
創業1903年、アメリカ合衆国ウィスコンシン州ミルウォーキーで誕生したハーレーダビッドソンは、2023年に120周年という大きな節目を乗り越え、新たなる時代へまた走り出している。次に迎える130周年に向け、モーターサイクルメーカーとして威信を賭けて開発設計され誕生したのが、ALL-NEW 2024年式のロードグライドだ。いち早くライドフィールを確かめたぞ!!
●文/写真:ウィズハーレー編集部 ●外部リンク:ハーレーダビッドソンジャパン
パワフルだがスキップを踏むようなビートは健在! サスストロークを伸ばし、足まわりをより強化
ハーレーダビッドソンを代表する両雄・ロードグライドとストリートグライド。それぞれのフェアリングはブランドを象徴するもので、モーターサイクルにふだん接しない人が見てもハーレーとわかるアイコンであり、羨望の眼差しを向けられることも少なくない。大型バイクの代表格として、歴代モデルたちは映画やテレビドラマなどにも登場し、玩具や模型となって子ども達にも親しまれてきた。
迫力のあるカウルは、ハーレーの最上級機種であることを意味し、いつかはオーナーにと願うライダーは昔も今も変わらず多い。それは新車販売実績でも明らかで、日本市場ではブレイクアウトがトップだが、10万台規模のアメリカでは半数が両車の属するグランドアメリカンツーリング(GAT)が占めている。
つまり、メーカーにとっては譲れないセグメントであると同時に、自らが開拓してきた北米大陸を横断するという、とてつもない能力を備えたクラスを今後も牽引していかなければならない。
もっとも人気のある2つのモデルを新たに開発/設計する際、ハーレーダビッドソンは過去最大の投資をした。メーカーの威信をかけた勝負であるからだ。
さぁ、いよいよ走り出そう。車体を引き起こした時から、従来型より軽さを感じる。新型は先代よりロードグライドで8.2kg、ストリートグライドでは7.3kgも車体重量を落とした。足つき性に優れることも報告しておこう。
車体が動くと、軽快感がいっそう強く、スロットルの開閉に対する応答性がリニアな足まわりも非の打ちどころがない。
まずはエンジンのパワフルさから説明しよう。排気量1923ccのミルウォーキーエイト117は、燃焼室の形状や吸気ポート/バルブシート、エアクリーナーケースなどが見直され、最高出力107ps/最大トルク175Nmを発揮。従来型とは107比で馬力22%/トルク19%、114比で11%/7%、同じ排気量の117でも馬力3%/トルク4%を増強している。
ギヤが滑らかに入り、気に障る金属音を耳にすることもなくなった。滑らかに回転を上げつつ、どこからでも豊かなトルクを発揮。トルクがピークに達する3500rpmを超えても、まだスムーズに回ってパワーを盛り上げていく。
持ち前のテイスティさは…!? 心配しなくても、45度Vツインならではの不等間隔爆発がもたらすスキップを踏むようなビートは健在で、まろやかな鼓動と排気音は相変わらず味わい深い。
右手のハンドルスイッチで走りながらでも切り替えられるライドモードは、「スポーツ」「ロード」「レイン」がプリセットされ、ユーザーの好みでスロットルレスポンス/エンジンブレーキの強さ/トラクションコントロール/コーナリングABS介入レベルを個別に設定できる「カスタム」も用意された。
「スポーツ」では、アクセルを少しでも開けた途端、レスポンス鋭くトルクを抽出でき、キビキビと走らせられ、エンジンブレーキもよく効く。「ロード」はバランス重視、「レイン」はその名の通り雨天時など滑りやすい路面で、トラクションコントロールをはじめ電子制御が積極的に介入してくれる。
また、冷却ファンとラジエターを前輪後方に配備し、排気バルブまわりにウォーターラインを通す新たな水冷システムが採用され、熱対策にも万全を期していることも見逃せない。
フットワークが良いのは、車体の剛性バランスと軽量化、さらに足まわりが強化されたことの影響も大きい。とくにショーワとの共同開発によって新作となったリヤサスペンションは、従来型より1.5倍のストローク量(76mm)を持ち、路面追従性に優れるだけでなく、しっかりと踏ん張りが効き、切り返しなどでシャープな手応えで、車体をクイックに操ることができる。
インナーチューブ径49mmのデュアルベンディングバルブフォークも、剛性が高く、快適性を重視しつつもしっかりとダンパーが効く味付けだ。
アルミ鍛造のトリプルクランプが新たに組み込まれたステアリングまわりは、カチッとした節度が感じられ、路面からのインフォメーションが増えている。
フェアリングをフレームマウントにするロードグライドは、よりダイレクトなハンドリングだが、イーグルウィングのカウルをハンドルに装着するストリートグライドも、スロットルワークで入力のタイミングを合わせてやれば、意図したままに自在なコントロールができる。
指針式のメーターを一切排し、タッチパネルを400%増しにしたインフォテイメントシステムを採用しつつ、オーディオもグレードアップするなど進化ポイントは隅々まで多岐に渡る。にもかかわらず、価格を据え置きにしたから驚く。
冒頭で触れた通り、米豪欧では新車販売台数におけるGATの比率が高い水準にある一方で、日本市場では15%程にしかすぎない。これを伸ばすべく、ハーレーダビッドソンジャパンは値上げを見送った。我々からすればバーゲンプライスであり、見逃せないチャンスだ!
スイッチ類もすべて刷新された。ライダーモードの設定や画面の切り替えなど、グローブをはめたままでもタッチパネルで操作できるが、走行中はグリップ横のハンドコントロールを使うことを前提にしている。クルーズコントロールの設定や音量の上げ下げなどは、説明を受けなくとも直感的に行うことができた。
筒状のリザーバータンクにはラジエターのクーラントが入り、液量を目視で確認できる。ラジエター本体はダウンチューブの間・前輪後方に配置され、エンジンガードで守る。ウォーターラインは高熱を持つ排気バルブまわりに通される。
筒状のリザーバータンクにはラジエターのクーラントが入り、液量を目視で確認できる。ラジエター本体はダウンチューブの間・前輪後方に配置され、エンジンガードで守る。ウォーターラインは高熱を持つ排気バルブまわりに通される。
ディスプレイを400%増! 飛躍的進化を遂げたインフォテイメントシステム
12.3インチのタッチスクリーンは従来比400%増し。ライドモードはロード/スポーツ/レインに加え、出力特性/エンジンブレーキ/C-ABS/、C-TCSなどの設定が好みでできるカスタムも選べる。画面表示は、速度計とタコメーターがメインのCRUISE、タコメーターを中央にするSPORTS、ナビゲーションマップを表示するTOURを設定可能。スマートフォンとBluetooth接続でき、オーディオはイコライザーで音楽ジャンルによって音色を調整することも可能だ。
12.3インチのタッチスクリーンは従来比400%増し。ライドモードはロード/スポーツ/レインに加え、出力特性/エンジンブレーキ/C-ABS/、C-TCSなどの設定が好みでできるカスタムも選べる。画面表示は、速度計とタコメーターがメインのCRUISE、タコメーターを中央にするSPORTS、ナビゲーションマップを表示するTOURを設定可能。スマートフォンとBluetooth接続でき、オーディオはイコライザーで音楽ジャンルによって音色を調整することも可能だ。
走行シーンは動画でも見れる!
ROADGLIDE/ロードグライドのライディングシーンから始まるウィズハーレーVol.19 発売ムービー。
カラーリングはブラックトリムとクロームトリムそれぞれ6色設定
【完全収録!】ハーレーダビッドソンジャパン野田社長による報道向け発表会
新型ロードグライドデビュー! ハーレーダビッドソンジャパン代表・野田一夫取締役社長によるプレスローンチを完全収録!!
ライディングポジション
せり上がったハイアップバーで、高いグリップ位置からコントロールするワイルドなスタイルのロードグライド。また、サスストロークが伸びたことで、シート高は数値的に上がったものの、足つき性が従来型より良くなったと感じる。シート形状や地面におろす足を妨げる突起などがないためか、このあたりは機会を改めて2203年式と比較し、検証してみたい。※テスター身長175cm/体重66kg
せり上がったハイアップバーで、高いグリップ位置からコントロールするワイルドなスタイルのロードグライド。また、サスストロークが伸びたことで、シート高は数値的に上がったものの、足つき性が従来型より良くなったと感じる。シート形状や地面におろす足を妨げる突起などがないためか、このあたりは機会を改めて2203年式と比較し、検証してみたい。※テスター身長175cm/体重66kg
魔裟斗&矢沢心ご夫妻も興味津々!
ハーレー乗りの魔裟斗さんがハーレー新型ロードグライド発表会でトークショー! ブレイクアウトからの乗り換えもあるか!?
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』のお買い求めはこちら↓
ウィズハーレーの最新記事
ホンダやヤマハなど国内車両メーカー用のパーツ、排気量問わずに原付からスーパースポーツ、さらにはレース関連をサポートするパーツを得意とするメーカー。今回X350用のパーツでハーレー市場に参入した。 ここ[…]
ゲイルスピード タイプE/N/R 鍛造アルミホイールメーカーとして名高いゲイルスピード。ストリートからレースシーンで活躍しているカスタムホイールだ。サイズはいずれも純正と同じF3.5-17/R5.5-[…]
欧州スタイルの正規販売店イベント 週末をハーレーダビッドソンディーラーで過ごし、ブランドの世界観の中で仲間たちと過ごす。ヨーロッパにて行われているH-D正規販売店の『HARLEY NIGHT(ハーレー[…]
クラウス:オーリンズ ツーリングモデル用フロントエンド クラウスとオーリンズとのパートナーシップにより実現した、ツーリングモデル専用設計のフロントエンド。アグレッシブな走りを支える高次元の路面追従性/[…]
空冷スポーツスター用カスタムパーツを世に送り出し続けているグリーミングワークス(大阪府)。一方で水冷スポーツスターSやナイトスター用パーツもラインナップし、自然な流れでX350用パーツの開発も手がける[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト | ハーレーダビッドソン)
ベテランカメラマンに「これはアートだ」と言わしめる流麗なフォルム リヤタイヤが路面を蹴り飛ばすかのような、豪快で胸の空く加速フィールはスタートダッシュだけではなく、速度レンジが上がってからもまだまだ続[…]
リグニスによるカスタムコンプリートのニューモデル『フリスコスタイル』とは 「これこれっ、これなんだよなぁ」と、エボリューションVツインを知る人はもちろん、もしかしたらハーレーダビッドソンに乗ったことが[…]
2002年、「Vロッド」誕生 2002年式から2017年式まで、ハーレーのラインナップに名を連ねたVロッドシリーズ。その系譜を辿るのも興味深い。現行モデルのパンアメリカ/スポーツスターS/ナイトスター[…]
XLCRとはあらゆる点で違う ブラックに統一された精悍な車体の中で、フューエルタンクに貼られたバー&シールドのエンブレムがゴールドで彩られ、誇らしげに煌めいている。 クォーターサイズのコンパクトなフェ[…]
OHV45度Vツインの伝統を受け継ぐ史上最強エンジンは、キャラに違いあり!! 長きにわたり、ウィリーGが熱き情熱でスタイリングを手がけ、開発技術者たちとともに魂が込められ、製品化されてきたハーレーダビ[…]
人気記事ランキング(全体)
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
エクステリアはより力強く、そして個性的に 今回のモデリスタのコンセプトは、その名も「Dandy mode(ダンディモード)」だ。彫刻的な立体表現を随所に用い、街中はもちろんのこと、オフロードにおいても[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
動きが渋い鍵穴に潤滑剤はNG! ・・・の前に ちょっと前に「キーの回りが渋くなってきた鍵穴に、潤滑剤を吹きつける(注入する)のはNG!」という情報がネット上で広く流れました。その理由は一時的に動きが滑[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
最新の投稿記事(全体)
スタンドの重量はわずか2.5kg! 「チタニウムリヤスタンド TYPE-T11」は、ひとつひとつ職人が手作業で仕上げています。湾曲する部分はチタンパイプを溶接してつなぎ合わせて制作。細部にクラフトマン[…]
8耐の熱い走りを思わせるライムグリーンと赤の差し色 2020年モデルの発売は、2019年9月1日。250ccと基本設計を共通化した2018年モデルにおけるフルモデルチェンジ時のスペックを引き継ぐ形で登[…]
【本田技研工業 電動事業開発本部 二輪・パワープロダクツ電動事業開発統括部 CUV e: LPL(開発責任者) 後藤香織さん】2006年入社。以来一貫して2輪車開発に従事し、おもに車体設計としてEV-[…]
スズキRG250Γ(ガンマ):レーサーそのものの仕様に大歓喜 1983年、ようやく運輸省(当時)がカウリングとセパレートハンドルを認可。Γ(ガンマ)は、その恩恵を受け、車体を一気に”近代化”した第1号[…]
クラッチレバーをグリップに当るまでフルに切るのは丁寧なのではなく、ギヤに衝撃を与えるラフな操作になってしまう! 大切な愛車、バイクの運転はまだ慣れていないので上手くはないけれど、操作は慎重で丁寧であり[…]