
ペイント仕上げで「ワンポイント魅せたい!!」と考えた時に、さまざまな表現を思い浮かべてしまうのがクリエーターだろう。難しそうで、じつは意外にも簡単かつ目立つペイント、それがリンクルペイント=「結晶塗装」だ。ツインカムカバーが赤くちぢめば、“テスタロッサ”で決まり!!
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:カーベック
結晶塗装の仕上げ乾燥インフラに注目
古くは「ちぢみ塗装」、海外では「リンクルペイント」と呼ばれている特殊ペイント。カーベック(愛知県)では、そんな「結晶塗料」を缶スプレーで販売している。
本記事では黒色結晶塗料をDIY実践した様子をリポートするが、カーベック製結晶塗料には黒色以外にも赤/青/黄がラインナップされ、ガン吹きユーザー向けにはネタ販売と希釈用専用シンナーも販売されている(ネタ缶販売のみで白もある)。
ここでは、作業目線ではなく“インフラ”に注目しよう。小型乾燥器のカーベック製CVジュニアは、最大210℃までの温度設定と、使い勝手が良い1時間タイマーが付く魅力的な製品。水洗した部品の乾燥やプリヒート、そして仕上げ乾燥で利用できる優れモノだ。
今回のBMW K75用ヘッドカバーサイズなら、ギリギリ入るので乾燥仕上げまで可能。今回は、別の部品の焼き付け乾燥に同機器を利用していたので、ワンサイズ大きな、同じくカーベック製CV-600で結晶塗装の仕上げ乾燥を行った。
あると便利なペイントブースは、小物部品専用でDIY自作したもの。素材は集合住宅用のダクト型換気扇そのもので、これが想像以上に使いやすく、パッケージ化されていることもあり片付けやすい。
DIYペイントは、インフラの充実によって仕上がりが大きく変わるもの。ガレージに空きスペースがあるので「バイクを増車しようかな!?」なんて考えた時には、サンメカ作業の充実を目的に、インフラの強化も再検討してほしい!!
【結晶塗料 缶スプレー(黒/赤/青/黄)】●価格:各色3300円
◆車両に装着されているツインカムヘッドカバーを塗り直すのはもったいないので、中古ヘッドカバーをヤフオクで購入して、DIY仕上げにチャレンジしてみた。下地のBMW純正ペイントはサンドブラストできれいに剥離。
◆ぽってりと分厚くペイントされていない純正仕上げは、比較的容易にブラスト処理で剥離することができる。600番の耐水ペーパーで剥離箇所を水研ぎする。
◆しっかり水研ぎすることで、眼には見えないブラストメディアの食い込みを磨いて均して除去しよう。その後、台所用マジックリンで油汚れを徹底洗浄した。
◆普通のスポンジではなく、フライパンの焦げ落としに使うスコッチブライトや不織布シートでヘッドカバーをしっかり擦って汚れを落とし、水道水でしっかり洗浄した。
◆カーベックのCVジュニアは本当に役立つ優れモノ。サンメカなら必ず所有したいスペシャルを叶えてくれる。洗浄したカバーを80℃設定で乾燥させた。
◆集合住宅用の換気扇を90度起こして使えば、小物部品をペイントするときに便利なペイントブースに早変わり!! 市販フィルターをセットしてペイントミスト吸着した。
◆集合住宅用の換気扇は、規格サイズのダクトを通して料理の煙を屋外へ排出するしくみ。そのダクト部分に土のう袋をセットすれば二重のフィルター効果を得られる。
◆CVジュニアによるプリヒートで、耐水研磨+水道洗浄の水分を完全に乾燥させ、ヘッドカバーが常温近くに冷えたら、しっかりシェイクした結晶塗料を吹き付ける。
◆ややぽってり気味に厚くペイントしたら、30分程度自然乾燥させ、それから120℃の温度設定に達してから1時間乾燥させた。1サイズ大きなCV-600を利用。
◆温度上昇でちぢみが始まり、100℃を超えれば全面が結晶状になり美しく仕上がっていく。BMWのK75ならCVジュニアに入るが、4気筒のBMW K100では入らない。
◆塗装完了後、車両に装着。テスタネロとでも表現すれば良いのかも? はたしてドイツ語だとなんと呼ばれるのか? 結晶ブラックの風合いとゴールドのロゴカバー(ガンコート)が似合う。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
車種別専用パーツのラインナップも豊富なキジマ バイクメーカーが開発するニューモデルは、ビギナーからベテランに至る幅広いニーズに応えるべく仕様を決定しているが、それでもすべてのライダーの希望を叶えられる[…]
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむホンダのモンキー&ゴリラ シフトアップ製88ccキットを組み込み、ノーマルキャブのままでセッティング変更せずに普通に走ることができた、6ボルト仕様の初期型黄色ゴリ[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
大和ハウスグループが手がけたD-Wash 愛車を長持ちさせるためにも、大切にしたい「洗車」という作業。 汚れの放置はサビや各部品の劣化が進むことにもつながるし、洗車をしながら、緩んでいるボルトやパーツ[…]
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
スパナやレンチの長さが違うのはナゼ? 工具箱に並ぶスパナやレンチ。 10mm、12mm、14mm…サイズごとに全長が違うのは、当たり前の光景ですよね。これもそうだし。 コッチもそう。狭所作業用の短いス[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
州知事や政府関係者のほか、従業員も参加し祝う 四輪車はもちろん、ビジネスジェット機でも知られ、最近では再使用型ロケットでも話題のホンダ。その始まり、つまり「祖業」は二輪車にある。 スタートは自転車用補[…]
2024年モデル概要:XSRらしさを受け継いだ末弟 海外で先行して展開されていたXSR125の国内導入が明かされたのは、2023年春のモーターサイクルショーでのこと。発売は同年の12月8日だった。 X[…]
似ているようでカブとはまったく違うのだ アウトドアテイストの強いCT125ハンターカブが人気だからといって、ここまでキャラクターを寄せてくることないんじゃない? なんて穿った見方で今回の主役であるPG[…]
懐かしのスタイルに最新技術をフル投入! 2025年3月の東京モーターサイクルショーで詳細が発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクト。対象機種は油冷GSX-R750とカワサキZ1となっており、GS[…]
実績豊富なディーラーによる絶妙なバランス感覚 全国のハーレーダビッドソンジャパン販売網がカスタムの腕とセンスを競うコンテスト『バトルオブザキングス』にて2年連続で日本一になった実績を持つワタナベモータ[…]