’17年に排気量を拡大したトライアンフ ストリートトリプルの最上位モデル・RSが早くもモデルチェンジした。基本骨格はそのままに、従来のイメージを残しつつ外装を刷新。エンジンは加工精度を上げることで回転マスを7%低減している。Moto2エンジンの実力が公道で味わえるぞ!
●まとめ:大屋雄一 ●写真:トライアンフモーターサイクルズジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[◯]職人技が伝わる3気筒。サーキットでも大満足
ボンネビルに代表されるモダンクラシックシリーズが好調のトライアンフにおいて、ストリートトリプルのような機種は異色作のように思われがちだ。しかし、そもそも”ストリートファイター”というジャンルの元祖と言われるのが同社のスピードトリプルであり、常に時代が求めるスポーツバイクを作ってきたという意味では、創業時からフィロソフィーは不変なのだ。
765ccの水冷並列3気筒を搭載するストリートトリプル。その最上位モデルのRSが進化した。基本骨格はそのままに、従来のイメージを残しつつ外装を刷新。エンジンはユーロ5に適合させつつ、加工精度を上げることで回転マスを7%低減している。結果、最高出力と最大トルクのピーク値こそ変わらないが、発生回転数に変更があった。マイナーチェンジの域を出ないが、その改良にMoto2エンジンの開発スタッフ陣が関与したと聞けば話は別だ。
今回は富士スピードウェイの国際レーシングコースとショートサーキット、そして場内の移動ルートでテストした。ストリートトリプルは3グレードのうち、RSだけは先代からエンジンの微振動が少なく回転上昇がスムーズだったが、新型はさらに磨きが掛かっている。加えて低回転域から非常にパワフルだ。5種類のパワーモードのうち、上から2番目のスポーツモードですら2速でスロットルを大きく開けるとフロントが浮いてくるほどで、そこから息の長い加速が続く。トラコンなど各種デバイスによる安心感もあって、無心でエンジンを楽しめる。
ハンドリングは、標準装着タイヤの特性によるものなのか、倒し込みや切り返し、舵角の付き方がシャープで、最初は戸惑ったほど。ところが、その軽快さに慣れると新型RSの狙いが見えてくる。微速域から200km/hオーバーまで狙ったラインをビシッとトレースでき、気持ち良く旋回できる。車体が軽い上にマスが集中しているのと、ステアリングモーメントに影響しないヘッドライトのフレームマウント、荷重移動がスムーズな足回りなどが貢献しているのは確かで、まさにスポーツネイキッドのお手本のような走りだ。
[△]ハイグリップタイヤが標準。維持費はかかるかも
キレのいい走りを支えているピレリのディアブロスーパーコルサSPは、ツーリングタイヤよりも耐摩耗性は劣るので覚悟を。それと、新型のスタイルは既存ファンを大切にしたのだろうが、もう少しインパクトのある刷新でも良かっただろう。
[こんな人におすすめ]Moto2由来のパワフル直3をアップハンで
サーキットを走ってみて、エンジンと同等レベルで感心したのがブレンボ。熱ダレしない上にバンク中も繊細にコントロールできるのだ。スペック的にはMT-09が近いのだが、マシンを操ることの濃密さではストリートトリプルRSの方が大きく上回る。
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