2018年9月26日、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンター5kmコースにて、ヤマハNIKEN(ナイケン)の試乗会が開催された。本誌からは丸山浩さんが参加し、初めての走行で語った内容をほぼそのまま文字にしてお届けする。さらに当日収録した映像もご覧いただきたい。
2輪に乗っているようで2輪より曲がる感じ
出ましたヤマハのナイケン。フロントに2輪、リヤに1輪、新しい乗り物としてヤマハが推しているマシン。ナイケンは3輪LMWのフラッグシップモデルとして出てきた訳ですよね。私も乗るのを楽しみにしていました。一体どんな走りをするのか? 午前中に一発乗ってきて1時間。他の多くのライダーはツーリングウエアでワインディング走行をイメージした試乗を行っていましたが、もちろん私はレーシングスーツ。これはまず限界性能を探ってみたいな、というのが狙いです。フロント2輪で思いっきり攻めて一体なにが起きるのか? それが分からないとその後の説明ができないのでまずは激攻めさせていただきました。
まずは起こしてみるところから語ってみたいと思います。263㎏あるのですが、起こすのはすごく軽い。そしてそこから走りだして行く。またがって乗ってみるとフロントの2輪はライダーからは見えない。体をオフセットさせるとサイドに見ることができますが、乗車姿勢からは見えない。なので普通に出ていくと2輪のツアラーのような雰囲気ですね。ハンドルも広めだし。そして一発目にスラロームがあるんですね。傾けてみると普通の2輪のように特に癖もなくスイッスイッとね、寝ていく。そこに重たさもなにもない。逆に軽いんじゃないかと感じるくらいスイッスイッと行く。その時に、フロント2輪の特性を一生懸命感じようかなと集中したんですけど、フロントに2輪あるように思わせないんですよね。普通の2輪に乗っている感じでそれがいいですよね。そして、撮影ポイント行くまでのワインディングに、濡れているところが何か所かあるんですよね。普通だったらスピードを落として行くんですけど、結構いいペースのままその濡れているところに行っても、あれ? 不安感がないというのが正直なところです。やっぱりナイケンの一番いいところではなかいと思います。路面が荒れているところ、濡れているところも普通に走れるというね。
そこから先の撮影ポイントである程度……いや、結構攻めてみました。とりあえず2速、3速で流しながら寝かしていく。もうね、すぐにステップを擦ってしまう。でもその角度はね、普通のバイクでも結構いい角度なんですよ。だけどその角度にすんなり至ってスイッ、シャシャシャってね擦っちゃうんですよね。ステップを擦りながら、グイッて曲がっていくんですけど、何も起きない。本当に何も起きなくて、ステップが持ち上がっちゃうくらいさらに寝かしこんで行って、ガリガリッて行ってもフロントがすごく安定してる。それでグイグイ曲がる。正直言って普通のバイクよりも曲がりますね、これは。
なぜかって言うと普通に2輪のバイクがバンクしていくとセルフステアというのが働きますよね。そのステアリングの位置よりもタイヤがもっと切れているような感じがする。寝かしていくとハンドルが切れているような感じがして、普通の2輪はそこで、あんまり寝かせていくと切れ込んできてバンク角をセーブしたりするんですけど、ナイケンの場合はステアリングがある程度入ってきてさらに寝かすとタイヤだけがグイッとイン側に向いて、ギューンッと曲がっていくような感じなんですよ。「おお! スゲーよく曲がる!」という感じ。
そして、よく曲がるからもうちょっとスピード出しても入れる。普通の2輪のイメージでいつものコーナーという感じだと、スーって入ってこのくらいスピード落としてから寝かそうていう感じですけど、そうじゃなくてもう一段上の速度で寝かしていけるかなという感じで、いやいやもう……。コンセプトはベテランライダー向け、月に1~2回ツーリングに行くくらいの方が安心して乗れるようにというものですけど、これはスポーツ派ライダーもOKです。
ちなみにリヤタイヤのスライドは2輪と同じです。1速でフルバンクからアクセルをグイッて開けていくとリヤがザーッと少し滑って立ち上がる。滑ってハイサイドまではいかないんですよ。何本かブラックマークが残るのを自分で見てるので、トラコンを切ればちゃんとリヤタイヤがスライドをしていくのが分かる。それでもフロントは何も起きないんですよね。いやいや凄いですねこれは。
勘違いして欲しくないのは、絶対転ばないバイクではないということですね。無茶したら転ぶでしょう。ちなみに普通に立ち転けもすると思います。ある程度寝かして行ったら倒れちゃいますからね。限りなく転ばないバイクに近いような造りをしていると言っていいんじゃないですかね。そんなところが今回のファーストインプレッションですかね。楽しかったな~。
テスター:丸山浩
撮影:飛澤慎
取材協力:ヤマハ発動機
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