ドゥカティ パニガーレV4/Sが早くもマイナーチェンジを受けた。2019年夏にリリースされあたパニガーレV4Rの技術を盛り込み、ベースモデルにまで全車がウイングを装備することに。オーバー200馬力の戦いにも死角なしだ!
※トップ写真は左からパニガーレV2/V4S/V4R
毎年アップデートを受けるレーシングマシンのごとく
パニガーレV4/Sは2018年夏に日本でも発売され、2019年にはレースホモロゲーションマシンとしてパニガーレV4R市販された。普通に考えれば、これでしばらくは安泰となりそうなものだが、スーパーバイク世界選手権を席捲するドゥカティは一味違う。まるでかつてのレプリカ熱狂時代を思い起こさせるように、早くもV4/Sにアップデートを施し、EICMA2019で一般公開されたのだ。
その内容は、スーパーバイク世界選手権から得られたフィードバックによる電子制御システムなどの改善、そしてV4Rゆずりのシャーシとエアロダイナミクスを反映したというもの。これによってコーナー脱出時のパワーコントロールが大幅に改善しているという。
車体は、パニガーレV4シリーズの特徴でもあるフロントフレームをV4Rと同じ“穴開き”タイプに変更。軽量化を促進するとともに剛性バランスを柔軟な方向に調整することで、特に最大バンク時におけるフロントエンドのフィーリングを向上した。また、前後サスペンションのセットアップも変更。フロントフォークの突き出し量を4mm減らすとともに、リヤショック長を2mm短縮&5mm短いリンクロッドを装着し、トータルではバイクの重心が5mm高くなっている。サスペンションのストロークをより有効に使えるようになることで、コーナーへの進入ではより早くコーナー頂点に到達できるように。スイングアーム垂れ角の増大によりアンチスクワット効果も高められ、加速時の安定性も増した。
こうしたジオメトリーの変化に合わせ、スタンダードのショーワ+ザックスおよびV4Sの電子制御オーリンズともに、前後サスペンションの減衰力は従来よりも柔らかく設定。同時にバネレートを高め、プリロードを強めることで、ギャップ等の吸収性を向上するとともに、ブレーキングにおけるノーズダイブのコントロールを容易にした。これらの変更は、特に一般的なレベルのライダーにとってイージーかつ直感的なターンインを可能にしているという。なお、キャスター角24.5°およびトレール100mmに変更はない。
ドゥカティコルセ仕様の空力パッケージ
ドゥカティコルセとドゥカティ・スタイル・センターが共同開発したという新型パニガーレV4/Sのエアロダイナミクスは、今年登場したばかりのパニガーレV4Rのパッケージを反映している。フロントスクリーンはより高くなり、ライダーのウインドプロテクションを向上。ノーズフェアリングは片側15mmずつ広くなり、手やレバーにに当たる風圧を軽減する。また、ラテラルフェアリングは片側38mmずつと大幅にワイド化し、ライダーをエアフローから守るとともにサイドのエアベントと相まってラジエター&オイルクーラーへの導風速度をそれぞれ6%/16%向上した。
そして、見た目でわかる従来型からの最大の違いは、フロントウイングを装備したことだ。これはMotoGPのレギュレーションに制限がなかった2016年のデスモセディチGP16にヒントを得た形状となっており、270km/hにおけるダウンフォースは+30kgにもなるという。これにより、フロントの浮き上がりを抑えることでウイリーコントロールの介入を減らすことができ、直線での加速力を最大限に発揮することができる。また、コーナーにおけるターンインとブレーキングゾーンでは安定性が増すという。
よりスムーズなトルク特性を実現した
デスモセディチストラダーレ(エンジン)については、1103ccの90°V型4気筒から214馬力を発生するなど数値的な違いはないが、電子制御の向上でコーナー中~コーナー脱出にかけて、より安定してロスの少ないトルク特性となった。サーキット走行専用のライドバイワイヤ(RbW)マッピングにより、スロットルに対する反応はよりスムーズで予測可能なものになっている。
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