
絶滅危惧種と呼ばれて久しい2サイクルエンジンだが、昭和/平成でも混合ガソリンエンジンを搭載していたイタリアのベスパ。久しぶりのエンジン始動前に、オイル関連のメンテナンスを先行実施してみた。今回使用したのは、サンデーメカニックがリピーターとなって、使用前後の違いがクチコミで広がり注目されているエンジンオイル添加剤「スーパーゾイル」。エンジンオイルチョイスが体感性能となって現れる事実は、ベテランライダーなら誰もが経験したことがあるだろう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:パパコーポレーション
2サイクル用エンジンオイルはガソリンと混ざりやすい性能も必要
2サイクルエンジンを搭載したベスパは、“混合ガソリン”仕様として知られている。バイクブームだった1980年代には、数多くのベスパが街中に溢れていたが、1960年代前半の国産2サイクルモデルと同様に、ガソリンスタンドでは“混合ガソリン作り”が必要不可欠だった。
当時はセルフガソリンスタンドはなかったので、混合ガソリンモデルが来店すると、ベテランスタッフが接客するケースが多くあった。スバル360(てんとう虫)が数多かった時代は、混合ガソリン専用の簡易給油機がどのスタンドにもあり、混合ガソリンをその場で作って給油するという作業が当たり前のように行われていた。
現在はセルフスタンドが多いので、計量カップ(2サイクルベスパには標準装備される)を使い、混合ガソリンを自分で作るのがオーナーとして当たり前の話だ。
さて、2サイクルエンジンオイルにも、ガソリンに溶けやすいタイプと、そうでもないタイプがある。そのため、混合ガソリン作りが、エンジンコンディションを問ううえで重要な作業になることも知っておかなければならない。
理想的には、エンジンオイルを先にガソリンタンクに流し入れてから、ガソリンを給油する勢いでオイルを混ぜるのが良い。走行距離に対するガソリン消費量をあらかじめ知っておけば、理想的な混合ガソリン給油が可能になることも覚えておこう。
金属部品同士が擦れあうときに発生する摩擦熱に反応し、摺動面を改質再生する効果があるのが、今回使用した「スーパーゾイル」の大きな特徴である。2サイクルエンジン用としては、100%化学合成の高性能2サイクルエンジンオイルにスーパーゾイル成分を混ぜた「シンセティックゾイル」がある。
このオイルは、従来のスーパーゾイル効果はもちろん、ガソリンと混ざりやすい性能も追求。混合ガソリン作りでは“混合比”が何よりも重要だが、それと同時に、ガソリンと混ざりやすい特性も極めて重要なことは前述したとおりだ。
ピュアなガソリンを給油した後に、給油量に対して必要な混合比で2サイクルエンジンオイルをタンクに注入する例が多いのが現実だが、その作業手順だと、ガソリンにエンジンオイルが混ざりにくくなってしまう傾向がある。
いつも利用しているブランドオイルがあるのなら、2サイクル用スーパーゾイルとブランドオイルを混ぜ、混合用オイルとして利用することで、これまで以上にエンジンケアに対する期待感は高まる。
今なお、街中で見かける機会が多い2サイクルエンジン搭載のスズキジムニーファンの間でも、スーパーゾイルは話題の添加剤であり、エンジンオイルでもあるという。
今回は、久しぶりに公道復帰するベスパ200ラリーのオイル交換を行ったが、大切なバイクだからこそ高性能なエンジンオイルを利用して、メカニズムのケアおよび摺動摩擦によるエンジンパーツの摩耗を極力減らしたいものである。
この車両は1970年代初期のベスパ200ラリーというモデル。燃料キャップに記される通り、混合ガソリンは2%。つまり50対1 の混合比設定となっている。
ガレージ作業なので、混合ガソリン用ミックスタンクを利用し50対1の混合ガソリンを作った。出先のガソリンスタンドで給油する際には、さまざまな給油手順があるが、走行距離と給油量を想定し混合するのが理想的だろう。
ミックスタンクの50:1の印を確認し、オイル側の2の位置までシンセティックゾイルを入れ、ガソリン側も2までガソリン注入。約2Lの混合ガソリンを作ってみた。タンクを寝かせてガソリンとオイルをミックス。
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