第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

ダクトウイングの効果も実証

【装備編】ホンダ2020新型CBR1000RR-R/SP トリプルアール詳細解説

  • 2019/11/8

ホンダがミラノショーで発表した新型CBR1000RR-R/SPは久しぶりの完全新設計モデル。狙いをサーキットに定めて徹底的に戦闘力を高めてきているだけに、多くの内容が盛り込まれている。今回は装備を解説しよう。

電子制御スロットルもハード&ソフト面で進化

ホンダの直4で初めて電子制御スロットルを採用したのが2017年型CBR1000RRで、CBR1000RR-R/SPはそれを改良し応答性を早めている。標準のライディングモードは3つあり、調整はP(パワー)は1~5、エンジンブレーキ(EB)はスロットルを閉めた時の効き具合で1~3、そしてウイリー制御も3段階調整と介入なしにもできる。トラクションコントロールのHSTCは介入なしと9段階で調整可能で、新型CBR1000RR-R/SP用に最適化されている。また、SPにはレーススタート時のスタートモードも装備されており、スロットルを大きく開けてもエンジン回転を6000/8000/9000rpmに制限するため、ライダーはクラッチ操作に集中できる。同様にSPにはクイックシフターも標準装備されており、サーキット走行において高いパフォーマンスを発揮できるようになっている。

ボッシュ製の6軸ジャイロセンサー(IMU)は、従来の5軸タイプから進化したもの。より正確なピッチングとロール及びヨーの検知が可能となり、車体挙動の制御もさらに高精度なものとしている。ショーワ製の新しいホンダエレクトリックステアリングダンパー(HESD)は従来とは異なる筒型でアンダーブラケット部に装着。減衰力は車速とIMUからの入力で制御され、レベルは3段階に調整可能だ。CBR1000RR-Rのシステムを完全かつ直観的に操作するため、フルカラー5インチ液晶ディスプレイは解像度が高められサイズも大型化。左手の4方向スイッチの上下でライディングモードの各要素を選択、左右で表示情報を切り替えることができる。

一見すると旧CBR1000RRのように見えるメーター。RRRは表示がかなり多彩になっている。

こちらは中央に大きく回転計を表示したタイプ。

ギヤポジション表示が特大版。

回転計とラップタイム表示に絞ったサーキット版。スピード表示はなしだ。

こちらは車体姿勢をリアルタイム表示する画面。速度も出すのでファンライド用か。

新作された4方向スイッチは左手側に配置。右はスタート&キルスイッチを配置している。

マシンの姿勢をヨー/ピッチ/ロールの6方向で検知するボッシュ製のIMU。

ショーワ製の新型ステアリングダンパーを採用。減衰力発生部にショーワの電サスと同じ電子制御バルブを採用し応答性を高めている。

ダクトウイングをつけると加速で0.6秒速い

CBR1000RR-Rのカウルデザインは単なるデザインスタディではなく、ライダー乗車時にクラス最小の空気抵抗値と加速時、減速時の安定性を実現するために形作られた。まず、燃料タンクカバーを従来より45mm下げてライダーが伏せやすいようにし、前面投影面積を縮小。35度程度のバンク時は、スクリーンが最小限の空気抵抗でアッパーカウルからシートカウルまで空気をスムーズに導くようになっている。スクリーン脇左右にある小さなスリットは、旋回中の空気抵抗を低減するよう設置された。

フロントフェンダー両側の出っ張りは、空気の流れを前輪から遠ざけてサイドカウルにスムーズに誘導し、コーナリングを助けるように意図されたもの。フロントタイヤ部からラジエターとオイルクーラーへ流れる空気は、空気力学を元に最適化されている。アンダーカウルはリヤタイヤの近くまで伸ばされており、空気を下に流すような形状とした。これには、晴天時はリヤタイヤに当てる空気を減らして抵抗を削減、雨天時はリヤタイヤに当たる水滴を減らしてグリップを確保するという2つの狙いがある。リヤフェンダーは、側面の形状がライダーの足に当たる空気抵抗を削減するだけでなく、上部をカットすることによりスイングアーム両側の空気の流れを整え、リヤリフトを抑えてくれる。これらの結果、CBR1000RR-Rの空気抵抗値は、クラス最小の0.270を記録することができたのだ。

前面投影面積を最小限に抑えつつ、サーキットでの速度域でダウンフォースを生み出すために、CBR1000RR-Rは2018年型RC213Vと同じダクトウイングを採用している。この装備により、加速時のウイリーが抑えられ、ブレーキングとコーナー進入時の安定性が向上している。縦長で前後に短いフェアリングダクト内にウイングが3枚縦に並んでいるが、この配置はコーナー進入時の倒し込みや旋回に影響することはない。旋回中の挙動を安定させるために、左右ウイングの正面からの角度と真横からの角度が対になるよう設計されている。このRC213V譲りのダクトウイングは、ダウンフォースを増やしてブレーキング時の安定性を確保。ライディングポジションも非常にコンパクトに仕上がっている。

プロジェクター4灯ヘッドライトも超小型化され、空気抵抗値を削減したRRR。クラス最小の0.270を達成。

ダクトウイングが装着されても幅広の印象は少ない。長めのサイレンサーも車体側に寄せられバンク角に影響はなさそうだ。

尖ったテールカウルが新型ならではで、これも空力を考慮したデザインとなる。

アンダーカウルの後端はリヤタイヤに当たる風や水滴を低減させる。リヤフェンダーも空力を考慮したデザインで、足に当たる風やリヤリフトを減らす効果がある。

ダクト内にウイングを3枚セットしている。走行テストでは4速までの加速で0.6秒速いという結果が出ている。

解析図。ウイングに飛行機の羽を逆さまにした迎え角をつけており、色の分布から空気抵抗はあまり発生していないのが分かる。

ライディングポジションはご覧の通りかなり前傾する。170cm/70kgのライダーで足つきは両かかと4cm程度浮く程度だった。

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いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)