
「もし、5万ドルのハーレーダビッドソンCVOが、たった6000ドルで手に入るとしたら?」人気YouTubeチャンネル「Bikes & Beards」の司会者Seanは、魅力的な問いかけで動画を始めます。しかし、その激安バイクの正体は、ハリケーンで海水に48時間も水没したハーレー エレクトラグライド ウルトラリミテッド。バイク購入では絶対に手を出してはいけない「禁断の果実」、特に腐食性の高い海水に浸かった代物でした。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:Bikes and Beards
友情から始まった無謀なレストア
この無謀なレストアは、Seanの親友Sergeyがタブーを知らずにこのバイクを格安で購入したことから始まります。Seanは友情とメカニック魂から、この「鉄くず」同然のバイクの復活に挑むことを決意します。
ガレージに搬入されたハーレーダビッドソン エレクトラグライド ウルトラリミテッド。遠目には綺麗だが……。
ガレージに運び込まれたバイクは、泥と塩にまみれ、至る所が錆びていました。電気系統は希望と絶望が交錯。ECUやBCMといった高価な部品のコネクター内部への浸水は軽微に見えましたが、ヒューズボックスは壊滅的。ほとんどのヒューズが激しい腐食で崩れ落ち、メインヒューズは欠落していました。
いたるところに砂や塩……。
メーターパネルにも細かい砂が……。
核心部のダメージは深刻でした。エンジンオイルは驚くほどきれいでしたが、プライマリーケースからは大量の海水と完全に乳化したオイルが排出。そしてトランスミッションは、ドレンボルトを抜いてもオイルが一滴も出ず、ディップスティックには不吉な金属片が付着していました。
トランスミッションは復活不能に思える。
それでもチームは諦めません。新しいスターターを取り付け、エンジン始動を試みます。クランキングすると、シリンダーから泥水が噴射!やはりエンジン内部にも海水は到達していました。内部を清掃し、再挑戦すると、不規則なアイドリングながらもミルウォーキーエイトエンジンが奇跡的に始動!
しかし、喜びも束の間、シフトペダルが全く動かないことが判明。リンケージ内部のスプリングが錆びて破損していました。さらに、トランスミッションを分解すると、内部は錆と塩と砂で完全に破壊されており、修理不可能な状態でした。
そこにオーナーのSergeyが登場。Seanは複雑な心境ながらもエンジン始動を報告。Sergeyはバイクの復活に満面の笑みを見せ、チームを「奇跡を起こす人たちだ!」と称賛します。(トランスミッションの惨状はこの時点では伏せられています)動画では、Sergeyがウクライナ出身の宣教師として、現在イスラエルで人道支援活動に尽力している姿も紹介されます。
同じハリケーンで壊滅的な打撃を受けたS1000RRの姿。
こちらはWR450Fだろうか。
今回の挑戦は、海水没バイクのレストアがいかに困難かを改めて示しました。エンジン始動という奇跡は起きたものの、完全に破壊されたトランスミッションという大きな壁が残ります。果たして彼らはこのバイクを完全に復活させることができるのか⁉
※画像はYouTubeチャンネル『Bikes and Beards』より。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ハーレーダビッドソン)
ホンダやヤマハなど国内車両メーカー用のパーツ、排気量問わずに原付からスーパースポーツ、さらにはレース関連をサポートするパーツを得意とするメーカー。今回X350用のパーツでハーレー市場に参入した。 ここ[…]
ゲイルスピード タイプE/N/R 鍛造アルミホイールメーカーとして名高いゲイルスピード。ストリートからレースシーンで活躍しているカスタムホイールだ。サイズはいずれも純正と同じF3.5-17/R5.5-[…]
欧州スタイルの正規販売店イベント 週末をハーレーダビッドソンディーラーで過ごし、ブランドの世界観の中で仲間たちと過ごす。ヨーロッパにて行われているH-D正規販売店の『HARLEY NIGHT(ハーレー[…]
クラウス:オーリンズ ツーリングモデル用フロントエンド クラウスとオーリンズとのパートナーシップにより実現した、ツーリングモデル専用設計のフロントエンド。アグレッシブな走りを支える高次元の路面追従性/[…]
空冷スポーツスター用カスタムパーツを世に送り出し続けているグリーミングワークス(大阪府)。一方で水冷スポーツスターSやナイトスター用パーツもラインナップし、自然な流れでX350用パーツの開発も手がける[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる 向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前[…]
やっぱり「素手」が好き! いきなりですが、筆者はかなりの作業を素手で行っています。ていうか、素手が大好きです。ボルトを回すにしても、工具を持って締め付けるにしても、とにかく手先にダイレクトに伝わる感覚[…]
オークションで購入したシート、2~3cmの裂けたようなキズが… 筆者が某大手オークションサイトで購入した、純正コブラシート。「これでイメージチェンジするぞ! 」と思っていたのだが、購入前に気になってい[…]
ポータブル電源で作動する充電器が登場! いつでも必要な時に走行できるよう、常に意識しておかなくてはならないのがバッテリーのコンディション。「そんなの面倒」と思うかもしれないが、バッテリーは時間の経過と[…]
システムキャビネットSC198:アストロプロダクツ収納アイテム史上最大サイズ。ガレージの演出にも効果的なシステムタイプ 工具や道具類の収納に便利なツールキャビネットと勝手が良いワークベンチ、さらにロッ[…]
人気記事ランキング(全体)
2025年こそ直4のヘリテイジネイキッドに期待! カワサキの躍進が著しい。2023年にはEVやハイブリッド、そして2024年には待望のW230&メグロS1が市販化。ひと通り大きな峠を超えた。となれば、[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
カワサキZ400FX:DOHC4発のスモールマークII ヨンフォア(ホンダCB400フォア)なき後、400ccクラスに4気筒モデルは不在だった。しかしそれは決して不要だったわけではなく、ユーザーは絶え[…]
最新の投稿記事(全体)
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
友情から始まった無謀なレストア この無謀なレストアは、Seanの親友Sergeyがタブーを知らずにこのバイクを格安で購入したことから始まります。Seanは友情とメカニック魂から、この「鉄くず」同然のバ[…]
スズキGSX400FSインパルス:誕生の背景 カワサキZ400FX、ヤマハXJ400に続き、400cc4気筒ウォーズに3番目に名乗りを上げたのはスズキだった。 1981年4月に発売されたGSX400F[…]
関東ロードミニ選手権で木村隆之介選手が活躍 富樫虎太郎選手、全日本ロードレース選手権へ 2023年FIM MiniGP日本チャンピオンであり、同年の世界大会で2位、2024年筑波ロードレース選手権J-[…]
KRTもグラフィック変更され、オールニューカラー化 ニンジャ250と共通の車体に398ccの並列2気筒エンジンを搭載し、タイヤをラジアルに換装したフルカウルスポーツがニンジャ400シリーズだ。φ41m[…]