『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第14回は、修行レベルの難度を誇る、伊豆のとある山岳道。鬱蒼とした森林を抜けると、そこには感動的な光景が広がっている。
TEXT:Hidetoshi KANDA ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
酷道の先に突如開ける空前の展望! 東日本随一の風景がここにある
今回のステージは伊豆。“伊豆の道”と聞くと、多くの方が稜線上を走るスカイラインや、断崖絶壁上の海沿いトラバースルートを連想するに違いない。
しかし、この細野高原はまさに“隠れスポット”とも呼ぶべき知られざる絶景ポイント。近年はWEB等の影響もあり、多少メジャーになりつつあるが、数年前まではメディアに登場する事など皆無だった秘密の絶景ポイントだったのだ。
この超絶風景にも関わらず、今まで注目されていなかった理由は2つ。細野高原までのアクセス路の悪さと、現地の道幅の狭さだ。高原が始まる標高500m付近までは、軽自動車がギリギリ離合できる程度の1.5車線路。しかも、鬱蒼とした林の中の悪線形路で、路面は苔蒸している。その上、落石や倒木といった障害物も点在しており、大型ツアラーバイクにとっては少々厳しさのあるベテランライダー向けの酷道なのだ。また、高原上のルートはコンクリートの簡易舗装で、路面凹凸こそないフラットな路面だが、その狭さは悪魔的。何とバイクの離合すら躊躇う道幅なのだ。しかも、その傾斜度が半端ではない。あの日本一の傾斜度と言われる暗峠が平坦に思える程の恐るべき傾斜道で、大型車でも2速ギアがお勧めな程だ。“絶景道”とはいうものの、純粋に道としては修行レベルの酷い道と言える。
しかし、そこまで酷道でありながら、旅人の興味を引きつつ人気が尽きない理由は、その景色なのだ。標高は約800m程度と“山岳”と呼ぶにはあまりにも低い標高だが、今まで走ってきた鬱蒼とした森林道が幻と思える程の感動的な光景が目前に広がっている。
山腹をはじめ、稲取岬の全景の先には、相模湾・伊豆大島・利島が一望。その先に広がる太平洋の大海原まで一目で見渡す事ができるのだ。
展望風景というより、もはや天空より見下ろす情景。まるで航空機に搭乗しているかのような錯覚さえ覚える。
また、眼下は一面のススキ野。その野原の中を縦貫する1本の曲線路。この道こそ前述の激狭路なのだが、天空より見下ろすその様相は、まるで草原に横たわる大蛇。名付け人こそ不明ながら、人呼んで“大蛇の道”。大蛇だけに近寄れば苦難も多いが、遠巻きに眺めるとダイナミックそのもの。これを走ってきた事が誇らしくさえ思える道だ。
道と景色は2つで一つ。スカイラインのような良線形道のみが楽しみではない。絶景道の多い伊豆半島だが、定番のみならずこの様な隠れた絶景もまた伊豆の魅力に他ならない。ハードルは少々高いながら一度は訪れておきたい場所だろう。
網元料理 徳造丸 本店
静岡県賀茂郡東伊豆町稲取798
TEL:0557-95-1688
10:30~16:45 水曜休
伊豆オレンヂセンター
静岡県賀茂郡河津町見高1266-31
TEL:0558-32-1134
9:00~16:30 最終木曜休
ロード情報
交通量:近年、比較的知られてきたスポットではあるがアクセスの不便さ故、観光客は殆ど見当たらない。道幅も狭く転落の恐れもある為、バランスには十分注意が必要。
路面:全体的にコンクリートの簡易舗装。アクセス路は落ち葉・落石も多く、決して快適とは言えない。絶景ポイント周辺も凸凹こそ無いが、激狭の為、走行には細心の注意が必要。
~細野高原 三筋山登山道~
秘境感★★
天空感★★★★★
潮風感★★
爽快感★★★★★
根性感★★★★
開放感★★★★★
あなたにおすすめの関連記事
『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第12回は三重県にある国内有数のリアス式海岸を見下ろしながら駆け抜ける絶景道、パール[…]