第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

アドレナリン全開、速さを貪欲に求める餓狼軍団

欧州大型スーパースポーツ編[2019新車走評]カテゴリー別“試乗インプレッション”大図鑑 #02

  • 2019/9/6

Superbiketest StrasseAprilia RSV4 RF,BMW S1000 RR,Ducati Panigale V4 S,Honda CBR 1000 Firablade SP,Kawasaki Ninja ZX-10 RR,Suzuki GSX-R 1000 R,Yamaha YZF-R1M

欧州製SSは、200psを余裕で上回るパワーやエキサイティングな乗り味で国産勢を上回るキレっぷり。2019年モデルでは、221psを叩き出す本気仕様のパニガーレV4Rと、207ps+シフトカムを獲得した新型S10000RRに熱視線が集まる。MotoGPやSBKレーサー譲りの「ウイング」付きにも注目だ。

既成概念をブッ壊す、破格のパワーと装備で勝負

2000年代末からトラクションコントロールなどの電脳デバイスを大量投入するなど、進取の気風に富む欧州勢。どこか優等生的な国産勢に対し、パワーや速さを貪欲に追求しており、その分、アドレナリンが刺激されるマシンが多い。その筆頭がドゥカティのパニガーレV4シリーズだろう。

Lツイン時代より洗練されたとはいえ、まだまだアツいラテン系のノリは健在だ。2019年モデルで初のフルチェンジを受けたBMWのS1000RRは、ドイツらしい精密な電子制御を手に入れたが、可変バルブタイミング&リフトのシフトカムによる全域パワーがやはり突き抜けている。

最高出力も天井知らずだ。国産勢がニンジャH2を除いて200ps前後なのに対し、パニガーレV4は214ps、RSV4 1100は220ps、パニガーレV4Rにいたっては自然吸気で最強の221psを放つ。さらに、ウイング付きまでデビュー。フロントカウルのサイドに装着され、ダウンフォースを稼ぐ最新アイテムの効力に注目が集まる。

DUCATI PANIGALE V4R[驚速、翼も効果アリ]800ccモトGPマシンを凌駕するレースの鬼

DUCATI PANIGALE V4R

DUCATI PANIGALE V4R■水冷4ストロークV型4気筒 DOHC4バルブ 998cc 221ps/15250rpm 11.4kg-m/11500rpm 193kg 16L■シート高830mm ●455万円

「笑いが止まらない」。ドゥカティからSBKに参戦中のチャズ・デイビスが、L型2気筒のパニガーレRからスイッチした際、あまりの速さに出た言葉だ。以下、開発テスト中のインプレションを拾って、まとめてみた。

レース対応の最強仕様である「R」のV型4気筒は、STDよりストロークダウンした998ccながら、221psを発生。レブリミット1万7000rpmの超高回転域まで、よく回るし、回りたがる。さらに、レース用マフラーを装着すれば234ps/15500rpmまで出力アップ可能だ。800cc時代のモトGPレーサー=デスモセディチと比べても、もっと乗りやすく、パワーカーブがリニア。従来型S1000RRのスーパーバイク仕様と比べると、遙かに扱いやすい。まるでLツインと直列4気筒の長所を合わせたような特性だ。また、Lツインよりフロントの接地感がずっと高く、ブレーキングとコーナー中盤でのフィーリングがいい。

車重は専用フレームやカウルでSより2kg減の193kg。気になるウイングは、フロントの接地感向上やウイリーの抑制にシッカリ効果があり、特に高速コーナーでアドバンテージがある。――事実、V4Rは、デビューした今季のSBKで快進撃を続け、アルヴァロ・バウティスタは開幕11連勝を記録した。

DUCATI PANIGALE V4R

90度V4は、ボア81mmをそのままにストロークを48.4mmに短縮。フレームとカウルはR専用設計で、MotoGPマシン譲りのウイングも装備する。

DUCATI PANIGALE V4/S[荒ぶるビースト]ムキ出しのパワーを使いこなす楽しみ

DUCATI PANIGALE V4S

DUCATI PANIGALE V4S■水冷4ストロークV型4気筒 DOHC4バルブ 1103cc 215ps/13000rpm 12.4kg-m/10000rpm 195kg 16L■シート高830mm ※諸元はS ●[S]331万円/[STD]265万9000円

1198ccの90度V4は、超パワフル。ややギクシャクしがちな低回転域を経て、中速域からまるでエンジンに過給されたような爆発力を示す。それでもLツイン時代と比べれば、かなり扱いやすくなっている。公道では2気筒のような爆発感の楽しさを持ちつつ、サーキットでは回転を上げるにつれ、まろやかに収束。しかもどこまでも回っていくようなV4の特性と相まって攻めやすい。どこかクロスプレーン直4のYZF-R1と似たフィーリングがあるが、刺激なら断然パニが上。この違いは、主に電子制御の味付けに由来するもので、R1が細やかに制御を行うのに対し、パニはモードを変更しても馬力をさほど抑えず、ムキ出しのパワー感が特徴となる。

オーリンズ製セミアクティブサスを採用するSは、モードを変えても設定が硬め。ブレンボキャリパーも強力かつ正確無比な効力を見せる。ハンドリングはまさしくレース寄りで、クイックに向きを変え、旋回性もR1Mより高い。トガッた走りをするほどタイムを出せる特性だ。ただし車体制御の介入度が低いため、コーナーの脱出でスライドしまくったり、ミスるとラインを外しやすい一面も併せ持つ。みなぎるパワーを使いこなし、常に操る手応えが濃厚。アツいレース魂が息づくSSだ。

70度オフセットクランクの90度V4エンジンはモトGPマシンと共通。ボア81mmも共通で、ストロークアップにより1103ccとした。電サス+鍛造ホイールのSに対し、STDは機械式のサスと鋳造ホイールを採用する。

BMW S1000RR/M PACKAGE[理性と野生の融合]高度なトータルバランスで新次元へ

BMW S1000RR/M PACKAGE

BMW S1000RR/M PACKAGE■水冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 999cc 206.7ps
/13500rpm 11.5 kg-m/10500rpm 197kg(Mパッケージ:193.5kg) 16.5L■シート高824mm ●[STD]227万7000円/[Mパッケージ]267万7000円

エンジンもシャーシもとにかくシャープだ。フルチェンジした2019年型で199→207psに増強した999cc直4は、スロットルに対する反応がライバルと比べてもとりわけリニア。しかも右手の開け始めからギクシャク感がなく、全域で扱いやすく従順だ。9000rpmで可変バルタイのシフトカムが作動した後は、一段と加速が強烈になり、1万2000rpm以降はターボのように爆発の一発一発がマシンを前に押し出す。この状態が1万4000rpmまで持続し、吠えるようなサウンドも快感だ。

カーボンホイールを採用したMパッケージは、ライダーの意志に忠実なハンドリングを示す。フルバンクでも安心感にあふれ、特にリヤの接地感が瑞々しい。パワーを確実に路面に伝え、旋回力は抜群に高い。

さらに特筆すべきは、従来型から大幅に進化した電子制御だ。ウエットな路面をハイペースで攻めても、常に安定してコーナーに進入し、躊躇なくスロットルを開けられる。パワーを間引いた感覚が皆無なのに、スムーズにキレイなラインをトレース可能だ。よく動く電子制御サスと自然なタッチのブレーキ、滑らかなクイックシフターも絶品。たとえ一般ライダーがサーキット走行しても全てマシンがサポートしてくれるのでは? と思えるほどフレンドリーなのだ。細やかな煮詰めでトータルバランスを追求し、万人がタイムを削れるのが本作。パニガーレとは対照的なキャラだ。

ライポジがよりやさしい(STD)

アルミ鋳造ホイールで、Mパッケージから+3.5kgとなるSTD。シフトカムの強烈なエンジン特性は共通だが、シートとハンドル位置がMパッケージと異なり、上体はやや起き気味に。足着き性もSTDの方が良好だ。ストリートユースを考慮すれば、STDがオススメだろう。

BMW S1000RR

APRILIA RSV4/RF/1100 FACTORY[全てがガチの隠れ名機]サーキットを照準に置き、精緻に磨き上げた

APRILIA RSV4

APRILIA RSV4■水冷4ストロークV型4気筒 DOHC4バルブ 1078cc 220ps/13200rpm 11.7kg-m/11000rpm 199kg 18.5L■シート高851mm ※諸元は1100ファクトリー ●199万8000円~

パニガーレV4が登場するまでSBK唯一のV4マシンとして君臨してきたRSV4。全てが一貫してレース指向でまとめられ、隙がない。熟成が進んだ999.6ccの65度V4は、パニガーレV4Sに比べれば凶暴さでは及ばないが、他のライバルに対してはいまだ強烈。スロットルの動きにリニアに反応し、Vツイン的な中間トルクと直4並みの高回転パワーを併せ持つ。コンパクトな車体と相まって、旋回性もシャープ。狙ったラインをトレースする正確無比なハンドリングはまさに見事で、速いのに走りやすい。抜群の接地感と、コントロール性が優秀なブレーキもタイムを削る上で大きな武器となり、特にテクニカルなサーキットが得意。実際に比較テストではパニガーレV4Sを上回るタイムを叩き出している(本誌2018年7月号参照)。

また、車体を横に逃がさず前に進めるトラコンが絶妙で、ブリッピング機能付きのアップ&ダウン対応オートシフターの出来映えも素晴らしい。外国車にありがちな違和感が全くないのだ。ライポジは、ハンドル幅がライバルより狭めでレーシー。バックステップもこのままでサーキットランにしっくりくる。

YZF-R1などと同様、本物のレーサーに近いパッケージで、トータルバランスに優れる本作。一方、ライダーに高いレベルを要求してくるのも確か。腕の磨き甲斐がある!

翼を授かった最新作(1100 FACTORY)

ボアの拡大で999→1078ccにアップし、ストリート向けとした2019年の最新作。220psを叩き出し、ボックス状のウイングも獲得した。既に海外では試乗されており、外誌の評価によると、出来が良さそう。全体的にトルクが上乗せされ、ウイングはサーキットレベルで安定感をもたらすという。

APRILIA RSV4 1100 FACTORY

APRILIA RSV4 1100 FACTORY

DUCATI 959 PANIGALE/CORCE[柔剛、兼ね備える]間口の広いファンライド

DUCATI 959 PANIGALE

DUCATI 959 PANIGALE■水冷4ストロークL型2気筒 955cc 150㎰ 10.4kg-m 200kg 17L■シート高830mm ※諸元はコルセ ●207万5000円~

今や唯一のLツイン搭載スーパーバイクとなった本作。この外観ながら、低回転から思いのほか十分なトルクを発生。常用域でも余裕があって乗りやすい。一方、剛性の高いモノコックフレームと高荷重設定のサスにより、ハンドリングはクイックだ。8000rpm以上で本領を発揮し、鋭く吹け上がるが、モード切り替えによりリッターマシン並みのパワーとミドルクラスの扱いやすさを楽しめる。ライポジも極端な前傾ではなく、親しみやすい部類。間口の広さが光る1台だ。

【番外】HONDA RC213V-S[前代未聞・空前絶後]全てがウルトラスムーズ

可能な限りモトGPマシンを忠実に再現した公道モデルで、プライスは2190万円也(国内仕様)。2015年に約200台が世界限定生産された。カムギアトレインの360度クランクV4は、欧州フルパワー仕様でも159psに過ぎない……が、「全て」が極上に滑らかだ。操作感、加速、ブレーキ、その全てがライダーの意志を正確無比に反映。ハンドリングも常にピタリとした未体験の安定感がある。介入度が低いモードだと凶暴さは増すが、正確に操れるため不安は少ない。開発ライダーに言わせると「乗った印象はGPマシンそのまま」。乗りやすさこそ速さ、というホンダの思想を体現している。215psのスポーツキット装着車は体感的に市販車最速だが、意外と普通に乗れて、安全にタイムが出せる。

HONDA RC213V-S

HONDA RC213V-S■水冷4ストロークV型4気筒 DOHC4バルブ 999cc 215ps以上/13000rpm 12.1kg-m以上/10500rpm 160kg 16.3L■シート高830mm ※諸元はスポーツキット装着状態 ●2190万円(新車発売時)

【掲載インプレッションについて】本文は、本誌の膨大なデータベースから、様々なテスターのインプレを統合し、凝縮している。そのため掲載写真のライダーによるインプレとは必ずしも限らないので、ご留意を! また、限られたスペースを有効活用するため、車両の解説は最小限としている。マシンデータは関連記事をサブテキストとして参照されたい。
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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)