![[頑固なサビに効く] 5~10分で素早く反応し、除錆効果が目で見て分かる〈サビトルキラー〉](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2025/05/Ban-zi_SabitoruKiller_01.jpg)
旧車や絶版車を維持していく上で避けられない、赤サビとの戦い。本記事では、中性スプレータイプ速攻作用が特長のBAN-ZI「サビトルキラー」を使ってみた。バイクはもちろん、自転車や家のまわりの金物にも使える利便性の高さにも注目だ。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:株式会社BAN-ZI
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる
バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵量/加工性の高さ/強度といったさまざまな観点から、世界中の産業を支える素材といって間違いない。
空気中の酸素と結合することで発生する“赤サビ”は、さまざまな表面処理を施してもなお逃れられない、鉄の根源的な問題だ。塗装やメッキなどを施しても、空気や水分はほんのわずかな隙間を縫って赤サビを形成する。
赤サビは鉄の陽イオンと水分中の水酸化物イオンの結合による化学反応によって発生するもので、空気が存在する以上完全に防止することは難しい。
BAN-ZIの代表商品である「サビキラーPRO」は、錆びた鉄素材にペイントすることで、“黒サビ”と呼ばれる不活性な四酸化三鉄に転換しながら塗料として機能する。赤サビの存在を認めた上で、その活動を封じ込めるわけだ。
これに対して「サビトルキラー」は、赤サビに直接作用して根本から取り除くのが特長だ。酸化物である赤サビに対して、サビトルキラーの主成分であるチオグリコール酸塩は還元剤として機能する。
化学反応における酸化還元反応を思い出せば、酸化によって生じる赤サビが還元によって除去されることがイメージできるだろう。
サビトルキラーのサビ取りは化学反応であり、不織布やワイヤーブラシで擦るような物理作用を必要としない。赤サビに対してしっかり付着させるためにハケなどで塗り広げるのは有効だが、サビを分解除去するのはあくまで化学反応であることを知っておきたい。
また赤サビを黒サビに転換するサビキラーPROに対して、赤サビの分解除去に特化して設計されたサビトルキラーには防錆機能はないため、サビンラップスプレーなどによる後処理が必要となる。
クロームメッキ仕上げのマフラーやハンドルやホイールリムなどのサビは、表面の質感に影響を与えないサビトルキラーが最適で、絶版車や旧車オーナーは手元に置いておきたいアイテムである。
還元反応でサビを溶解。赤紫色に変色するわかりやすさも◎
【サビトルキラー 300ml】酸化物である赤サビだけに反応するチオグリコール塩酸が、5〜10分という短時間で作用して強力に分解除去する、スプレータイプのサビ取りケミカル。液性は中性なので、手肌や環境に対する負荷が少なく、自動車やバイクの塗装やコンクリートやプラスチックに付着したサビ染みの除去にも有効。サビ取り後は十分な水ですすぎ洗いを行い、必要に応じて防錆処理を行う。●価格:3487円
サビの根が深い場合は繰り返しスプレーすると効果的
汚れや油分はあらかじめ取り除き、水洗いした場合はパーツ表面の水分をしっかり拭き取ってからサビトルキラーをスプレーする。スプレー直後の溶液は透明だが、赤サビと反応すると数十秒後には赤紫色に変色する。
クロームメッキ部品にスプレーすると、赤紫色が斑点状に現れる場合がある。これはメッキ被膜の奥(裏側)にサビがあり、サビトルキラーが反応している証拠。このサビを除去することで進行を食い止められるのだ。
サビの程度によっては、赤紫色から焦げ茶〜黒色に変色することもある。金属光沢が現れない場合は、ワイヤーブラシで擦り落として防錆処理を行うか、水洗い後にサビキラーPROで塗装することで進行を止められる。
5〜10分間放置した後、水道水で洗い流す。水を含ませた布で拭いても良いが、サビと反応した液が残ると染みや変色の原因になるため、可能な限り流水で洗い流すこと。ボルトやナットで取り付けられている部品は、パーツ単位に分解した方がくまなく洗浄できる。
一度でサビが落ちきらなかった部分に対して、もう一度スプレーしてサビ取りを行う。この際も初回と同様、パーツ表面の水分を拭き取って乾燥していることを確認してからスプレーすること。
スプレーした部分をブラシで塗り広げると、再び赤紫色に変化した。つまり新たにサビ取り反応が起こっているということだ。一方でメッキがはがれて鉄素材が露出して赤サビが発生している部分のサビ取りには限界があるようだ。
水洗い後、ウエスで水分を拭き取る。クロームメッキの点サビは爪やウエスに引っかかるが、サビトルキラー後は表面が滑らかになる。これはメッキの裏側で成長したサビが分解して流れ落ちたためと考えられる。
サビ取り後のメッキ表面はサビンラップでプロテクト
サビトルキラーには防錆効果がないため、サビ除去後は表面処理が必要。「サビンラップ」は粘性の高いシリコーン溶液を主成分としており、透明ながら強固な被膜が強力な防錆/防汚/撥水効果を発揮する。
スプレー後に間を置かずきれいなウエス等で塗り広げることで、透明感の高い防錆被膜を得ることができる。美観が求められるクロームメッキの防錆にはこの方法がおすすめだ。被膜による保護効果は数ヶ月間持続する。
どうしてもサビが残る。そんな場合はサビキラーPRO
サビトルキラーを使用しても赤サビ除去反応に限界があり、なおかつ塗料を使用しても違和感がない場所であれば、サビキラーPROを使用するのも得策。マフラーの裏側は目に付かないので、シルバーを塗布する。
赤サビの上から直接塗装することで黒サビに転換し、特殊顔料が塗膜となるサビキラーPRO。サビトルキラーで浮きサビを除去しておくことで、サビキラーPROの密着が良くなり、防錆性能が長期間にわたり持続する。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにし[…]
バイクとの親和性はスマホを圧倒的に上回る AKEEYOが販売する「AIO-6LTE」は、太陽光の下でもはっきり見える視認性の高い大型6インチのIpsモニター、Wi-FiとBluetoothによるスマホ[…]
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻 長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひと[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
バイクのドラムブレーキ「スパッ」と戻りますか? ブレーキの操作性ってバイクに乗るときの「気分」に影響しますよね? みなさんのバイクのドラムブレーキ、レバーを離した時に気持ちよくスパッ!と戻りますでしょ[…]
幻のモペット「ホンダホリディ」 昭和の時代、ホンダが開発したモペット「ホリディ」の正式名称は「ホンダホリディ」、型式はPZ50。1973年頃「ブーンバイク」というアイデアを基に、ホンダ社内のアイデアコ[…]
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! 世界的に知られるプレミアムカー用品ブランド・シュアラスターが、アメリカのカリフォルニア州ロングビーチで創業したのは1947年のこと。以来、カーシャンプーやワックス[…]
Yoeyang 高圧洗浄機 場所を選ばず使える高圧洗浄機。本体わずか574gの業界最小最軽量(約20×7×18cm)ながら、8MPaの強力な水圧を発揮し、車やバイクの泥汚れや窓の隅など頑固な汚れも簡単[…]
ユーザーからのリクエストで開発! ホイールの鉄粉をスプレーひと吹きで溶解 バイク/クルマを問わず、ディスクブレーキでもドラムブレーキでも発生するブレーキダスト。制動時にブレーキローターやブレーキドラム[…]
赤サビの上から直接塗って黒サビに転換。愛車を守るBAN-ZIのラストロックシステム 【RUSTLOCK(サビ転換下処理剤)サビキラープロ】赤サビの上から直接塗ることで黒サビに変化する転換剤機能と、上塗[…]
人気記事ランキング(全体)
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
新設計の502cc・4気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ ホンダは、中国で開催された重慶モーターサイクルショーにて4気筒エンジン搭載の新型モデル「CBR500Rフォア(CBR500R FOUR)[…]
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
裏地には90周年モデル限定カラー 1935年の創業から、絶えず革ジャンを作り続けてきた株式会社カドヤが、90周年という節目を迎える今秋、ブランドの歴史を象徴しつつ現代のライディングシーンに応える、特別[…]
BOAフィットとfuzeGELで安定&衝撃吸収 「ウィンジョブ CP306 BOA」はダイヤル操作で締め具合を調整するBOAフィットシステムを採用し、甲まわりをムラなくホールドできます。衝撃緩衝材とし[…]
最新の投稿記事(全体)
【フェラーリ F40】?! スペチアーレといいながら、400台限定が最終的には1352台(諸説あります)もロールアウトしたF40。ですが、最強で最速の棺桶とあだ名されたほど事故が多いクルマで、現存台数[…]
新作CB750K内覧でヨーロッパのトレンドを強く要求され追加した「F」デザインが世界中で大ヒット! 1969年にリリースされた、量産車では世界初の4気筒、CB750FOURから10年が経とうとしていた[…]
コンセプトは“気ままに走る時間をともに” 「ツーリングバッグに、新しい選択肢を届けたい」。その思いから「ライダース巾着ザック IMOCK」の開発はスタートした。コンセプトは“気ままに走る時間をともに”[…]
注目RCブランドが名車を忠実に再現 「WPL JAPAN」は、森林や岩場などの悪路を走破できるスケールクローラーRCを展開するRCカーブランド。 通常は高額なスケールクローラーを、すぐに遊べるRTRセ[…]
HONDA CB1000F Concept TeamCB & WITH ME やったぜ! CB1000F コンセプトのレースデビューウィン! 私が参戦したのはアイアンスポーツクラス。空冷・水[…]
- 1
- 2