによるレスポンスもダルさを感じないレベルで良好だ。潜在能力は非常に高いと言えるだろう。

ハンドリングもいい。エストレヤより35kgも軽いので、倒し込みや切り返しは原付二種並みに軽快。しかも舵角の付き方が自然で、二次旋回中にそのバンク角を軽く保持する安定性もあり、とにかくニュートラルで扱いやすい。まだ新車だったからか、前後サスの作動性が若干渋かったこと、また軽いがゆえに高速道路で横風に煽られやすいなどの事象を確認しているが、ネガティブというほどではない。加えて、ブレーキはフロントのディスク、リヤのドラムともこの大きさにして必要十分な制動力を発生。これも公称126kgという軽い車体がなせる業だろう。

カワサキ W175 SE

バラコIIに搭載されている177cc空冷SOHC2バルブ単気筒をベースにミッションを4→5速化し、キックスターターを省略する。クランクの前方に1軸バランサーをレイアウトし、クラッチは一般的な湿式多板でワイヤー作動だ。

カワサキ W175 SE

サイレンサーはキャブトンタイプ。リヤショックはプリロードを5段階に調整可能。リヤブレーキはドラム式となる。

カワサキ W175SE

前後とも17インチのワイヤースポークホイールを採用。フロントキャリパーは片押し式2ピストンでABS非採用。

カワサキ W175 SE

【コックピットはブラックで統一】写真のSE、STDともハンドルバーやトップブリッジはブラックで統一。速度計は140km/hまで刻まれており、その右側に最小限のインジケーターを配置する。

カワサキ W175 SE

パターンの有無がSEとSTDの大きな違いで、カフェはさらにタックロール&ツートーン仕様となる。ウレタンは厚め。

カワサキ W175カフェ/W175 TR

【インドネシアにはさらに2機種】写真左がW175カフェ、右がW175 TR。 メーターバイザー&専用シートのカフェに加え、’20年モデルでアップフェンダー&ナロータンクのTRも発表。ともにSOXでの導入が決定している。予約受付中で導入は2020年4月予定、初期ロットは数量限定とのこと。

[△]キャブに不慣れだと始動に手こずるかも

気温やエンジンの温度によって始動性が左右されるキャブ車。チョークを引く→戻すのタイミングは慣れるまで手こずるだろうが、ヤマハ SR400のキック始動と同様に、それも個性のひとつとして捉えるとバイクとの絆が深まるかもしれない。

カワサキ W175 SE

燃料供給はミクニのVM24という強制開閉キャブレターで、寒い時期はチョークを引いての始動がほぼマスト。燃料コックも装備する。

[こんな人におすすめ]完成度は想像以上。使えて遊べて、これで30万円以下!

生い立ちからしてビジネスバイク的な走りを想像していたが、スムーズなエンジンと操縦技術に左右されないハンドリング、それでいながらクラシカルな外観というギャップに驚かされた。セカンドバイクとしても人気が出そうだ。

バイク館SOX川口店

【取材協力:バイク館SOX川口店 】試乗車はバイク館SOXから借用。海外生産の輸入新車を豊富に扱う同社は全国に50店舗超を展開中で、今回のW175も全店で購入可能。
埼玉県川口市南鳩ケ谷3-22-23 TEL:048-281-1666

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大屋雄一

大屋雄一

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『ヤングマシン』にて厳正なる新製品テストを担当するベテランモーターサイクルジャーナリスト。