ホンダがミラノショーで発表した新型CBR1000RR-R/SPは久しぶりの完全新設計モデル。狙いをサーキットに定めて徹底的に戦闘力を高めてきているだけに、多くの内容が盛り込まれている。今回は装備を解説しよう。
電子制御スロットルもハード&ソフト面で進化
ホンダの直4で初めて電子制御スロットルを採用したのが2017年型CBR1000RRで、CBR1000RR-R/SPはそれを改良し応答性を早めている。標準のライディングモードは3つあり、調整はP(パワー)は1~5、エンジンブレーキ(EB)はスロットルを閉めた時の効き具合で1~3、そしてウイリー制御も3段階調整と介入なしにもできる。トラクションコントロールのHSTCは介入なしと9段階で調整可能で、新型CBR1000RR-R/SP用に最適化されている。また、SPにはレーススタート時のスタートモードも装備されており、スロットルを大きく開けてもエンジン回転を6000/8000/9000rpmに制限するため、ライダーはクラッチ操作に集中できる。同様にSPにはクイックシフターも標準装備されており、サーキット走行において高いパフォーマンスを発揮できるようになっている。
ボッシュ製の6軸ジャイロセンサー(IMU)は、従来の5軸タイプから進化したもの。より正確なピッチングとロール及びヨーの検知が可能となり、車体挙動の制御もさらに高精度なものとしている。ショーワ製の新しいホンダエレクトリックステアリングダンパー(HESD)は従来とは異なる筒型でアンダーブラケット部に装着。減衰力は車速とIMUからの入力で制御され、レベルは3段階に調整可能だ。CBR1000RR-Rのシステムを完全かつ直観的に操作するため、フルカラー5インチ液晶ディスプレイは解像度が高められサイズも大型化。左手の4方向スイッチの上下でライディングモードの各要素を選択、左右で表示情報を切り替えることができる。
ダクトウイングをつけると加速で0.6秒速い
CBR1000RR-Rのカウルデザインは単なるデザインスタディではなく、ライダー乗車時にクラス最小の空気抵抗値と加速時、減速時の安定性を実現するために形作られた。まず、燃料タンクカバーを従来より45mm下げてライダーが伏せやすいようにし、前面投影面積を縮小。35度程度のバンク時は、スクリーンが最小限の空気抵抗でアッパーカウルからシートカウルまで空気をスムーズに導くようになっている。スクリーン脇左右にある小さなスリットは、旋回中の空気抵抗を低減するよう設置された。
フロントフェンダー両側の出っ張りは、空気の流れを前輪から遠ざけてサイドカウルにスムーズに誘導し、コーナリングを助けるように意図されたもの。フロントタイヤ部からラジエターとオイルクーラーへ流れる空気は、空気力学を元に最適化されている。アンダーカウルはリヤタイヤの近くまで伸ばされており、空気を下に流すような形状とした。これには、晴天時はリヤタイヤに当てる空気を減らして抵抗を削減、雨天時はリヤタイヤに当たる水滴を減らしてグリップを確保するという2つの狙いがある。リヤフェンダーは、側面の形状がライダーの足に当たる空気抵抗を削減するだけでなく、上部をカットすることによりスイングアーム両側の空気の流れを整え、リヤリフトを抑えてくれる。これらの結果、CBR1000RR-Rの空気抵抗値は、クラス最小の0.270を記録することができたのだ。
前面投影面積を最小限に抑えつつ、サーキットでの速度域でダウンフォースを生み出すために、CBR1000RR-Rは2018年型RC213Vと同じダクトウイングを採用している。この装備により、加速時のウイリーが抑えられ、ブレーキングとコーナー進入時の安定性が向上している。縦長で前後に短いフェアリングダクト内にウイングが3枚縦に並んでいるが、この配置はコーナー進入時の倒し込みや旋回に影響することはない。旋回中の挙動を安定させるために、左右ウイングの正面からの角度と真横からの角度が対になるよう設計されている。このRC213V譲りのダクトウイングは、ダウンフォースを増やしてブレーキング時の安定性を確保。ライディングポジションも非常にコンパクトに仕上がっている。
関連する記事/リンク
ホンダがミラノショーで発表した新型CBR1000RR-R/SPは久しぶりの完全新設計モデル。狙いをサーキットに定めて徹底的に戦闘力を高めてきているだけに、多くの内容が盛り込まれている。今回は装備を解説[…]
ホンダが11月5日から開催のミラノショーに先駆け2020年モデルを欧州で発表。中でも一番の目玉は、CBR1000RRの後継にあたるCBR1000RR-Rで、なんと約218psを発揮! まずは速報で概要[…]
ホンダがミラノショーで発表した新型CBR1000RR-R/SPは久しぶりの完全新設計モデル。狙いをサーキットに定めて徹底的に戦闘力を高めてきているだけに、多くの内容が盛り込まれている。今回はエンジンを[…]
ホンダがミラノショーで発表した新型CBR1000RR-R/SPは久しぶりの完全新設計モデル。狙いをサーキットに定めて徹底的に戦闘力を高めてきているだけに、多くの内容が盛り込まれている。今回はシャーシを[…]
2019年11月5日、ホンダがミラノショーの会場で2020年のレース体制を発表。注目のCBR1000RR-Rの動向は、TeamHRCが世界戦に参戦という期待通りのものになった。佐藤寿宏(ことぶき)がレ[…]