佐藤寿宏のレース通信

【鈴鹿8耐レビュー】ペドロサが鍵?! 今から来年のドリームチーム結成が楽しみ

鈴鹿8耐が終わり、すでに2週間以上経ってしまい、今さら感がありますが、ちょっと振り返りをお届けいたします。

見ごたえ十分のヤマハvsカワサキ

2018年もYAMAHA FACTORY RACING TEAMが強かったですね。土曜日のフリー走行開始直後にエース中須賀克行が転倒し、右肩を痛めてしまい、本番を走ることはありませんでしたが、アレックス・ローズとマイケル・ファン・デル・マークの2人で走り切り見事4連覇を達成しました。台風12号の影響で急な降雨、セーフティーカーが3回も入る荒れた展開となりましたが、その中で安定した速さを見せました。決勝を走らず表彰台の真ん中に立った中須賀は「一度も走らず4連覇ってハンパなくない!?」とおどけましたが、内心は複雑なところもあったでしょう。

一方、ワールドスーパーバイク王者のジョナサン・レイ(以下ジョニー)を擁したKawasaki Team GREENは、予選、そしてTOP10トライアルで2分05秒台をマークするなど、さすがの速さを見せ今年の8耐を盛り上げてくれました。序盤のヤマハとのガチンコバトルは見応え十分でしたね。ガス欠とセーフティーカー中の転倒(いずれもジョニーのとき)で遅れを取ってしまい結果は3位でしたが、十分速さは見せつけてくれました。

ガス欠と転倒がなかったら…。という強さをみせたスーパーバイク王者のジョニー。

ホンダはヤマハとの差を埋められず

代わって2位となったのがRed Bull Honda with 日本郵便でした。ウエットコンディションとなったスタート直後は、高橋巧が快走し、トップを独走しましたが、前半の4時間中3時間ほどを高橋巧が走ったため、その負担を考えパトリック・ジェイコブセンをウエットコンディションで投入。絶対に転倒できない状況だけに、ペースは上がらず、その差はつく一方でした。中上貴晶は、MotoGP™ライダーとなり、昨年とはひと味違う走りを見せてくれましたが、総合的にヤマハには劣っていたところは否めません。来シーズン、フルモデルチェンジして登場すると、うわさされているニューマシンが待ち遠しいところでしょう。

3大ワークスが順当に表彰台を占めましたが、4位には生形秀之率いるS-PULSE DREAM RACING・IAIが入りました。生形は、昨年からチームとして鈴鹿8耐チャレンジを開始。ヨシムラから型落ちのマシンの貸与を受けてチャレンジするも、スタート直後に他車に追突され順位を落としていました。ペアを組んだMoto2™ライダー、マーセル・シュロッターも速さを持っていたため2人で走った方が上に行けると見ましたが、ケガもあり、かなり無理をする結果となっていました。そんな反省を踏まえ、今シーズンは、喉から手が出るほど欲しかった全日本J-GP2クラスのタイトルを諦め、JSB1000クラスにフル参戦。ニューGSX-R1000にスイッチしましたがデータが全くないところから、文字通り産みの苦しみを味わっていました。そんな中、鈴鹿では、ようやくマシンもまとまって来ており、事前テストから今年よりヨシムラで走っている渡辺一樹、BSBライダーのトミー・ブライドウェルも合流。この2人が速く、ワークス勢に何かあれば表彰台に上がれるポジションを走れるはずと見込んでいましたが、その通りとなりました。8耐2年目で、この結果は上出来だと言えるでしょう。

そのS-PULSE DREAM RACING・IAIと4位争いを繰り広げていたのが、au・テルルMotoUPレーシングでした。今年からKohara Racingと別れ、体制を一新。タイヤをブリヂストンにスイッチすると本来の速さを見せていました。残り2時間を切ったところまで4番手を走っていましたが、後続を引き離そうとペースを上げていたところ監督兼エースの秋吉耕佑が逆バンクで転倒。大きく順位を落とす結果となりましたが、Moto2™ライダーの長島哲太、イサック・ビニャーレスも速さを見せました。「ケガもあってほとんどテストできずに本番を迎えたのですが、いいペースで走れました。まだブリヂストンのフロントに関しては限界が分からないですね」と語っていた長島でしたが、夕闇の中、2分10秒台で周回していました。

その直後を走っていたのが、タイトル獲得に王手をかけていたF.C.C. TSR Honda Franceでした。タイトルを争うGMT94YAMAHAとレース終盤までバトルを繰り広げていましたが、これを引き離して5位でゴール。見事、世界耐久チャンピオンに輝きました。

Moto2™ライダーの長島哲太も光る走りを見せた。

早くも来年のチーム体制をスクープ?!

後日談として、トーチュウの遠藤智さんのコラムでMotoGP™引退を発表したペドロサを青山博一が鈴鹿8耐に誘い、3人目のライダーにペドロサより小柄な“コヤマックス”こと小山知良を指名した、という記事がありました。アジアロードレース選手権のためインドにいたコヤマックスと“テッシー”こと手島雄介と話すと、初めて小山がライダー候補だと言うことを聞いたそうで、その話題で盛り上がったそうです。現在、日本郵便のサポートを受け、全日本ST600クラスに参戦しているチームオーナーであるテッシーと、そのライダーであるコヤマックスだけに「来年の8耐は“日本郵便 with Red Bull”でワークス体制だね」とボクが言うと「そうなったら楽しいですね。話題性もありますよね」とコヤマックス。実力がありながら、なかなかシートに恵まれてこなかっただけに、コヤマックスがワークスマシンで鈴鹿8耐を走る姿を見てみたいと思いましたよ。そのカギを握るのはペドロサでしょう。テストライダーとしてHondaに残るなら、その可能性は高いと言えますが、KTMもペドロサを誘っていることを公言しています。各方面のスタッフを引き抜いているKTMだけに、ペドロサも是が非でも欲しいライダーの一人であることは間違いありません。ペドロサ、ヒロシ、コヤマックスの鈴鹿8耐、ぜひ見てみたいですね。

話題のコヤマックス。ペドロサと体格も近いので相性はバッチリ?!

文/写真:佐藤寿宏(ことぶき)

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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