
どんなに時間が経とうが、その輝きを失わないものがある。モーターサイクルに対する確固たる信念と溢れる情熱でつくられたハーレーダビッドソンもそのひとつだ。アメリカの工業製品が高性能と洗練されたデザインで世界を席捲した1930〜60年代に生産されたモデルは、旧き佳き時代の象徴として人々を魅了してやまない。大阪のセンバモータースに保管されている貴重なコレクションの一部を、6回にわたって紹介する。第3回は、ミリタリーファンでなくともワクワクするハーレーのリアル軍用車。センバモータースの1台には、H-D社が戦時中に陸軍のオーダーを受け生産した装備品のすべてが丸ごとすべて残っているから驚く! 歴史の証人がココに!!
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:藤村ノゾミ ●外部リンク:センバモータース
WLA:サブマシンガンを携行するホルダーを備え、浅瀬も渡るタフなミリタリー仕様
第二次世界大戦中に、45キュービックインチ(750cc)のフラットヘッドエンジンを搭載するWLのアーミー仕様、つまり軍用としたWLAがつくられた。
悪路での走破性を向上するため前後ホイールを16→18インチ化し、フェンダーはクリアランスを広くしている。
レッグシールドやスキッドプレート、消化器を積む大型リヤキャリアやサドルバッグを装備。「水深40cmの浅瀬も渡れるように」という陸軍からのオーダーから、エアクリーナーは専用の防水防塵ボックスで守っている。エンジンやトランスミッションの内部に水が浸入しないように、ブリーザーパイプは燃料タンクの下まで延長されていることも見逃せない。
そして、なによりも注目なのが、スプリンガーフォーク右側に備わるトンプソン短機関銃を収めるライフルケースで、その反対側には弾薬ケースもある。
特殊なヘッドライトは正面だけを照らし、夜間でも横から敵に察知されにくい。
このように、いつでも戦闘に臨める装備内容なのだが、軍では四輪駆動のジープの優位性が認められ、実際の使用は進駐や憲兵など非戦闘用に限られた。
1941〜45年の5年間で6万台が生産されたが、約1万3000台はキャンセルされ、納入予定だった車輌は民間向けのWLに仕様変更し販売された。
終戦後、WLAは米軍が駐屯した世界各地に残され、そのほとんどがストリート向けに軍用パーツが取り外され、外装も塗り直されたはず。しかし、レストアされていないマニア垂涎のモデルが、こうしてセンバモータースにはあるから驚きを隠せない。ご覧の通り、装備品もすべてオリジナルのまま揃っている。
The Enthusiast
軍はハーレーダビッドソンとインディアンに、BMW R71を忠実にコピーさせ、H-Dは水平対向2気筒エンジンのXAアーミーもおよそ1000台生産した。数十台が市販され、ミルウォーキーのミュージアムに展示されている。WLAは連合国軍に供給され、カナダ軍仕様「WLC」なども存在した。写真はハーレーの公式会報誌『The Enthusiast』1944年9月号。戦時中とあって、WLAにまたがるミリタリーポリス(憲兵)たちが表紙を飾っている。フランスにて撮影されたものだ。
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