![[ライテクQ&A]コーナー出口へ向かってグイグイ加速しなくてもトラクションなのですか?〈教えてネモケン〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/12/attachmentfile-file-22506.webp)
●文:ライドハイ編集部(根本健) ●写真:ドゥカティ 藤原らんか
[Q] エンジンの低回転域を使ってトラクション…って?
[Q] 80年代後半に250ccレーサーレプリカを楽しんでいた世代ですが、少し前にリターンしました。そこで気になるのが、最近よく出てくる“エンジンの低回転域を使ってトラクション”ということです。以前はエンジンのパワーバンド(もう死語でしょうか)を使って、後輪がガッツリ路面に食いついて加速する感じをトラクションだと思っていました。1000ccに乗ってる今も、強いトラクションがあったほうがいいだろうと、6,000回転以上回して頑張ってきたのですが、何か勘違いしているのでは、と思い始めたわけです。
しかし、低回転域だとスロットルの開け始めのエンジンの反応がワンテンポ遅れてくるし、その後の加速がモヤッとしている感じなのですか、これでいいのでしょうか? これもトラクションなのでしょうか?
[A] 一般公道では曲がれるトラクションの範囲内といえば、低回転域のみ。ただし開け方が丁寧過ぎるとその効果は引き出せない
まさにリターンライダーに共通しているテーマですネ。『ライドハイ』で何度もトラクションについて取り上げているのも、BIKE GATHERINGイベントでのご質問の多くが同じような内容だからです。
まず、最新のモトGPの傾向からお話しましょう。いまや300PSといわれる超パワフルなエンジンは、トラクションコントロールなしには後輪の空転が避けられません。
そこで、ストレートのトップスピード狙いはともかく、難しいのがコーナーでのトラクションです。
コーナーではタイヤが滑って一気にホイールスピンしたら、バンク中のマシンはひとたまりもなく転倒してしまいますが、トラクションコントロールの仕組みがこのスピンを検知して、徐々に外へスライドしていく程度に出力を抑えてくれるので、転倒には至りません。いわゆるタイヤのスリップ痕であるブラックマークを路面に残すぐらいに調整されます。
ところが、これでは曲がれるチカラを分散させてしまっていることに、優勝争いをするトップライダーたちは気が付いてしまったのです。加速していく側も大事ですが、肝心のコーナリングフォースにタイヤが負けてしまっては、旋回半径は徐々に大きくなる一方です。
そこで皆さん、次回からモトGPをネット観戦するとき、聞こえてくるエンジンの回転音とシフトアップに注意してみてください。
以前はエンジン回転数まで表示してくれていましたが、さすがにそれだと各チームの機密を開示し過ぎたようで、今は何速なのかと速度にバンク角くらいしか表示してません。
そうなると、音質や瞬時のシフトアップ(特殊なシームレス構造なのでまさに瞬時なのですが、エンジン回転が変わった音は聞き分けられます)からしか判断できにくいのですが、コーナー進入の直前にシフトダウンしてリーンしていくときのエンジン回転は1万回転を遥かに下回っています。
1万8千回転まで回ろうというエンジンの、半分以下、ヘアピンやシケインのような低速コーナーでは8千回転以下までドロップしています。つまり、皆さんの乗っているスーパースポーツが1万回転近くがピークだとすると、半分の5千回転以下になっているのと同じようなものです。
そして続くコーナーが連続したS字とかだと、何と曲がりながら低い回転のまま矢継ぎ早にシフトアップまで繰り返しています。つまり、曲がれる、もしくは曲がりやすいトラクションのグリップが得られる回転域しか使っていないのです。
わかりやすく言うと、安定して曲がれるように、トラクションコントロールが介入しない回転域で走っているというワケです。
モトGPでさえこうなのですから、皆さんの乗られているビッグバイクとなれば、2速や3速の5,000回転以上は曲がれる領域ではありません。
加速を抑えた曲がれるトラクションをうまく利用するワザを身につけましょう。
でも、コーナリング中に3~4000回転でスロットルを開けても、レスポンスにタイムラグはあるし、やんわりとしか加速しない…これでトラクション? とにわかには信じ難い気持ちになるのもわかります。
ところが、こう感じてしまう方々のほとんどは、スロットル開度が足りていません……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
Zを知り尽くしたエンジニアならではの勘ドコロを押えた絶品設計! 1989年のゼファー(400)が巻き起こしたネイキッド・ブーム。 カワサキはこの勢いをビッグバイクでもと、1990年にゼファー750と1[…]
ヤマハ・ハンドリングの真骨頂、パイプ構成では得られないデルタ形状アルミ鋼板フレーム! 1980年に2スト復活を世界にアピールしたヤマハRZ250の衝撃的なデビューに続き、1983年にはRZ250Rで可[…]
RZ250を上回る新テクノロジー満載! 1979年にホンダがリリースした、まさかの2ストローク50ccスポーツのMB50(広告なでの名称はMB-5)。 250ccやビッグバイクのスケールダウン・デザイ[…]
ヤマハ・ハンドリングのこだわりを400レプリカ路線へ融合! 1980年にRZ250をリリース、レプリカの時代に先鞭をつけたヤマハも、4ストのスポーツバイクXJ400系ではツーリングユースを前提とした、[…]
1,000ドルを謳い文句に全米で大ヒット! カワサキは1972年のZ1以来、Z650RSにZ750TWINと念願だったビッグバイクの領域で世界のリーダーへと君臨することに成功。 またそのいっぽうで、ホ[…]
最新の関連記事(ライディングテクニック)
シリーズ第12回は最終回特別応用偏! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転のお手本として白バイ流の[…]
シリーズ第11回はクイーンスターズ・スペシャルQ&A! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運[…]
シリーズ第10回は『クイーンスターズ』に学ぶ「取り回し」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転[…]
シリーズ第9回は『クイーンスターズ』と一緒に「引き起こし」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運[…]
シリーズ第7回は「パイロンスラローム」。リズミカルな連係操作を身に付けよう! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材な[…]
人気記事ランキング(全体)
Screenshot シュアラスターから新商品登場! 愛車のツヤ出し作業にピッタリなアイテムがシュアラスターから新登場! ワックスやコーティングの塗り伸ばし作業が今まで以上にラクになるアプリケーター。[…]
軽量で扱いやすい定番ジェット TE-1はスポーティな印象を残しつつ、重量は抑えめで日常使いに適したジェット型ヘルメットです。対応は全排気量対応で、あごひもは操作しやすいラチェット式バックルを採用。Am[…]
マニア好みのボルドールカラーが映える! アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムだが、まずはカラーリングがインパクト大! CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、[…]
気鋭のクルーザー専業ブランドによるカスタムクルーザー 以前に試乗記事などをお届けしたBENDA(ベンダ)がいよいよ本格上陸する。日本での輸入販売を手掛けるウイングフットより取り扱い開始が発表されたのだ[…]
シグナスシリーズ、20年の歴史を背負うニューフェイス 以前は空冷エンジン搭載のコンパクトな原付二種スポーツスクーターとして人気を博した「シグナスX」だが、水冷の新世代「シグナス グリファス」に交代した[…]
最新の投稿記事(全体)
欧州では価格未発表だが、北米では前年から200ドル増の9399ドルと発表 ヤマハは北米で新型「YZF-R7」を発表。欧州で発表された新型「R7」にモデルチェンジ内容は準じつつ、北米独自のカラーリングで[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! カーシャンプーやワックスをはじめ、さまざまなカー用品を手がけてきた老舗ブランド「シュアラスター」。そのガソリン添加剤シリーズ「LOOP」のフラッグシップモデルが、[…]
2026モデルのモトクロッサーYZ450Fをベースに電動化 電動トライアルマシンの「TY-E」でFIMトライアル世界選手権EVクラスに参戦するなど、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みにも積極的な[…]
ニンジャH2 SX SE 2026年モデル発売! スーパーチャージャー搭載のスポーツツアラー「Ninja H2 SX SE」の2026年モデルが、2025年11月1日に発売。おもな変更点は、カラー&グ[…]
より高度な電子制御でいつでもどこでも快適な走りを!! 【動画】2026 CB1000GT | Honda Motorcycles ホンダがEICMA 2025にて発表した「CB1000GT」は、「Hi[…]
- 1
- 2


![トラクションの使い方|[ライテクQ&A]コーナー出口へ向かってグイグイ加速しなくてもトラクションなのですか?〈教えてネモケン〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/12/oshiete-nemoken_143_20230912_01-768x432.jpg)
![トラクションの使い方|[ライテクQ&A]コーナー出口へ向かってグイグイ加速しなくてもトラクションなのですか?〈教えてネモケン〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/12/oshiete-nemoken_143_20230912_02-768x432.jpg)



































