’17年3月に発売され、昨年11月に’18年モデルがリリースされたカワサキの軽二アドベンチャー。まさにツーリングのための1台だ。 ※ヤングマシン2018年7月号(5月24日発売)より
【〇】防風効果が素晴らしい
専用設計のスチール製ダイヤモンドフレームに、旧ニンジャ250の水冷並列2気筒を搭載。フロント19インチ/リヤ17インチのワイヤースポークホイールを組み合わせ、未舗装路の走破も視野に入れたアドベンチャースタイルのツーリングモデルがヴェルシス-X250だ。初出は昨春で、標準モデルのほかパニアケースなど各種アクセサリーを追加した〝ツアラー〞を設定する。試乗したのはそのツアラーの’18年モデルで、基本的に色変更のみだ。
エンジンは旧ニンジャ250がベースで、プラス2psの33psを発揮する。デュアルスロットルバルブ採用のFIもあってか右手の動きに対して忠実で、しかもバランサーを導入しているので吹け上がりがスムーズだ。トップ6速・100㎞/h巡航時の回転数が約7000rpmと高めのため、ややせわしなさを感じるが、気になったのはその程度。大排気量のアドベンチャーモデルほどエンジンの自己主張は強くなく、峠道ではシビアにギヤを選んで高回転域を維持しながら走らせるという、小排気量ならではの楽しさがある。
ハンドリングは、フロント19インチの穏やかな舵角の付き方に支配された、デュアルパーパスらしいものだ。80㎞/hを超えたあたりから安定性が強まり、高速道路では直進性の高さが印象的に。ホイールトラベル量が前後とも長めなこと、さらにフレームがしなやかなので、大きなギャップを拾っても衝撃があまり伝わらず、乗り心地は非常にいい。付け加えると、防風効果は大排気量アドベンチャーモデルと同等レベルに高く、ツアラーを名乗るだけのことはあると納得。特にハンドガードは冬にありがたいと感じるはずだ。
【〇】小型パニアも実に便利
パニアケースは容量が片側17Lと小振りながら、上面にフタがあるので収納物が落下しにくく、非常に使いやすい。また、エンジンガードやセンタースタンド、電源ソケットなどもツアラーのみの装備で、どれもツーリングの際にありがたいものばかり。総額で約12万円分の装備を追加しながら標準モデルと差額は5万4000円。これはお買い得だ。
【×】ローギヤードなのか高速では高回転域多用
先にも触れたが、高速道路では高回転域を多用することになり、人によっては気になるかも。それと、トップケースとの併用は不可とのアナウンスも。おそらく操安性に大きく影響するからだろうが、ツーリング派にとっては少々残念な部分だ。
ライディングポジション
高いスクリーンとサイドカウルで防風性を確保
旧ニンジャ250ベースで最高出力33psを発揮
面積が広めのシートで快適な旅を約束する
「ツアラー」の特別装備
【結論】車検のないアドベンチャーを欲する人へ
アドベンチャーの雰囲気をうまく250㏄の枠内で伝えており、そんな実用性以外の部分も高く評価している。直接のライバルはスズキのVストローム250だろうが、カワサキの方がだいぶパワフルであり、オフ性能もこちらが上だ。
撮影:飛澤慎ニュース提供:ヤングマシン2018年7月号(5月24日発売)