![[バイクメンテナンス実践] 旧車KZ900LTDに“リチウムフェライト”バッテリーを搭載してみた〈BSバッテリー〉](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
2~3年で寿命がやってくると言われる鉛バッテリーが上がった際、次も鉛にするのか、それともリチウムバッテリーを選ぶのか。性能は魅力だが取り扱いが難しそうで、価格的にもハードルの高さを感じるかもしれないが、実際に搭載してみれば良かった!と思うはず。今回は丸中洋行が取り扱うBSバッテリーのリチウムイオンタイプを使用しカスタムした。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:丸中洋行
絶版車にも有効なリチウムイオンバッテリー
リチウムバッテリーは鉛バッテリーに対してさまざまな利点がある。では実際に鉛バッテリーを変更する際にどのような点に注意すれば良いのか、KZ900LTDをサンプルにリチウムバッテリー搭載のポイントをまとめてみた。
最大の注意点は充電電圧の上限。BSリチウムの場合、推奨充電電圧は13.8〜14.4Vで、15Vを超えると過充電により損傷する恐れがある。これは電圧に対して寛容な鉛バッテリーとの違いだ。純正流用レギュレートレクチファイアを装着しているこの車両は、15Vまでは行かないが推奨範囲は超えているので、実走行で電圧をチェックした上で必要ならばMOSFETレギュレートレクチファイアへの交換も検討したい。
リチウムバッテリーに交換して体感したのは、セルモーターの勢いやスロットルレスポンスの良さ。この理由は、バッテリーターミナル端子電圧が13.3V前後と、鉛バッテリーより高いためだと思われる。一瞬で大電流を流せる内部抵抗の低さがセルモーターにとって有効なのに加えて、電圧が高ければモーターは力強く回り、イグニッションコイルの一次電圧が上がれば二次電圧も比例して高くなるのは、矛盾のない変化と言えるだろう。
適切に使用すれば5〜8年という耐久性はこれから検証していくが、鉛バッテリーを3回交換する期間をこの1個で通せたとしたら、コスト的にもメリットがあるといえるだろう。
せっかく「高性能バッテリー積むのなら」レイアウトカスタム
(右)専用ステー製作が面倒で、ASウオタニSPIIコントロールユニットは定位置が決まらず、リヤフェンダー上に貼ってあった。実用上問題はなかったが…。(左)絶版車ショップのスタッフの情報通り、リチウムイオンバッテリー+ウオタニユニットが純正バッテリーケースに収まり、配線もシンプルになった。
純正バッテリーケースにBSリチウムイオンバッテリーとウオタニを仮置きすると、これ以上ないほどぴったり。バッテリーだけでは隙間が大きすぎるので、むしろこの方がしっくりくるほど。
さまざまな搭載方法に対応できるよう、いくつものウレタンパッドが同梱されている。リチウムイオンバッテリーは全高が低く、ケース内で底に沈んでしまうので、高さを稼ぐため“ゲタ”を履かせる。
バッテリー底部に2枚、ウオタニコントロールユニット下に1枚入れた。バッテリー配線が突っ張らず、プラス側のターミナルがフレームに接触せず、充電器のクランプがセットしやすい高さに合わせる。
エンジン始動時、鉛バッテリーは7V台まで電圧が下がることもあるが、リチウムバッテリーは11V以上を維持するため、セルモーターは勢いよく回る。始動したら充電電圧を測定しよう。
リチウムイオンバッテリーの電圧は、最大12.8Vの鉛バッテリーと異なり、エンジン始動前で13V台を記録している。ヘッドライトやテールランプも明るいはずだ。
回転数を上げると、電圧は最高14.77V まで上昇。15Vには達していないが、推奨電圧以上なので若干不安。絶版車用純正レギュレーターの中には、15V台中盤まで上がるものもある。
レクチファイヤとレギュレータが別々の純正から、一体式のレギュレートレクチファイアに交換済み。MOSFET型で一概に充電電圧が下がるわけではないが、正確な電圧制御が期待できる。
純正バッテリーは右側に引き出すタイプなので、サイドカバーグロメットが付いたステーを取り付けてバッテリーを固定する。ウレタンパッドの使用量を見ると、ETC車載器も入りそうな余裕がある。
小型バッテリー搭載で、まさに省スペース実現!!
数ヶ月放置しても始動性が持続するほど、自己放電が少ないのがリチウムイオンバッテリーの特長だが、12.8V未満になったら、BS10バッテリーメンテナーで補充電しよう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
ガレージで眠っているマシンを引っ張りだそう! 今後の展開も期待されるポテンシャルの高さが魅力 コンストラクターの手によるオリジナルフレームを用いたシングル&ツインレースが流行した1990年代、オーヴァ[…]
赤サビの上から直接塗って黒サビに転換。愛車を守るBAN-ZIのラストロックシステム 【RUSTLOCK(サビ転換下処理剤)サビキラープロ】赤サビの上から直接塗ることで黒サビに変化する転換剤機能と、上塗[…]
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
クニペックス製と瓜二つ!? アストロプロダクツの新製品「プライヤーレンチ」 ボルトやナットの2面を隙間なく掴める、平行に移動するジョー、グリップを握る力が増力される独自のジョイント構造、全長に対して著[…]
ドロ汚れだけではなく油汚れにも効果てきめん。分解前には周囲の汚れ落としが基本 台風被害による河川越水時にエンジン腰下まで水没したカワサキW1‐SA。その後、放置期間がしばらく続いたが、嫁ぎ先が決まった[…]
最新の関連記事(バッテリー)
バイク エンジン かからない原因を症状別に解説 さあ、ツーリングに出かけよう! 荷物をシートにくくりつけ、ヘルメットとグローブを装着してキーをシリンダーに差し、セルスイッチをプッシュ……え、エンジンが[…]
スマートフォン連携でバッテリー管理が劇的に進化! 名古屋市に本社を置く株式会社SECONDが、LEADMAX-JAPANとの販売代理店契約を締結。2025年7月1日より、日本初上陸となるモーターサイク[…]
車両メーカーの純正バッテリーとしてもシェアを拡大 リチウムバッテリーは、同程度の容量の鉛バッテリーと比較すると、性能の指標であるCCA(コールドクランキングアンペア)値は2倍程度、寿命は3倍程度と、そ[…]
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。 そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替[…]
開放式/MF式/リチウムイオン式が揃うBSバッテリー。充電電圧を管理して優位性の高いリチウムを活用したい 市販車の一部にも純正採用される例はあるが、リチウムバッテリーは鉛バッテリーに比べるとまだまだ少[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
自家塗装には難関が待ち受ける 今回は、自己流でありますが自家塗装のお話です バイクのメンテナンスやカスタムしていると、近隣に迷惑を及ぼす可能性のある作業がいくつかあります。エンジン始動による騒音もその[…]
約6人に1人が利用しているふるさと納税をおさらい 今や日本人の約6人に1人が利用していると言われている「ふるさと納税」。税金は一般的に自分が暮らす自治体に収めるものですが、ふるさと納税は自分の意思で選[…]
初心者向けの溶接機は? 「初心者ですが、溶接機は何を買えばいいでしょうか?」そんな質問をいただくことが、最近増えています。折れたステーの修理から始まり、フレーム補強やスイングアーム自作、極めつけがフレ[…]
赤サビの上から直接塗って黒サビに転換。愛車を守るBAN-ZIのラストロックシステム 【RUSTLOCK(サビ転換下処理剤)サビキラープロ】赤サビの上から直接塗ることで黒サビに変化する転換剤機能と、上塗[…]
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
人気記事ランキング(全体)
扇風機+冷却ブレートの二重冷却 KLIFEのペルチェベストは、空調ファンと半導体ペルチェ素子を組み合わせた業界初の設計。背中の冷却ブレートが体感温度を瞬時に下げ、同時にファンが服内の空気を循環させるこ[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
使い方は「水を含ませる」だけ。走行風を味方につける冷却アイテム 今回紹介するデイトナの「DI-015 ウェットクールベスト」は、水と走行風を利用した気化熱式のクールベストだ。使い方はシンプルで、ただベ[…]
昭和レトロの世界が広がる神奈川県『中古タイヤ市場 相模原店』 昭和の夏休みって、どんなでしたっけ? 朝はラジオ体操に行って、午前10時頃からは仮面ライダーやウルトラマンの再放送。昼は学校や地域のプール[…]
厳しい残暑、コストを抑えつつ対策したい 暦の上では秋が近づくお盆明け。しかし、天気予報によれば2025年の夏はまだ終わらず、厳しい残暑が続くという。 まだまだ続く汗との戦いには、高機能な冷感インナーが[…]
最新の投稿記事(全体)
厳しい残暑、コストを抑えつつ対策したい 暦の上では秋が近づくお盆明け。しかし、天気予報によれば2025年の夏はまだ終わらず、厳しい残暑が続くという。 まだまだ続く汗との戦いには、高機能な冷感インナーが[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり[…]
XL750 TRANSALP:実物を見て気に入りました XL750トランザルプオーナーのヨッチンさんは、現在44歳のアドベンチャーライダー。 バイクに乗り始めたのは20歳で、長いこと古い英車に乗ってい[…]
コストダウンも意識した大胆なテコ入れ テコ入れを辞書で調べると、"期待した通りに進んでいない物事、停滞している状況を、外部からの刺激や援助で打開しようとする取り組みを意味する表現"とある。そしてこの言[…]
ワンタッチで取り付け可能な便利設計 「FDH-1」は、強力なバネの力でペットボトルをしっかりホールドし、片手でワンタッチ脱着が可能なバイク用ドリンクホルダーです。600mlまでのペットボトルに対応し、[…]
- 1
- 2