![[頑固なサビに効く] 5~10分で素早く反応し、除錆効果が目で見て分かる〈サビトルキラー〉](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
旧車や絶版車を維持していく上で避けられない、赤サビとの戦い。本記事では、中性スプレータイプ速攻作用が特長のBAN-ZI「サビトルキラー」を使ってみた。バイクはもちろん、自転車や家のまわりの金物にも使える利便性の高さにも注目だ。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:株式会社BAN-ZI
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる
バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵量/加工性の高さ/強度といったさまざまな観点から、世界中の産業を支える素材といって間違いない。
空気中の酸素と結合することで発生する“赤サビ”は、さまざまな表面処理を施してもなお逃れられない、鉄の根源的な問題だ。塗装やメッキなどを施しても、空気や水分はほんのわずかな隙間を縫って赤サビを形成する。
赤サビは鉄の陽イオンと水分中の水酸化物イオンの結合による化学反応によって発生するもので、空気が存在する以上完全に防止することは難しい。
BAN-ZIの代表商品である「サビキラーPRO」は、錆びた鉄素材にペイントすることで、“黒サビ”と呼ばれる不活性な四酸化三鉄に転換しながら塗料として機能する。赤サビの存在を認めた上で、その活動を封じ込めるわけだ。
これに対して「サビトルキラー」は、赤サビに直接作用して根本から取り除くのが特長だ。酸化物である赤サビに対して、サビトルキラーの主成分であるチオグリコール酸塩は還元剤として機能する。
化学反応における酸化還元反応を思い出せば、酸化によって生じる赤サビが還元によって除去されることがイメージできるだろう。
サビトルキラーのサビ取りは化学反応であり、不織布やワイヤーブラシで擦るような物理作用を必要としない。赤サビに対してしっかり付着させるためにハケなどで塗り広げるのは有効だが、サビを分解除去するのはあくまで化学反応であることを知っておきたい。
また赤サビを黒サビに転換するサビキラーPROに対して、赤サビの分解除去に特化して設計されたサビトルキラーには防錆機能はないため、サビンラップスプレーなどによる後処理が必要となる。
クロームメッキ仕上げのマフラーやハンドルやホイールリムなどのサビは、表面の質感に影響を与えないサビトルキラーが最適で、絶版車や旧車オーナーは手元に置いておきたいアイテムである。
還元反応でサビを溶解。赤紫色に変色するわかりやすさも◎
【サビトルキラー 300ml】酸化物である赤サビだけに反応するチオグリコール塩酸が、5〜10分という短時間で作用して強力に分解除去する、スプレータイプのサビ取りケミカル。液性は中性なので、手肌や環境に対する負荷が少なく、自動車やバイクの塗装やコンクリートやプラスチックに付着したサビ染みの除去にも有効。サビ取り後は十分な水ですすぎ洗いを行い、必要に応じて防錆処理を行う。●価格:3487円
サビの根が深い場合は繰り返しスプレーすると効果的
汚れや油分はあらかじめ取り除き、水洗いした場合はパーツ表面の水分をしっかり拭き取ってからサビトルキラーをスプレーする。スプレー直後の溶液は透明だが、赤サビと反応すると数十秒後には赤紫色に変色する。
クロームメッキ部品にスプレーすると、赤紫色が斑点状に現れる場合がある。これはメッキ被膜の奥(裏側)にサビがあり、サビトルキラーが反応している証拠。このサビを除去することで進行を食い止められるのだ。
サビの程度によっては、赤紫色から焦げ茶〜黒色に変色することもある。金属光沢が現れない場合は、ワイヤーブラシで擦り落として防錆処理を行うか、水洗い後にサビキラーPROで塗装することで進行を止められる。
5〜10分間放置した後、水道水で洗い流す。水を含ませた布で拭いても良いが、サビと反応した液が残ると染みや変色の原因になるため、可能な限り流水で洗い流すこと。ボルトやナットで取り付けられている部品は、パーツ単位に分解した方がくまなく洗浄できる。
一度でサビが落ちきらなかった部分に対して、もう一度スプレーしてサビ取りを行う。この際も初回と同様、パーツ表面の水分を拭き取って乾燥していることを確認してからスプレーすること。
スプレーした部分をブラシで塗り広げると、再び赤紫色に変化した。つまり新たにサビ取り反応が起こっているということだ。一方でメッキがはがれて鉄素材が露出して赤サビが発生している部分のサビ取りには限界があるようだ。
水洗い後、ウエスで水分を拭き取る。クロームメッキの点サビは爪やウエスに引っかかるが、サビトルキラー後は表面が滑らかになる。これはメッキの裏側で成長したサビが分解して流れ落ちたためと考えられる。
サビ取り後のメッキ表面はサビンラップでプロテクト
サビトルキラーには防錆効果がないため、サビ除去後は表面処理が必要。「サビンラップ」は粘性の高いシリコーン溶液を主成分としており、透明ながら強固な被膜が強力な防錆/防汚/撥水効果を発揮する。
スプレー後に間を置かずきれいなウエス等で塗り広げることで、透明感の高い防錆被膜を得ることができる。美観が求められるクロームメッキの防錆にはこの方法がおすすめだ。被膜による保護効果は数ヶ月間持続する。
どうしてもサビが残る。そんな場合はサビキラーPRO
サビトルキラーを使用しても赤サビ除去反応に限界があり、なおかつ塗料を使用しても違和感がない場所であれば、サビキラーPROを使用するのも得策。マフラーの裏側は目に付かないので、シルバーを塗布する。
赤サビの上から直接塗装することで黒サビに転換し、特殊顔料が塗膜となるサビキラーPRO。サビトルキラーで浮きサビを除去しておくことで、サビキラーPROの密着が良くなり、防錆性能が長期間にわたり持続する。
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