新型コロナ禍の影響を受け、変則的なシーズンとなってしまった’20年のモトGPにおいて、創立100周年/世界GP参戦60周年という節目の年を迎えたスズキがライダー&チームタイトルを獲得。’12~’14年に参戦を休止した後に復帰してから、5シーズンでの快挙を成し遂げた。主戦機GSX-RRの詳解に続いて、’20シーズンのスズキの戦績を振り返る。
新型コロナ禍の影響を受け、変則的なシーズンとなってしまった’20年のモトGPにおいて、創立100周年/世界GP参戦60周年という節目の年を迎えたスズキがライダー&チームタイトルを獲[…]
残り3戦まで本来の速さを解き放たなかったミル
モトGP開幕となった’20年7月19日の第2戦スペインGPで、圧倒的な速さで華々しく自身初優勝を飾ったファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)。その影で、スズキは苦渋を味わっていた。ジョアン・ミルが2周目にフロントから転倒し、リタイヤを喫したのだ。チームメイトのアレックス・リンスは予選で転倒。右肩を負傷し決勝は欠場した。
’20シーズンのスズキは、両ライダーともノーポイントという厳しいスタートを切ったのである。新型コロナ禍の影響で、シーズンは全14戦と本来の予定より6戦も減少していた。連勝するクアルタラロを相手取るには致命的な出遅れだった。
だが振り返れば、それは中盤から終盤にかけて伸び上がるためにバネを縮めていた状態だったのかもしれない。ミシュランの新型リヤタイヤや、通常のシーズンではあり得ないコンディションなど、さまざまな要因により不振にあえぐライバルを尻目に、スズキの2台はじりじりとランキングを上げていく。着実なポイント獲得は、ボディブローのように効果的だった。
第9戦で2位表彰台に立ち、ランキング2位に着けたミルだったが、以降も焦りや気負いは感じられなかった。確実に、獲れるだけのポイントを稼ぐ走りには、老練ささえ感じられた。
気付けばランキング首位の座に就いていたミル。残り3戦となった第13戦ヨーロッパGPで、ついに自らの速さを解き放った。チームメイトのリンスをかわし、猛チャージで突き放しての自身初優勝は、誰が今季の王者にふさわしいかを示す圧巻のレースだった。
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