●文:ライドハイ編集部(根本健
オートバイのエンジンだけ生産していた川崎航空機がアッセンブリーメーカーとして発進
1960年、カワサキがまだ系列の川崎航空機を名乗っていた頃、オートバイ用のエンジンを製造して、車体を組み立てる川崎メイハツ工業に納品していたのだが、販売不振で撤退の検討を経て、自ら車体までを設計製造することとなった。
すでにホンダがベンリィ125などで成功を収め、ヤマハやスズキも続き、海外進出のためマン島T.T.出場へのチャレンジをスタートさせていたのだ。
そして1961年、メイハツから自社生産としてB6を発売、実用車として頑丈に強化したB7がその翌年にデビューしたが、先行メーカーはスポーツモデルを加える流れとなり、カワサキも遅れまいと、B8に2人乗りシートを装備したB8Tで続いたのが1964年。
しかし、ホンダはマン島だけでなく世界チャンピオンを獲得、250ccのCB72でヨーロッパとアメリカのスーパースポーツマーケットを得た。続くヤマハも250ccで1964年に初の世界タイトルを奪取。YDSシリーズでホンダと同じく英国製650ccスポーツと変わらない性能をアピールして成功を収め、スズキも世界GP参戦から同じ道を辿り始めていた。
B8Tがどれだけズレていたか、説明の必要もないだろう。
後発カワサキが存亡を賭けて海外進出を狙い、ホンダ/ヤマハ/スズキより高次元マシンをアピール
そのカワサキが、1966年に250cc2気筒の「A1」でアメリカ市場へ乗り込んだ。
2ストローク2気筒は、左右両側にロータリーバルブが回転する、世界GPでしか見ることのできなかったメカニズム。2気筒の市販車では世界初採用を果たし、しかも鋳鉄ライナーを鋳込んだアルミシリンダーは、先行する日本メーカーも装備していなかったレーシングマシン並みの仕様。2ストでもオイルは専用タンクからポンプで強制圧送され、クラス最高の31psに最高速165km/hとトップ。ダブルクレードルのフレームで当時100マイルで必ず発生するといわれた“ウォブル”なしと高速で揺れる現象が皆無と豪語した。
しかもニックネームを「SAMURAI」とし、アメリカ人にたやすく覚えてもらえるネーミングを与えての発売だった……
※本記事は2022年12月15日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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