1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰り広げた。’02年に現役を引退し、今はツーリングやオフロードラン、ホビーレースなど幅広くバイクを楽しんでいる。そんな原田さんのWEBヤングマシン連載は、バイクやレースに関するあれこれを大いに語るWEBコラム。第14回目は、27年ぶりに鈴鹿8耐(予選日のみ)を見に行き、決勝日もレースの行方にドキドキするいちファンになっていたことなどを綴ります。
TEXT:Go TAKAHASHI
カンボジアで#46 バレンティーノのファンの多さに驚く
先日、家族旅行で7泊カンボジアに行って来ました。世界遺産のアンコールワットは想像以上に大きくてビックリです。見応えは十分でした。
カンボジアの街の中は、3輪のトゥクトゥクがたくさん走っていました。僕たちが乗ったトゥクトゥクの運転手さんはバレンティーノ・ロッシのレプリカヘルメットをかぶってました。いや、「レプリカヘルメット」というより、#46のステッカーチューンですね。
カンボジアではアンダーボーンからスポーツモデルまでバイクがたくさん走ってるんですが、とにかく「ロッシレプリカ風」のヘルメットが目立つんです。「ここでもバレ人気はスゴイんだな!」と改めて驚かされました。
スポーツバイクはKTMが多かったかな。よく見かけたのは390DUKEですが、中には1290スーパーデュークも。ドゥカティもいて、たぶんパニガーレだったと思います。ただ、残念ながら国産はあまり……。スポーツバイクのほとんどはカンボジア人ではなく、当地に住んでいる欧米人たちが乗っているようでした。
僕とは違って社交的な奥さんのおかげで現地で友達もできたし、バイクもたくさん眺められたし、楽しい家族旅行になりました。
1992年以来の鈴鹿8耐へ! 各チームの真剣さに触れる
その後、7月27日は鈴鹿8耐へ! ’92年に1度行ったことがありますが、それ以来なのでなんと27年ぶりです。残念ながら台風の接近でトップ10トライアルは見られませんでしたが、いろんな人たちに会えて、楽しかったなぁ。
ヤマハファクトリーレーシングチームのスイートにもお邪魔しました。部屋には中須賀克行くん、吉川和多留くん、そして難波恭司さんがいて、みんなで大笑いしながら昔話やら何やらと……。中須賀くんはちゃんと話すのはほとんど初めてでしたが、SP忠男の後輩ですしね。今度、忠さん(SP忠男の社長)も交えて飲みにでも行きたいけど、中須賀くん本人が緊張しちゃって嫌がるかな(笑)。
チームオーナーが知り合いなので顔を出したのは、Zaif NCXX RACINGです。SSTクラスに2台エントリーしていました。#806は長尾健吾/ステファン・ヒルでSSTクラス優勝を狙うガチ組。もう1台の#602は連続出場記録を更新中、53歳の國松俊樹さんを含めたチームで、こちらは大人が楽しんでいるといった、イイ雰囲気でした。
鈴鹿8耐は参加台数がとても多く、タイムにも幅があります。そのことには賛否両論ありますが、僕はレギュレーションに沿って基準をクリアしてさえいれば、いろいろな楽しみ方があっていいと思います。
ファクトリー勢は勝つために参戦しますが、プライベーターが勝つことは難しい。当然、タイム差もあるでしょう。でも、どのチームもレースに真剣であることには変わりありませんからね。ちゃんと基準をクリアしたチームが全力で戦うんだから、プライベーター参戦にも僕は大賛成です。
さて、決勝レースは現場では見られませんでしたが、もちろんチェックしましたよ。「レイすごいな!」「ブラドル頑張れ!」「中須賀くん、行け!」「巧くん負けるな!」と、完全にただのいちレースファンになってました……。
やはりトップ3チーム、ホンダ、ヤマハ、そしてカワサキのファクトリーチームはズバ抜けていましたね。ホンダは、燃費の良さが生かし切れなかったのがもったいなかったかな。ヤマハはライダー3人のバランスがよくて、ピット作業さえ早ければ優勝していたはず。そしてカワサキはさすが世界王者といったところで、ジョナサン・レイのうまさが際立っていました。周回遅れをパスする時の切れ味はピカイチだし、マシンの出来もピット作業もよかったですね。
最後にはリザルトの変更などがあり、ちょっと後味の悪い結末になってしまいました。その内容についてはさておき、お客さんのことを考えると、セーフティカーでもいいからゴールの瞬間が見たかったですよね! 赤旗ではゴールしないから……。
でもこういうちょっと微妙な経験も、次につながることなんだと思います。個人的には、ちょっと耐久レースに関わってみたくなりました。
関連する記事/リンク
'93年、世界グランプリデビューイヤーにチャンピオンを獲得した原田哲也。その前に立ちはだかったのは、イタリア人のマックス・ビアッジだった。圧倒的優位なマシンを駆るビアッジに、どこまで食い下がれるか──[…]