![[バイクの仕組み] タイヤの溝が機能する意味が大きく変わってきた〈ネモケンのライドナレッジ〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/attachmentfile-file-22340.webp)
●文:ライドハイ編集部(根本健) ●写真:ピレリジャパン
ブロックでも舗装路で良好なグリップ。瓦礫に弾かれない柔軟性
欧米では大型バイクの中心的な位置づけにまで成長したアドベンチャー系カテゴリー。砂漠が続くパリダカを制した大型オフロード系のイメージをベースに、そんなサバイバルな逞しさを長距離ツーリングでの新たなポテンシャルに置き換える形で、旅バイクの主流にまでのし上がってきた。
しかし、ツーリングバイクを乗り継いだライダーにとっては、非舗装路を意識したタイヤを装着しているのに、果たして高速道路のクルージングや、一般のワインディングで安心できる安定性やグリップが得られるのか? そんな心配がアタマをよぎっても不思議はない。
が、実際に走ればすぐわかるのだが、いわゆるブロックパターンを装着したオフ系のバイクのような、足元が掴みドコロのないグニャグニャ感など皆無。高速道路でもこれまでのツーリングバイクと遜色ない直進安定性を持っており、ワインディングでもネイキッドスポーツと変わらないグリップ力でグイグイ曲がっていくのだ。
従来のブロックパターンのタイヤとの最大の違いは、完全なラジアル構造へと進化を遂げていることがある。例えばピレリ スコーピオンラリーの場合、内部の繊維(カーカス)構造が、0°(ゼロディグリー)と回転方向で膨張を抑えるベルトに直交したサイドウォールとで構成されており、高速での腰のある安定力とグリップの基本をしなやかな路面追従性で得る、理想的なポテンシャルが構築されている。この変形の追従性は、従来の常識を覆すたわみ方で、大きな安心感と操る醍醐味にも繋がっている。
さらに注目すべきが、そのブロックパターン。まずコンパウンドについて、温度依存の低い、つまりトレッドのゴムが暖まらなくても路面の凹凸に変形して優れたグリップ特性を得る基本性能の向上が大きい。そしてもちろん、ブロックパターンの配列など、その形状にも積み重ねたノウハウが活用されている。
そもそも溝の少ないオンロードタイヤが、ちょっとした非舗装路へ足を踏み入れた途端、前輪から左右へ逃げて一気に不安定になるのは、たとえば砂利の小石を弾いてタイヤを横方向へ逃げる動きを与えてしまうという理由が大きい。
ブロックパターンは、このブロックの柔軟性と深い溝が瓦礫の尖った部分を吸収し、全体にやんわりと包み込むような動きでバイクをホールドできるので、思い通りに操れる特性をキープできるという違いがある。
こうしたオフロードでのノウハウを、舗装路での安定性やグリップとを融合させるのが、最新のブロックデザインだ。タイヤが瓦礫に弾かれない特性を、溝の幅やピッチとで絶妙に得ているため、ちょっとした非舗装路へ踏み込んでも安定したハンドリングが得られている。
このように見た目からは想像もつかない進化が、アドベンチャー系の舗装路でのツーリング・ポテンシャルを大きく変えたのだ。
水はけの溝…ではあるけれど、温度と柔軟性がグリップを支配
一般的にタイヤのゴムは、暖まらないと路面をグリップできないとされてきた。しかしこの常識を覆す変革が、タイヤのトレッドデザインの意味さえ変え始めている。
まずトレッドに刻まれた溝(グルーブ)には、雨天時に路面とタイヤの間に水膜を生じると浮いて滑りやすくなるのを防ぐ、水はけ効果が目的と考えられてきた。
確かにレースのレインタイヤには、深い溝があってこのおかげでグリップできると思いがちだ。もちろん水しぶきを上げるほど雨が降れば、この水はけ効果は大きい。
が、レース中に雨が降り出し路面を濡らしても、レースライダーはしばらくスリックタイヤのまま走り続ける。
溝がなければ瞬く間に滑ってしまいそうだが、タイヤが暖まったまま急激に冷えない状況があれば、パワーでドリフトするようなことさえ避ければ、そこそこグリップできる特性のコンパウンドだからだ……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
ライドハイの最新記事
鈴鹿8耐でV4に勝つ750インライン4開発に単を発した操る面白さでライディングする新次元のスーパースポーツFireBlade! 1992年に登場したCBR900RR FireBladeは、それまでトッ[…]
世界をリードしたCB、CBR、VFR、RVFの歴史を積み上げた経験とこだわりのありったけを注ぎ込む! スーパーブラックバード。米空軍で超高々度を偵察飛行する目的で開発された最高速度記録3529.56k[…]
2バルブで半球形燃焼室のツイン点火プラグ! 1989年のゼファー(400)が火をつけたネイキッド・ブーム。 カワサキは1990年にゼファー750、そして1992年にはゼファー1100とビッグバイクでも[…]
不朽の名車KATANAのレプリカで、尖ってないスポーツモデルをリリース! スズキといえばKATANA……国産4メーカーが揃ってビッグバイクへチャレンジして肩を並べた1970年代を過ぎて、スズキはスペッ[…]
ネオレトロなロケットカウルへの郷愁を巧みなグラフィックで新しさへと巧みに演出! 1989年、スズキは1レーサーレプリカ全盛だった頃に感性も価値観も異なる、オトナを意識した都会的な新ネイキッド、BAND[…]
人気記事ランキング(全体)
伝統と革新が交差する、息を呑むほど美しいシルエット 「外車はデザインが良いけれど、ポジションがキツそうで乗るのをためらってしまう」。そんな不安を抱えるライダーの前に新型モンスターを置けば、ひと目でその[…]
プライベーターに近いチームが、コルベットとともに次々と実績を積み上げた RED=レース・エンジニアリング&デベロップメントというと本格的なファクトリーを想像しがち。ですが、当初ダナ・イングリッ[…]
混合燃料用から始まったエーゼット製燃料添加剤 未燃焼ガソリンや劣化したオイル、添加剤成分の残りなどが燃焼室やピストン、バルブに付着するデポジットは、エンジンにとって面倒な存在だ。デポジットは空燃比や燃[…]
収納力と走りが進化した唯一無二のクロスオーバーNC750X ホンダのNC750Xは、経済性に優れる745cc並列2気筒エンジンを搭載し、日常の移動から長距離ツーリングまで快適にこなすオールラウンダーと[…]
電子制御で生まれ変わった400cc単気筒の傑作DR-Z4S/4SM かつて4ストロークモトクロッサーの潮流の中で誕生し、多くのファンを魅了したDR-Z400SとDR-Z400SM。厳しい排出ガス規制に[…]
最新の投稿記事(全体)
小椋藍、チェコGPで日本人6年ぶりのPPを獲得。フィニッシュでも2位! 見えてきた「夢の頂点」への課題 小椋藍選手(SuperFile Trackhouse MotoGP Team)が大活躍したMot[…]
収納力と作業性を両立するワイドな天板。オシャレなステンレスパネルも魅力 ガレージの使い勝手を左右するカギを握っているのは収納だ。今は手持ちの工具が少なくても、ガレージでできる作業が増えれば必要な工具も[…]
バイクを降りた日常でも愛車の気配を感じていたい 週末のツーリングやガレージでのメンテナンスだけでなく、普段の生活の中でもバイクへの情熱を静かに主張したいと考えるライダーは少なくない。しかし、派手なロゴ[…]
【魅力1】新設計4気筒エンジンと「Eクラッチ」の融合によるイージースポーツ 「あの甲高いエキゾーストノートをもう一度味わいたい」。そんなライダーたちの熱い想いに応えるように、ホンダは完全新規の直列4気[…]
MANAKAのファーストアルバム『UntilNow』をリリース 2026年1月7日のCD 発売開始と同時に、音楽制作会社・レーベルとしてVenus Inspire Promotion 株式会社(V.I[…]
- 1
- 2


![タイヤの溝が機能する意味|[バイクの仕組み] タイヤの溝が機能する意味が大きく変わってきた〈ネモケンのライドナレッジ〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/ride-knowledge_159_02-768x432.jpg)





























