『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第15回は、三大瀬戸内横断ルートの影に隠れた、知られざる絶景ロード。地元では“裏しまなみ海道”とも呼ばれ、有料区間は原付も通れる格安路線となっている。
TEXT:Hidetoshi KANDA ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
風光明媚な古き潮待ちの港を往く
一般的に瀬戸内横断ルートと呼ばれているルートは、明石海峡大橋・備讃瀬戸大橋・しまなみ海道の3ルートが基本だ。それぞれ、世界屈指の大橋梁が架かっており、自動車専用道路化されている為、移動時間も大変スピーディーだ。
しかし、実は知られざるルートがもう一本あるのだ。それがこのとびしま海道。地元では“裏しまなみ海道”とも呼ばれており、広島県の呉市と愛媛県の今治市を連絡するルートだ。しかも、7つもの島々を橋梁で繋ぐ潮風感抜群のロケーション。道草がてら各島を周遊しつつ瀬戸内を楽しめる、西日本でもトップクラスのツーリングルートだ。しかも有料の橋は1本のみ。料金も格安の片道560円だ。原付ならナント50円!自走で島旅を楽しめる全国でも大変珍しいスポットなのだ。
しかし、ここで断っておかなければならない事がある。それは、残念ながら完全には繋がっていない事なのだ。本土より7つの島と橋梁を渡り、四国まであと一歩!という所で道は途切れる。今治市を目前に控えておきながら、最後はフェリーで渡る事になる。しかし、アクセス方面によってはしまなみ海道ルートより圧倒的に近道になる上、景色は圧倒的に素晴らしい。時間さえ許せば、最高に印象深い旅になる事間違い無しの絶景ロードなのだ。
当然、四国に上陸せず、島旅のみ楽しみたいといった旅人も多く、休日は旅ライダー達の姿も散見される。その上、古来より潮待ちの港として栄えてきた大崎下島の御手洗地区は、当時の街並みが保存されている貴重な地域でもあり、休日は観光客も大変多い。しかし、それを除けば全体的に交通量は少なく一種の秘境感すら漂うスポットもまた大変多いのだ。特にお勧めは展望台巡り。全体的に高低差のある急峻な地形の為、各展望台からは瀬戸内の様相が一望できる。ここでしか見れない、多島海の魅せる感動的な風景は一生に残る想い出になるに違いない。しかも、観光客は殆どゼロ。万葉の古来より知られている瀬戸内の絶景を、独り占めできるとっておきの場所なのだ。
また、この地域ならではの海鮮グルメも忘れてはいけない。やはりお勧めはアナゴ。地元の常食として親しまれてきた食材の為、価格も安価。激しい潮流の中で育った身の締まったアナゴは脂と歯応えのバランスが素晴らしい。
高速コーナーの連続するスカイラインや、地平線の見える1本道とは全く縁のない地域ではあるが、ロケーション・旅感・感激度。3拍子がこれだけ高度に揃う上、お手軽。遠い地域から訪れる価値のある満足感抜群のルートだ。
岡村島~今治港:1日4便、約80分
運賃:旅客860円+原付370円、751cc未満560円、751cc以上740円
問:関前支所住民サービス課TEL:0897-88-2111、岡村港務所TEL:0897-88-2252
ロード情報
交通量:周辺では知られた観光スポットである大崎下島の御手洗地区周辺を除き、全体的に少ない。しかし、地元作業車が多い為、通行には十分注意して頂きたい。
路面:全線良好な舗装路。しかし、橋梁部分は幅広い2車線路ながら島々の周遊道路は狭い場所も珍しくなく、車両との離合時には多少注意が必要だ。
~とびしま海道~
秘境感★★★
天空感★★
潮風感★★★★★
爽快感★★★★
根性感★★★
開放感★★
関連するアーカイブ
あなたにおすすめの関連記事
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第14回は、修行レベルの難度を誇る、伊豆のとある山岳道。鬱蒼とした森林を抜けると、そ[…]
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第12回は三重県にある国内有数のリアス式海岸を見下ろしながら駆け抜ける絶景道、パール[…]
写真をまとめて見る
- 1
- 2