
2サイクル向けのオートルーブオイルを1964年に発売して以降、エンジンとオイルの開発を並行してきたヤマハ。1992年には「ヤマルーブ」を世界統一ブランドとして、純正オイルの重要性と優秀性をアピールしてきた。その最高峰「RS4GP」がこのたびリニューアルした。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:ワイズギア
2大テーマは“モアパワー”&“体感できる性能向上”
現在、4サイクル用で6製品が存在するヤマルーブ。その最高峰が、MotoGPテクノロジーをフィードバックした「RS4GP」だ。2023年春、8年ぶりのリニューアルを果たしたRS4GPは、従来の“モアパワー”に加えて“より体感できる性能向上”というテーマを設定。体感できる性能とは、シフトフィーリング向上/エンジンレスポンス向上/クラッチフィーリング向上の3点で、その効果が長期間持続することも重要な目標とされた。
そのために採用されたのが最新の粘度指数向上剤である。低温度域では粘度が低くレスポンスが良好で、高温度域でエンジン内部を保護する粘度を確保するために必要なのが、粘度指数の高さ。粘度指数向上剤は鉱物油でも100%化学合成油でも不可欠な添加剤であり、技術陣はここに注目して新RS4GPを開発。
安心感と信頼性で間違いのない“純正”に、“チューニング要素”を加えた新型RS4GPは、メーカーや機種を問わず高性能化を体感できるオイルとして要注目だ。
【YAMALUBE RS4GP】ベースオイル(基油)に高性能100%化学合成油を使用し、最新添加剤技術を採用することで、油温上昇が穏やかな街乗りでは始動性/加速性/省燃費性、スポーツ走行時の高温度域では必要な粘度によりエンジン保護性能を両立。●SAE粘度規格:10W-40●油種:化学合成油 ●JASO:MA2 ●価格:4400円(1L)/1万5840円(4L)
世界ロードレース選手権MotoGPクラスに参戦中のYZF-M1用エンジンオイルも、ヤマハとENEOSが共同開発しており、そこで培った技術がRS4GPにフィードバックされている。
常温時の粘度を比較するテストでは、新型RS4GPが入った“1”の球がもっとも速く落下する。“2”は従来のRS4GP、“3”はヤマルーブ プレミアムシンセティックだ。粘度表示はすべて10W-40で同じだが、常用温度域の粘度の低さはクラッチの切れやシフトフィーリングの良さにつながり、スロットルレスポンス向上に加えて燃費向上にも役立つ。
4サイクル用ヤマルーブオイルは、ギヤミッション車用4種類+スクーター用2種類を展開。純正ならではの安心感とオイル選びの楽しさがあるのがヤマルーブの特徴だ。
RS4GPは、ENEOS株式会社が製造を担当する。新しい粘度指数向上剤等の採用やベースオイルとの配合バランスによって、低温時の攪拌損失低減と高温時の油膜保持性向上、ミッションやギヤの摩擦低減を実現できた、と説明する同社エンジニアの小松原仁氏。
JASO規格より厳しいYAMALUBE基準をクリアしながら、常用温度域でのシフトフィーリング向上/エンジンレスポンス向上/クラッチフィーリング向上を実現させるのに苦心したという、ヤマルーブオイルの企画開発を行った株式会社ワイズギアの片山剛志氏。
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