旧車の板金補修から機能性塗装まで社内一貫施工。エルオートのメンテナンスメニューに注目!

エルオート|ペイント

京都府八幡市の「エルオート」と埼玉店草加市の「ヴィンテージラン」の2拠点で絶版車販売を行うエーシーピー二輪サービス。国内外から調達したベース車両の整備やメンテナンスはもちろん、フルレストアまで自社内で行うのが同社の大きな特長で、現在はさまざまな作業やサービスを一般のユーザー向けに提供する「エルオートメンテナンス」が好評を博している。ここではレストアで重要な純正色再現からカスタム効果のある機能性塗装まで、エルオートのペイント作業を紹介する。


●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:エルオート

常駐スタッフが絶版車/旧車/現行車のペイントに対応。メールで作業依頼できる利便性の高さも注目

市場での人気が衰えることなく、一方で台数は減少するばかりの絶版車。フルオリジナル車の価格は上昇し続け、反面で仕上げ作業を要する車両の割合は多くなる一方だ。

そんな中、早くから整備やレストア作業を自社内で行ってきたのが「エルオート」だ。

一般的な絶版車ショップの“レストア済み”車両の多くは、じつはさまざまな作業を外注先に依頼していることが大半。ところがエルオートは、サンドブラスト/塗装ブース/焼付乾燥器を完備し、補修ペイントから全塗装まですべてを社内で行っている。絶版車の純正色塗装では色合いの再現度が重要だが、スタッフは毎日のように絶版車に触れてオリジナルペイントを熟知しているのが大きな強みだ。

さらに自社の販売車両だけでなく、一般ユーザーからのオーダーにも応えているのが要注目ポイント。ホームページ内の「エルオートメンテナンス」サイトには、誰でもアクセスできる見積もりやオーダー用のフォームが用意されている。またガンコートやパウダーコーティングなどの焼付塗装も可能で、レストアやカスタム時にも頼りになる。

ヤレ感を生かしたオリジナルペイントやDIYの自家塗装も味があるが、大切な愛車をビシッと仕上げたいなら、エルオートメンテナンスを活用するのがおすすめだ。

下地作りもデカールも社内で行う徹底ぶり

外装パーツの剥離は剥離剤を使用することが多いが、大型のサンドブラストもある。直圧式ブラストは吸い上げ式とは比較にならないパワーがある。

ビッグバイクのフレームも余裕で収まるキャビネット。フレームのパウダーコーティングでは地肌を完全に露出させることが必要で、サンドブラストが不可欠なのだ。

エルオートメンテンナンスで受注したパーツの中には、塗装を剥離したらがっつり修正痕が…という例も少なくない。その際は依頼主に連絡して対応を協議する。

板金補修にかかる費用の概算もホームメージに明示してあるので、破損しているパーツの再塗装依頼時の参考になる。手直しを行った後にサフェーサーを塗装。

純正再現/カスタムペイントに対応する大量の原色を常備。バイクの純正色は自動車用のような調色データがないので、蓄積した実績と職人の目で色を決める。

エルオートには、ハイエースサイズのミニバンが余裕で収まるペイントブースが2基設置してある。どちらもプッシュプル式の換気装置を備えた本格的な設備だ。

取材時はカワサキKZ1000のオレンジタイガーカラー仕様を塗装中。カラーペイントとグラフィックを貼り終え、仕上げのウレタンクリアをスプレーしていく。

作業環境は塗装の仕上がりを左右する重要な要素となる。ゴミやホコリが付着しにくいペイントブース内で作業することで、より高品質なペイントが実現する。

グラフィックやデカールも社内で製作する。仕入れ車両で未補修の純正グラフィックがあると、データを採取しておくことで、オリジナル度の高い再現が可能となる。

自社プリンターで出力したグラフィックの一例。ユーザーの依頼に応じてペイントで再現することもあるが、エルオートではグラフィックを使用する割合が多い。

自社仕入れ&自社仕上げによる車両販売

エルオートでは、独自のネットワークを活用した車両仕入れにより、海外/国内から絶版車を仕入れて販売。オリジナルコンディション車からフルレストア車まで50台以上が店内に並ぶ、西日本最大級の旧車絶版車専門ショップだ。

美しさが持続するガラスコーティング

塗装やバレル研磨後に有効なガラスコーティングも人気メニューのひとつ。とくにバレル研磨は、アルミ素材自体を磨いて輝かせるため、時間の経過とともに酸化皮膜ができて光沢が鈍ってしまう。エルオートではスプレーガンを使った特殊なガラスコーティングを行っており、研磨パーツの場合は素材内部に浸透して腐食の発生を予防する効果がある。

フレーム塗装に最適なパウダーコーティング

粉状の塗料を静電気で付着させて焼き付けるパウダーコーティングは、塗膜の厚さや耐衝撃性の高さといった特性が、フレームやスイングアームなどの足まわり部品に最適。粉体塗料を吹き付ける静電ガンや180℃の高温で焼き付ける乾燥器などの必須アイテムを備え、レストアやカスタムペイントに活用されている。サンメカでは真似のできない塗装技術だ。

塗膜の固さ/耐薬品性/放熱性の良いガンコート

塗膜の表面硬度が高く、ガソリンやブレーキフルードなどでも冒されない耐薬品性があり、ラジエーターなどに塗装すると放熱性が高まるガンコート。フロントフォークのボトムケースは、ガンコート/パウダーコーティングのどちらも適しており、ユーザーのオーダーでガンコートを施工。塗装後に170℃で1時間以上の焼付乾燥を行う。

パウダーコーティングと比べて、ガンコートは塗膜が薄く仕上がる。デザインが細かくリムの刻印まで重要視される絶版車のホイールでは、ガンコートが選ばれることも多い。

ガンコートは、ラジエーター/オイルクーラー/空冷エンジンのシリンダーにとって最適な機能性塗料。放熱性が高まる上に、薄いフィンが硬くなり変形しにくくなる効果もある。

ちぢみ塗装は独特な質感が魅力

シリンダーヘッドカバー/クランクケースカバー/金属製チェーンケースなどに施工すると効果のあるちぢみ塗装。画像は同一機種のヘッドカバーをバレル研磨とちぢみ塗装で仕上げた比較だが、印象が大きく異なる。ワンポイントカスタムに適した塗装だ。

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